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  F86F セーバー 台湾・雷虎小組“サンダータイガース”(フジミ 1/72)

by 加藤 寛之


 2機セットの片割れの1機。ワールドホビーショップはせがわのご主人から「こんどのSLB展示会用に作りますか」と声がかかった。パーツ構成は部品数を抑えたもので、組みやすそうだ。ちょうどタミヤの水性塗料の銀色を使ってみようと買い入れてあったので、試しに使ってみるチャンス。そういうことで、預かってきた。キットそのものの発売時期を調べたら、1986年の夏ころ。立て続けに数種のバリエーションが発売されたようだ。
コックピットは吸気ダクトの上に床板をのせる構造だ。完成後に穴を覗いて見ることもないので、テキトウに色を塗ってさっさと組み上げておく。
エンジン前面が胴枠状に成型されていて胴体中央に収まる設計だが、こういう部品が胴体の接着を妨げることがある。念のため一回り削っておく。主翼はパイロン用の穴を開けるように指示があるので開けたが、よく考えれば雷虎小組にサイドワインダーは似合わない。結局は下面に穴だけが残ることになった。しかし、この主翼はイケナイ造形だ。断面形は第二次大戦初期の飛行機みたいだ。しかも、なぜか翼幅の中ほどが厚い。さらに左右翼で感じが違う。銀色に塗ると面の歪みが目立つので、ある程度はごまかさないとみっともない。よって、前縁付近だけ多少はマシな形に削っておいたが、気にはなる。ここで話しは終わらない



主翼と胴体を合わせてみると、思った通り、上反角が足りない。しかもエンジン前面パーツと干渉して所定の位置に収まらない。これは邪魔なものを片付け、胴体を細くする必要がある。そこでエンジン前面パーツをむしり取り、下面側の接着面を少し削りとって胴体の幅を狭くした。これでOK。水平尾翼も第二次大戦初期の飛行機みたいなので、前縁を上下から削っておいた。  垂直尾翼も表面削りが必要で、特に前に伸びるフィンは問題。厚すぎる上に、上に尖っているはずの断面形が横に膨らんでいて逆の形だ。とりあえず膨らみを削り、あとはやや暗い色を塗って視覚的にごまかす。・・・いろいろ書きたいが、止める。とにかく、いろいろ調整して組み上げる。出来上がればそれで良いのだ。



 塗装は、タミヤの水性塗料で銀を筆で塗ることがテーマ。結論からいえば、GSIクレオスの銀よりも扱いやすかった。発色は渋い銀色というところ。ほとんど光らないのだが、私はピカピカの銀よりも渋い方が好きだ。軽い刷毛目は残ったが、これは別に気にならない。 ツルリとした面が欲しい人は、噴きつければよいのである。デカールはとても貼りやすい。でも、ちょっと大きめ。胴体の斜め帯と国籍マークの位置関係は、斜め帯を貼る位置が後ろ過ぎたことと大きめであることが合わさって、だいぶ指定と違ってしまった。



完成して眺めると、造形は太めだ。特にコックピット付近が太く感じられる。そういえば、しばらく前に作ったハセガワのF86は痩せ型だった。理由を勝手に考えた。ハセガワがキットを作った時代、原型製作者にとってジェット機はスラッとカッコいい飛行機だったはずだ。細く伸びているように感じられたのではないか。 フジミの時代になるとF86は旧式な丸い飛行機に見えたのかもしれない。プラモデルは実機の縮小ではない。印象の再現なのだ。そう思ったら、急に愛おしくなった。


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