Home>今月のハイライト> 連載 世界の名作発掘(第18回) エマー1/72「F-94Cスターファイアー」

連載  世界の名作(迷作)キット発掘コーナー (第18回)

 エマー1/72「F-94Cスターファイアー」

by 鳥巣 Torisu           /    

<初めに>

 謹賀新年
明けましておめでとうございます
 2011年の正月を迎えてモデラー諸氏の皆さま如何お過ごしでしょうか
今年こそは完成を目指すキット達が目白押しかと思いますが10個の未完よりは自分の好みの作品を1つ完成できるマイペースなモデリングライフで有りますように
 本年もお付き合いのほど宜しくお願い致します



<実機解説>

 広島・長崎への原爆投下により第二次世界大戦を終結させたアメリカは当時唯一の核兵器保有国であったが1949年にソ連が原爆開発に成功し原爆の投下を可能にした爆撃機Tu―4(B-29)の配備により核兵器保有国としてのアメリカの優位が覆されソ連による核攻撃がにわかに現実味を帯びてきた。
第二次世界他戦後に発生したソ連との対立からアメリカ本国を守るため当初二次大戦中に製造されたP-61や戦後製造されたF-82等を防空任務に配備させたがジエット時代が到来している以上旧式化することは明らかで1945年にジエット全天候戦闘機としてカーチスXP-45とノースロップXP-89の開発をそれぞれ指示していた。しかし1948年に鈍重で能力不足のXF-87はキャンセルされ一方XF-89夜間は様々なトラブルの発生から配備スケジュールに大幅な遅れが生じその期間を埋める為XF-89用に開発したレーダー機器E-1FCSを搭載した全天候戦闘機をロッキード(T-33を改造)に翌49年にノースーアメリカン(同じくF-86Aを改造)の2社に開発を指示した。
ロッキード社にとって特急開発はお手のものであったが空軍から搭載が指示されたFCSは元々B―36用に開発されたもので小型のT-33に積むのはとても無理でFCSの小型とT-33の大型化に苦慮することとなった。
機体の大型化に伴いエンジン推力の不足が明らかになりアフターバーナー付きのエンジンの搭載が決められたがジエットエンジン開発黎明期の当時としては未完の技術であったがロッキード・アリソン・ソーラー社の懸命な努力によって実現されアフターバーナーを搭載した初のジエット戦闘機の名誉を受けることになった

メーカーの努力により試作機は1949年7月1日に初飛行しその年の12月には生産型であるF-94Aが部隊配備されるというハイスピードであった。
実践配備されたF-94A/Bは1950年6月に勃発した朝鮮戦争から1年経った1951年韓国のスーオンに展開し韓国の防空に従事したが共産軍への夜間爆撃任務に就いているB-29への迎撃活動が活発化するとB―29の護衛任務に投入され共産軍のLa-5戦闘機を撃墜する戦果を挙げている。
 初期のFCSを改良し主翼を再設計して航続距離不足を主翼両端に大型の燃料タンクを付けて補いさらに武装を見越し射撃に効果のあるマイティ・マウスロケット弾を装備したロッキード社の本命ともいえるF―94Cが1950年1月に初飛行し逐次配備されていった
しかしその頃になるとF-89やF-86の部隊配備が進んで当初から指摘された航続距離不足が目立つようになり空軍からの発注数も減じられたがそれでも387機が生産され冷戦初期におけるアメリカ防空の基礎を築いた機体として航空史に残る名機である

F-94C性能

全長:13.57m
全幅:12.95m
自重:5,763kg
エンジン:P&WJ-48
A/B推力:3.970kg
最大速度:1.030Km
航続距離:1.930km
武装:2.75in無誘導ロケット弾×48



<キット解説>

 イギリスのエマー社が1991年に販売したキットです
他にも72では他社が未だに出さないFJフュリーやF-3H「デーモン」等も発売していてコアなマニアを喜ばせてくれました
エマー社は廃業したマッチボックス社の方が創業したと言われていてこのキットも力強いモールドと直線的なプロポーション等どこかマッチボックスに似た印象を受けます
全面凹モールドですが細部部品の方は「使えなくはない」というレベルです
キャノピーは肉厚です
デカールは当時の海外メーカーの標準レベルですが文字類と国籍マークは良くできています。
デカールと透明パーツ
箱絵

胴体パーツ


制作

<コクピットから>

コクピットフロアー・計器盤・座席・スティツクの4転構成です・
コクピット内部をMrカラー「機体内部色」で塗装します
塗装後サイドコンソールや計器盤に何もモールドがないのでジャンクデカールからF-4と三菱F-1のデカールを流用してデッチあげました
多きいキャノピーなのでコクピット内部が見えやすいです
何もしないよりは適当にデカールを貼ってコクピットの感じを出せば良いでしょう

<胴体と翼の結合>

コクピットが出来たら胴体を貼り合わせます
テイルヘビーなので重りを入れてください今回はM5サイズのナットを2個機首に入れました
胴体を貼り合わせたら翼を結合します
翼と胴体の合わせは良好です
チョット胴体側をヤスリで削るだけでフイットします

<修正>

全体的に簡易インジエクションのようなキットですが酷い隙間や段ズレはありません
胴体の貼り合わせ個所とエアーインティクの取りつけ個所に隙間が生じただけです
ここはタミヤ制プラパテ「ベーシックパテ」を盛り付けて修正しました。
パテ修正を終えたら紙ヤスリの#400・800・1000・1500で削り
クレオス#1200の缶サフを吹き付け1昼夜乾かします
乾燥後消えたパネルラインを掘り直しました

<塗装>

<デカール貼り>

今回の作例はシルバー塗装なので下地塗装としてガイア製「ピユアブラック」を全体に吹きました。
下地が乾いたらMrカラー8番「銀」を塗ります
銀が乾いている間に塗り分けようの銀を選びます
今回の作例は
胴体前部: Mrカラー「スーパーファインシルバー」
胴体後部: Mrカラー:「クロムシルバー」
動翼  : Mrカラー「シルバー」
エアーインティク
:ガイアカラー「スターブライトシルバー」
上記の色を使用して塗り分けました
塗装が終わったらデカールを貼ります
初版から20年近く経ちますがお湯の中で粉砕する事故は有りませんでした
糊が弱く定着しないのでマークセッターを塗って貼りました
マーキングはロッキード社で塗られたF-94C1号機の派手なマーキングをセレクトしました。
機首のイエロースターが映えます。


<クリアー吹き>

塗り分け後クリアーを薄く吹き付けます
シルバー塗装の機体の場合クリアーを重ねすぎると銀の輝きがクリアーの膜で曇ってしまうのでご注意ください


<仕上げ>

 クリアーが乾いたら細部部品を取り付けます
前脚はキットのままだとイモ付けなのでパイピングし0,3mmの真鍮線を刺して取り付けました。
主脚もダボ穴が小さいので大きく開口して取りつけました
 脚カバーは皆イモ付け状態になってしまうのでご注意ください

過去にはレベルのハンパスケールや往年のリンドバーク製しかキットが存在しなかったF-94ですがエマー社が1/72のスケールで発売してくれたお陰でまた一つ72のジェツトインタセプターコレクションが増えました 
今回もエマー社1/72「F-94C」を作る機会を下さった編集部に感謝です

参考資料
航空フアン・エアープレンダイジエストNo55「F-94STARFIRE」
インターネットサイト「ウィキペディア」
を参照



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