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新製品紹介
零戦21型  エアフィックス (1/72)

by 加藤 寛之


  新製品を続々と発売しているエアフィックスから、零戦21型が新たに発売された。行きつけの「ホビーショップはせがわ」で購入したのだが、最低価格帯650円は国産品の半額である。しかもデカールはカルトグラフだから驚き。早速、作ってみた。日曜の朝から始め、翌日に細部を数か所仕上げて完成した。  ズバリ、作ることが楽しいキットだった。これをまず、強調したい。やや胴体が痩せており風防前部の傾斜が大きすぎるようだが、外国製と思えば問題なく許容範囲。翼端を軽く整形するだけでグッと零戦らしくなった。明らかに手を加えた部分は、省略された補助翼等の修正タブを付け加えたことくらいだ。



 さて、作って楽しい、とは何か。
● 素材のプラが柔らかくて工作がしやすい。
● コックピットは単純な構成ながら床板は翼面の曲線を描いている。部品の合わせも厳格すぎず、適当にユルくて組みやすい。
● コックピットにはみ出した胴体銃の後端が、簡単な工夫なのに雰囲気がすばらしい。椅子には軽め穴の窪みがあったので、ここは開口しておいた。
● 主翼は秀逸。内翼と外翼の厚み変化や捩りさげをやや強調して、見栄えよく造形している。
● 翼端は別パーツがあって、好みによって折りたたんだ状態を選択できる。これは翼断面を破綻なく形にしてあることが必要で、プラキットとしての条件のなかでそれらしい翼断面形にするのだから設計は簡単でない。
● ラダーは別パーツにしてあるので、後縁が薄く仕上がる。動いた表現もできる。
● 主翼後縁付近の胴体下面は、実機のように「胴体の存在感」をうまく造形している。
● カウリングを後ろからみれば、胴体との隙間を表現している。
● 下面のカウリング後方にある吸気口を主翼下面と一体にしたことで、この部分の造形が自然な雰囲気に仕上がった。
● 主脚柱の取り付けも、意外なほど安定して取り付けられる。
● 胴体をしっかり組めば、主翼の上反角がバッチリ決まる。
● 組み図には、上反角や脚の取り付け角度も示してあるのが親切だ。
● 面白い塗装選定とカルトグラフのデカール。
● それが国産の半額という超低価格。
こんなことを書けば、まだまだきりがない。とにかく、あちらこちらに模型的な視点での工夫が凝らされている。組む過程で、これらが次々と現れるのだ。これで楽しくないはずはない。


計器盤 計器はデカールで再現


コクピット部品翼表面の曲がりを再現した床板


座席にある軽め穴のモールド


デカールは艶消仕上げ





組むうえで注意したい所も書いてみよう。
○ カウリングに残る金型の分割線が大きい。ただし、削るだけでほぼごまかせる。
○ 細いパーツは、プラの湯流れが合わさった所で折れやすい。
○ 筋彫りが太めだが、これは後述。
○ カウリングが下に向きやすい。これは横から見て位置を確認すれば済む。
○ 前述のように、エルロンとラダーの修正タブが省略されている。
○ 風防頂部の不透明部分が忘れられている。これは塗ればよい。
 
 翼端の切り取りはエルロン先端に注意

新製品の箱絵


一見すると、マッチボックスを思い出させる太目の筋彫りが少々気になるけれども、これには弁護の言葉を添えたい。購入時に店主と話し合ったのだが、「この価格は次世代を育てるための設定ではないか」ということなのだ。それならば慣れない筆塗りに耐えられる筋彫りが必要である。その塗装はキット指定で作ってみた。デカールには細かな注意書きもあるが、これは私の好みで使わなかった。

結論からいえば、「エアフィックス」というブランド伝統の味わいを期待する年齢層にはもちろん楽しいキットで、さらに初心者にも心優しいお薦めの製品だ。
「ぜひ、ご購入を! そして、組んでみてください。」

箱裏面の塗装図.

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