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「ロイドC.V」(Sierra Scale Models 1/72)

by 作左衛門
 


作左衛門でございます。私の「心に残る思い出のプラモデル」は初めてのバキュームフォームキットの製作でした。いつかは作ってやりたいという思いはありましたが、あの凸凹のあるエンビ版(笑)を見る度に躊躇してしまいます。しかし、インジェクションキットに恵まれているとは言えない72スケールの複葉機を作り続けるためには、いつかは避けては通れない道でもあります。アイテムも豊富だし……。と、いうわけで意を決して挑戦してみました。キットは米ケンタッキー州にある「シエラスケールモデルズ」です。
バキュームフォームキット専門に、72と48スケールを精力的にリリースしている会社で複葉機からレシプロ機まで幅広いラインナップ。機種も魅力的なアイテムが揃っています。
(02 キット)


実機のは大戦末期より東部戦線に観測機としてキャリアの比較的短い参加でした。特徴的には、当時はファブリック全盛の頃ですが、機体のほとんどがマホガニー合板から造られています。この技術革新はメンテナンス、戦闘ダメージの修復、翼の内側に溜まる湿気による構造疲労で多角的な問題を引き起こしますが、パイロットの受けは非常に良いもので、操縦の安定性、速度ともに好評でした。戦後も軍のトレーナーとして使用されたり、各部隊への書類配信のための郵便配達機としても活躍しています。


まずはパーツの切り出しです。少し大きめのハサミでジョキジョキとカット。
その後カッターで余白を取り除き、ヤスリで微調整します。
(03パーツ切り出し)


エンジンパーツは自作するしかありません。ジャンクパーツをベースとして、見えやすいエンジン上部をプラ材で作りました。排気管で使用する真鍮パイプと同径のプラロッドを差し込んで調整。今ではブログその他でプラモデルの製作記をアップされてる方も多く、大変貴重な資料となる場合も少なくありません。今回も48のスペシャルホビーのキットの製作記(外国の方)が参考になりました。
(04エンジン01)


 (05 エンジン02)


コクピット内もパーツは無いに等しい(あるものもありますが、使用に耐えられず)のでシートをはじめ、計器パネル、操縦桿などを自作。それなりに塗装です。
(06 コクピット01) 


(07コクピット02)


上下主翼、尾翼はパーツのままだと、どうしても薄い印象があるので、エバーグリーンのプラ材で裏打ちしました。  
(08 翼01) 


(09 翼02)



 表面はパネルごとのフレームを入れていきます。見やすいように(私本人が)エナメルで墨入れ。
ファブリック部分には0.3のプラロッドを貼り付け、ラッカーパテでゆるやかなアールを再現してリブモールドをつけました。
(10 翼03) 


(11 翼04)


カバネストラットは真鍮にしました。逆ブイ字の接合はハンダ付けです。
排気管が干渉しないようにプラロッドを差し込んでおきます。
カバネストラット前面に装着されるラジエターもほぼ自作。後脚もプラ材で削りだし、エッチングのジャンクパーツで自作。
(12 カバネ支柱)


 (13 ラジエター) 


(14 後脚)


主脚もパーツを削りだして形を整えるのは不可能と悟り(笑)、真鍮製に……。
ここも強度を付けたいので、ハンダ付けにしました。
機銃は付属パーツを使用し、簡単な改造。銃架は真鍮線をマジックペンの曲面を利用して曲げ、ジャンクパーツでそれらしく。
(15 主脚01)

 
(16 主脚02)


 (17 主脚03)


 (18 機銃・銃架)


さて、木目です。この飛行機は機体全体が木製で出来ているので木目塗装は避けては通れません(笑) イエローとブラウン、オレンジをブレンドした塗料(ラッカー系)で全体をわざとムラになるように、吹いていきます。乾燥後、レッドブラウンを面相筆でシャカシャカと木目を描き込んでいきます。
(19 木目01)


 (20 木目02)



レッドブラウンにブラックを少し混ぜたものでさらに描きこみ、メリハリをつけます。コントラスト(色の明暗)をぼかすために、一番最初に吹いた塗料に少しバフを混ぜた色で全体を吹いて終了。
(21 木目03)


 (22 木目04)



小物パーツの取り付けです。
機首にはラジエター、排気管など。また、銃架も取り付けます。
(23 機首)


 (24 銃座)


国籍マークは塗装としました。グラフィックソフトでトレースし、シール紙にプリント。
マスキングしてフラットホワイト、フラットブラックの順で吹きつけます。
(25 マーキング) 


(26 上翼)


で、やっとこさ「天の字」です(笑)
(27 機体・主翼)



カバネストラットに上翼を接合し、翼端のストラットを慎重に微調整しながらはめ込んで接着。ストラットは斜めになっているので長短の間隔が難しいところです。で、塗装。
(28上翼取り付け)


 (29ストラット01) 


(30ストラット02)



糸張りはへら釣り用のハリスです。下翼に通して上翼で結び瞬着で固定していきます。
翼間が変わってくるので、翼の左右同時進行でリギング。エナメルのフラットブラックで塗装します。
(31リギング)



機銃、ペラ、車輪などを取り付けて完成です。完成後にパステルで若干ウェザリングを施してみました。
完成までを振り返ってみれば、バキュームキットといっても合いも悪くなく、それほど難しくは感じませんでした。インジェクションのようなパーツに、成形する作業が増えるという感覚です。ただ、めんどくさいのはバキュームで細かいパーツはどうしても形の不安定さは否めないので、プラ材や金属などのマテリアルを使用して一から自作する作業です。昨今では、バキュームキットの需要は減る一方でありますが、第一次大戦機に限っては明らかに機種の選択範囲が広がり、作る側のモチベーションアップの一環となります。
私にとっては、このロイドC.Vは初めてのバキュームキットで思い出の1機となってくれました。
(32完成01)


 (33完成02) 


(34完成03) 


(35完成04)


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Vol42 2012 June     www.webmodelers.com /Office webmodelers all right reserved /editor Hiromichi Taguchi 田口博通
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