Home  >今月のハイライト>P-47D サンダーボルト (レベル 1/72)


P-47D サンダーボルト
(レベル 1/72)

by 加藤 寛之



  これを作るのは40数年ぶりだ。子供のころ、レベルはすごく良いプラモデルだと信じていたのに、“あれ?何かダメな感じ…”と思ったキットでもある。そんなキットをもう一度組んでみた。久しぶりに手にしたサンダーボルトは、金型が一段と傷んだものだった。表面モールドの型崩れ、猛烈なバリ、胴体の合わせ目は窪んで波打ち、主翼や水平尾翼のパーツの周囲もガタガタだった。きっと何十万個も打たれたのだろう。子供のために働いてくれた御奉公に感謝しつつ、無理をせずに組んでみたい。



胴体は左右のパーツで高さがずれている。狭い方を腕力で広げ、なんとか合わせる。胴体の合わせ目付近の表面のガタガタは、大雑把に削ってからパテで均す以外に方法がない。この過程でリベットやパネルの凸線がいくらか消えてしまうが、これは千枚通しやカッターの刃でそれらしく再現して、これでよしとする。この作業に邪魔な後胴のアンテナ柱は切り落とし、塗装後に真鍮線で代替した。本当ならば下が幅広で上が細い流線型断面の棒が望ましいのだが、私はただの真鍮線でも気にならない。
主翼は周囲のバリを大雑把に取ってから上下パーツを接着する。下面側はパーツの合いが悪いものの、上からは見えないのだから気にする必要はない。機銃は周囲を整形するのに邪魔なので切り落とし、塗装後に真鍮線を挿して代替した。



主翼と胴体の合わせには、大胆な工作が必要だった。主翼下面は胴体まで一体のパーツなのだが、胴体を合わせようとすると主翼が合わず、主翼にそろえれば胴体が合わない。隙間も大きく上反角も決まらない。結局、主翼下面パーツを胴体と左右主翼の3パーツに切断し、それぞれで合わせることにした。これがうまく出来て、大問題が簡単に解消した。
主脚はちょっと手を加えた。キットの脚柱は脚カバーと一体構造のうえ、上下に別れているはずの脚カバーも一枚で造形さえている。ここは子供のときに“あれ?”っと思った場所だけに、今回は上部をプラバンで作り替えてみた。これで脚柱も掘り出せるし、カバーもずっと形がよくなった(こうでなくっちゃ!)。
風防パーツは胴体との合いを調整した。水平尾翼は、取り付けを安定させるためのベロとバリが邪魔して、胴体に開いた穴に充分に差し込めない。そこでベロを切断して断面を均してから接着した。しっかり接着すればこれでも強度の不安はない。
プロペラはカフスがあるように工作したいが、ますます幅が狭くなるし似てもいないので、カフスがあるように塗装することでごまかすことにした。



さて、そこで塗装である。1967年版の『プラモガイド』によれば、キットの指定塗装は誤りだそうだ。だが「レベルのサンダーボルト」を作っているのだから、塗装図のように塗ればよい。白黒の帯は手軽にフリーハンドで塗っている。インベンジョンストライプは実機でも適当に塗ってあるのだから、これで良いのである。問題はデカールで、もはや使用の限界を超えていた。カウルングのチェッカーは下地として白塗りした上にデカールを貼った。最先端まで貼るのは無理そうなので、ここは筆塗り。カウリングのデカールは無理して何とか貼ったが、国籍マークや文字などは触ると崩れ始め、位置決めもできなかった。壊れた部分は塗装で補正した。「よく頑張った、よく貼った」と自分では満足している。こうして、どこか愛嬌のある「レベルのサンダーボルト」が完成した。






  Home>今月のハイライト> P-47D サンダーボルト (レベル 1/72)

Vol 33 2011September.    www.webmodelers.com /Office webmodelers all right reserved /editor Hiromichi Taguchi 田口博通
  無断転載を禁ず  リンクフリー

「webモデラーズ について」 「広告のご出稿について」

特集1


TOTAL PAGE