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「アルバトロス W4」(ローデン1/72)

by 作左衛門



 こんにちは、作左衛門でございます。
水上機の特集ということで、このアルバトロスD1の水上機タイプをチョイスしました。ローデンでは前期・後期のバージョンがあります。少しの違いがありますが、ほぼ同機種なので2機同時進行としました。
(00キット)


 実機は、1916年ドイツ海軍省はフランダース沿岸の基地防備のため、アルバトロス社をはじめ数社に水上単座戦闘機を発注しました。迅速に応えるためには、既存の戦闘機の流用が最も簡単で早い方法でした。そこで、アルバトロス社はアルバトロスDⅠの機体を基礎として、翼面積を拡げ、フロートを取り付けたW4を開発しました。
最初のプロトタイプは1916年8月に試験飛行のため海軍省に納入されましたが、フロートが短すぎたため、上昇に問題があり一旦戻されます。1ヶ月後に修正され、再びテスト飛行されました。パイロットは操縦性に難点をつけましたが、最大速度・上昇速度ともに十分の出来でした。しかしアルバトロス社にとって初めて海軍の環境での航空機の利用は、塩分を大量に含んだ海水のトラブルに直面します。
ファブリックで覆われた翼、木製のフロートとプロペラは「海水の塩」に簡単に損なってしまいます。また初期型はラジエターが胴体側面に付いていたために海水の進入も顕著でした。
これらの欠点を後期型ではなるべく補い、ラジエターは翼(上翼)に搭載されました。海軍省の早急に納品せよという要求に対して、間に合わせの戦闘機でしたが、水上機の代表選手、ハンザ・ブランデンブルグW12の登場まで、連合国の戦闘機と互角以上の働きを示しました。1916年6月から1917年12月までの間に117機が生産され、エーゲ海でも任務についていた記録もあります。
装備は機首に7.92mmLMG機関銃1門または2門。
翼幅9500mm、長さ8500mm、最高速度160㎞/h、重量1070㎏、乗員1名

 さて、キットです。インストどおりエンジンからです。指示どおりに組み立てて塗装。
塗装は、下部を瞬着で爪楊枝に仮止めし、フラットブラックで全体を吹きます。乾燥後エナメルのメタル系でメリハリをつけます。
計器パネルのパーツはなかったのでネットからの資料で自作しました。プラ版にピンバイスで穴を開口し張り合わせて形を整えます。ブラックとホワイトでそれらしく書き込み、エナメルのクリアを落とし込みます。
(01 エンジン) 


(02 計器パネル)


シートにはマスキングテープの細切りでベルトをつけます。また、サイドコンソールも見えそうな範囲内でディティールアップ。左右胴体を接着しエンジンを積みます。
(03 コクピット)


  後期型は胴体上部、主尾翼上部、フロートなどには3色ローゼンジパターンが施されています。フロートは凸凹があるので、それ以外の部分にはとりあえずデカールを貼ります。
かなり質が悪く、一部バラバラになる箇所もありますが、気にしないで貼っちゃいます。
(04 ローゼンジパターン01)



 パターンどおり丁寧にデザインカッターでゆっくりと筋を入れていきます。見やすいようにスミ入れしときます。
(05 ローゼンジパターン02)



 最初に国籍マークの白塗装です。グラフィックソフトでマークを作り、シール紙にプリントアウト。フラットホワイトを吹きつけました。
(06 国籍マーク)



次は間違えないようにパターンに各色毎のマーキング。この時点では一番色の淡いグレーは吹きつけてあります。
(07 ローゼンジパターン03)



筆で丁寧に塗り分けていきます。ガンダムカラーからチョイス(笑)
(08 ローゼンジパターン04)



フロートの塗装は前回のように、パターンをグラフィックソフトで作ってプリントアウト。切り抜いて吹きつけました。この凸凹にデカールを貼るのはちょっと無理なんで(笑)
で、ローゼンジパターンは終了です。ふぅ~
(09 ローゼンジパターン05) 


(10 ローゼンジパターン06)



国籍マークのフラットブラック、垂直尾翼の国籍マーク、ローゼンジパターンのレタッチで後期型はほぼ塗装が終了です。
( 11 機体と主翼)



さて、前期型の木目。木目以外はテープとティッシュでマスキング。全体に明るい茶系の色を吹きつけます。バフに茶を混色したものです。
(12 木目01)


 (13 木目02)


完全に乾燥させてから、面相筆でシャカシャカと木目を描きこんでいきます。レッドブラウンに黄色を混ぜた色や、ウッドブラウンに赤を混ぜた色など2~3色を描き重ねていくように。パネル毎に多少のメリハリを付けると効果的になります。
(14 木目03)


 ( 15 木目04)



主尾翼はマットリネンのみ。国籍マークは後期型同様ホワイトを吹きつけてからフラットブラックを吹きました。
(16 機体と主翼02)


慎重にすり合わせながら、ストラットを組み入れます。強度も兼ねて真鍮製にしました。
(17 ストラット01)


 (18 ストラット02)



フロートを接着し、リギングです。主にヒートン状のアイボルトを使用しました。下翼で糸を通して結び、上翼で瞬着固定してから下翼を固定します。エルロンなどの可動部分は突き通し方式にしました。
(19 リギング01) 


(20 リギング02)



水上機なので、やっぱり水の上に浮かべてみたいもの(笑)
ベース作りです。すこしタイプの違う浅い海底を二つ作ってみました。タイルの目地材を流し込んで鉄道模型用の極小のバラスト、AFVジオラマ用の小石などを埋め込みます。
(21 ベース01)


 (22 ベース02)



ひとつのベースには桟橋なんぞを(笑) 細切りのプラペーパーを貼りプラの角棒で足を作ります。木目塗装し、軽くウェザリング。鉄道模型用のストラクチャーで、足にコケを付け足します。
(23 桟橋01) 


(24 桟橋02)



今回の水の素はクリスタルレジン。主剤と硬化剤を混ぜてよく攪拌し、エキポシ用塗料のマリンブルーで着色します。
(25 レジン)



少し大きめのトレイ( 100均で購入)にベースを入れ、割り箸を渡して飛行機を浮かした状態で固定し、レジンを流し込みます。色がちと濃すぎたと反省!(笑)海底がちっとも分からないという……。この状態で24時間以上そのままに。
(26 ベース固定)


レジンが完全に固定したらリキテックスのマティリアルで水面に少し変化を付けます。レジンのみだと、硬化時間が長いため微妙な振動……例えば我が家は国道がすぐ近くを通り、車の往来が頻繁なので、その小さな振動(もちろん人体には感じない程度)により、無数の細かい皺のようなものが出来てしまいます。するとその部分はつや消しに見えて、どうも海面には見えません。その解消にグロスポリマーメディウムが役立ちます。ツヤアリの水溶性パテみたいなもので便利な逸品。そして小波のような凹凸にジェルメディウム。あまり盛りすぎると白濁しますが、塗り重ねていくと透明感ある凹凸になります。最後にブレンデッドファイバーで波飛沫を。細かい繊維質で淡い白で硬化します。グロスポリマーメディウムと混ぜると効果的。
(27 リキテックス)



というわけで、どうにかこうにかの完成です。
前期型が夏で後期型が冬というシチュエーション。フィギアは全てプライザーで簡単な改造をしました。
(28 完成01)


(29 完成02)


(30 完成03)


(31 完成04)



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