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  アブロ・カナダ CF-100 Mk.4B カナック
(ホビークラフトカナダ 1/72)

by 加藤 寛之

 この飛行機を初めて知ったのは、「航空情報」別冊『世界のジェット戦闘機』だった。「なんてカッコ悪いんだ」と思ったけれども、そのインパクトは強かった。このキットは出張の折、甲府で帰りがけに購入したような気がするが、昔のことではっきりしない。 今回、SLB展示会のテーマの一つが「夜間飛行」だったので、全天候戦闘機のカナック登場となった訳である。月夜に飛ぶ銀色の怪しい機影を描いた箱絵が不気味である。



キットは箱絵以上に不気味だった。組立図がちゃちなのは作業に支障がないので許せるとして、塗装説明の正面図の左エンジンが半分欠けていて主翼の上反角が左右で違っているのは、どうしたことか。校正ミスとはいえ問題である。まあいい、パーツを見よう。キットの構成は単純なもので好ましい。チェックしてみると主翼上面パーツが曲がっている。事後変形だ。ここは腕力でグイと逆に曲げたら、パチっと前縁が割れてしまった。 どうやら、あまり粘りがない材質らしい。こんな傷はテキトウに直せばよい。ところがよく見ると、この主翼はヘンだ。付け根やけに薄い。それどころか先端まで同じ厚さだ。これは減点だ。主翼が薄ければ、胴体との合わせ部分の造形に影響するはずだ。さっそく点検すると、胴体の中心線に対して主翼が前下がり付くようになっている。取付角がマイナスなのだ。これも大減点だ。



 “後胴は?”っと不安がよぎる。このキットの胴体後半は別パーツなので、仮組してつなげてみる。“尾部が下がっているじゃないか!”。つまりどういうことかというと、主翼は前下がりで、水平尾翼は胴体と一緒にぐにゃっと後ろ下がり。あれやこれやでハンパな減点では済まされない。ちょっと酷すぎる。主翼は前上がりに接着して誤魔化せそうだが、それでは前縁あたりの胴体下面側が下に出すぎる。翼端ポッドも上向きになったりしまう。修正しなくても言わなければ分からないのだから、ここはそのまま主翼と胴体を接着する。 尾部は前胴との接着面を削って持ち上げ、改善した。細かく見ると、それ以外でもあちらこちらで形が違う。もう修正はやめて、プラモデルとして完成させることにする。要するにだ、これはスケールモデルのふりをしているだけだ。飛行機の模型の“ような”形を真似たに過ぎない。飛行機としての形の基本がおかしい。
でもしっかり作って完成させましょうね。模型作りは楽しくなくちゃ。カナックなんて他にキットがないので、比較されないから大丈夫ですよ。気楽に作りましょう!



塗料は、今回もタミヤ水性塗料の銀を使った。今回はパネルで色を少し変えてみた。さらにピカピカと光らない特性を利用して、褪せた感じにしてみた。全体がほぼ銀と黒だけなので、塗装は簡単に終わった。翼端灯の位置が分からなかったので、これは省略して完成を急ぐことにした。デカールは硬めだが、劣化もなく使え嬉しかった。
前脚をガッチリと接着したら、あとから長すぎが気になった。ニッパーで途中を切って、1ミリ以上縮めて再度接着、改善した。
 長年、気になっていたカナックである。見事に完成して嬉しい。ちゃんとカナックに見える。胴体が大きく存在感があって、なかなか立派じゃないか。作っていて面白かったし、これで充分に満足した。満足したから「もう一個持っていなくて良かった」と思った。


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Vol 42 2012 June.    www.webmodelers.com /Office webmodelers all right reserved /editor Hiromichi Taguchi 田口博通
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