Home> 連載 世界の名作発掘(第29回) スーパーモデル1/72 「FIAT G55 SILURANTRE」

連載  世界の名作(迷作)キット発掘コーナー (第29回)

スーパーモデル1/72
「FIAT G55 SILURANTRE」

by 鳥巣 Torisu           /    

 

<実機解説>

WW2開戦以降低馬力のエンジンのため連合軍気に苦戦を強いられてきたイタリア空軍はドイツから供された高性能のDB605エンジンを搭載した新型機の開発を各航空機メーカーに指示しその中でFIAT社はG50を設計したガブリエル技師を登用してG50より更に洗練されたG55「チエンタウロ」を開発した。

初号機は1942年4月30日に初飛行しその連合軍機に引けを取らない高性能をアピールした。これをみた当局は早速600機の生産を指示したが元々貧弱な生産ラインと多種多様の軍用機の生産のため1943年9月の休戦までに数十機しか引き渡されず1個飛行隊がローマー防衛のため実戦に投入されたにすぎなかった。

 

<G55S>

本機の持つ稀有な機体強度と1450hpという大馬力に目を付けた当局はそれまで使用していたSM79雷撃機に代わる雷撃機として戦闘雷撃型の試作を指示した。
試作機は胴体中央にあったラジエターを主翼下面左右に分割してその間にできたスペースに魚雷を搭載した。
地面と魚雷との間のクリアランスを取るために尾輪の支柱を伸ばすなどの配慮もされている。
実機は試作機で終わってしまったがもし量産され実戦投入されればその持つ強力な武装と高性能で地中海に展開する連合軍艦船の脅威になったであろう。
(機体概要)
全長:   11.85m
全幅:    9.37m
全高:    3.13m
全備重量:  4410kg
エンジン:DB605(後にライセンス型RA1050RCを搭載)     1.450hp
最高速度(魚雷搭載時):     570km
上昇限度:12.700m
航続距離:1200km
武装:20mm機関砲×3
   12.7mm機銃×2


<キット解説>

イタリアに拠点を置くスーパーモデル社のキットです
日本国内では1980年代半ば頃から流通するようになりました。
レジャーネやマッキ205・FIAT・カント3発機等これまで地元では見たことのないイタリア機の発売に心惹かれました(笑)
少し眠たげなモールドが目を引きますが
キット全体としては実機のイメージをきちんと捉えています。
先に発売されたG55のキットをベースに雷撃型用に新規に作り起こされた主翼パーツと魚雷が同封されています。
キャノピーパーツは肉厚で透明度はやや難ありです。
デカールは少々透けているのと発色が弱いです
ここは他社メーカーのデカールを流用しても良いでしょう
箱絵

組み立て

<コクピットから>

コクピットフロアーの床パーツとクランク型の座席と思しき物とパイロットの3点のみからなっています
ステックや計器パネルは一切ありません
パイロットを取りつけてキャノピーを閉めると中が殆ど見えないので何も追加工作をしませんでした。
胴体内部をMrカラーNo312のイスラエル軍用グリーンで塗り座席を銀で塗り分けました。

<胴体と翼の組み立て>

胴体の左右会わせ部分と主翼と胴体のフィレット部分に隙間が生じたのでタミヤのラッカーパテを盛り付けて埋めました。
水平尾翼と胴体の接合部にも隙間が生じるのでこちらも同じように埋めました。


<パテのヤスリ掛けとサフ吹き>

盛り付けたパテの感想が終わったら紙ヤスリの#400・800・1000・1500・2000番と番数をあげて削ります。
ついでに眠たげなキットのモールドも一緒に削り落します
2000番で磨いて表面を整えたらクレオス#1200の缶サフ(グレータイプ)を吹きつけます。

<消えたパネルラインのすじ堀>
サフを吹き付けて整えたキットに消えたパネルラインを掘りなおします。
胴体や翼にある主要なパネルラインだけをマスキングテープとトライツールのテンプレートを使いP-カッターで掘りました。



<塗装>

すじ堀が終わったら塗装です
インストでは下面ライトブルー
胴体と翼上面はダークイエローにグリーンの迷彩
と指示されていますが
72のスケールで蛇行迷彩を綺麗に塗ることができないので
1943年9月の休戦以降に北部イタリアで連合軍と交戦したイタリア共和国軍で使用されていたらという仮想設定にして
機体下面・RLM76「ライトブルー」
機体上面・RLM75「グレーバイオレット」ベースに
     RLM74「グレーグリーン」の迷彩を施しました
機体側面にはグレーでスポット迷彩をしました。
塗装が乾いたら
エナメルの黒でウオッシングを施し全体のトーンを落ち着かせました。


<脚と魚雷の取り付け>

銀で塗装した脚パーツを取りつけます
主脚には取りつけ向きがあるので注意してください
機体前方に向かって斜めの角度に付くのが正しいです
主脚を取りつけたら尾輪をつけます
魚雷を搭載するために地面とのクリアランスを広げているので支柱が伸びたタイプの尾輪パーツを付けましょう。
キットにはベースになったノーマルタイプG55の尾輪も入っているので注意してください。
脚と脚カバーの取り付けが終わったら魚雷を取りつけます

魚雷パーツ左右の張り合わせ箇所に隙間が生じるのでパテを盛り付けて修正しました。
この魚雷パーツにはスクリューが無いので手元のジャンクパーツから流用しました。
本体を黒と銀色に塗り分けてアクセントとしてスクリューを金で塗りました。
魚雷の塗装が終わったら機体に取りつけます
取り付け位置がインストでははっきり分らなかったのでネットで収集した側面図を参考に取りつけました。


<プロペラの取りつけとデカール貼り>

プロペラ本体をジャーマングレーで先端をRLM114イエローで塗り分けました。
スピナーはアクセントに成るようにグランプリホワイトで塗り分けました。
デカールにはイタリア共和国軍(ANR)と1946年以降の2種類の国籍マークだけ入っています
国籍マーク下自の白はちょっと透けています。
気になる方は他社の物を使っても良いでしょう。
国籍マークは左右対称なので注意してください。
国籍マークだけでは寂しいのでジャンクデカールから数字を拾って貼りました。

<キャノピーの取りつけと仕上げ>

キャノピーを最後に取りつけます
胴体にフイットしなかったのでキャノピーと胴体の干渉する箇所を削り治しましたが右側の隙間が治しきれませんでした(泣)
キャノピーの取り付けが終わったら制作前に切り飛ばしたピトー管を取りつけました。  
オリジナルの主翼に搭載された機関砲はキットのままだと唯の棒にしか見えなのでWLの巡洋艦の主砲を加工した物と交換しました。
ピトー管と機関砲を取りつけた後
反光沢を吹き付けて完成です


今月も戦闘雷撃機という珍しいジャンルのキットを制作する機会を与えてくださった編集部に感謝です。
参考資料
文林堂:第二次大戦イタリア・フランス・ソ連軍用機
インターネット
フリー百科事典「ウィキペディア」
キットのインストより参照

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