Home  >メッサーシュミット 109 (エレール 1/72)


  メッサーシュミット 109 (エレール 1/72)

by 加藤 寛之


BfでもMeでもなく、型式もなにもない。「Messerschmitt 109」という商品で、小箱に入ったエレールのお手軽キットシリーズの一つである。行きつけの「ワールドホビーショップはせがわ」の棚に、最後の一つで売れ残っていた。先日、これが「1/72」であることに気付いた。箱絵をみると、G-6/R-6である。 「エレール」「Messerschmitt 109」「1/72」「G-6/R-6」となれば、これはエアフィックスのBf109Gの金型であると確信、購入した。値段は600円だった。
もちろんエアフィックスのBf109Gで正解だった。 袋入りの時代から売っていた、あのキットである。



ただしスナップキットに改造されており、太い棒の凹凸がいくつか追加されていた。機関砲は太く加工されていた。デカールは、と見ると、内容は箱絵にそったものだが塗装図には緑一色の機体が描かれていた。“これは何?”と思ったが、すぐに分かった。キットの成形色なのだ。塗装するのではなくて、塗装しないで作るスナップキットなのだ。 これには驚き、心が揺れた。かつては優秀作といわれたキットが、会社の看板を変え、いつのまにかオモチャになっていたのだ。何か、真面目に働き続けた者の成れの果てのように思えた。
「栄光の時代を支えた意地を見せてやろうよ」
そう思って、作り始めた。



 多くを書く必要はない。キットを素直に組み上げただけだ。機首のコブは左右つながったままだし、主翼上面のタイヤの膨らみの位置もそのまま、アンテナ柱の場所もキット指定のままで組んだ。動翼関係に多少は手を加えたが、特別に書くほどのことはない。 塗装指示はないから、「メッサーシュミット風」に好きなように塗ってある。スワスチカは最初からなかったので、これは別売デカールを使った。展示会直前に手がけて3日後には完成、おそらく数時間程度で出来上がった。



「Messerschmitt 109」。それは現代に通用しない再現度である。デッサン面でもつたない感じは隠せない。時代の変化がこのキットをB級品、いやスケールモデルとして失格させたことは理解できる。  でも、作ってみれば同じ感動があるし、カッコイイじゃないか。簡単に出来るし、ちゃんとメッサーシュミットに見えるじゃないか。もはや忘れられたキットに違いない、でも輝きは呼び戻せる。
そう評価して終えたい。



  Home>メッサーシュミット 109 (エレール 1/72)

Vol 42 2012 June.    www.webmodelers.com /Office webmodelers all right reserved /editor Hiromichi Taguchi 田口博通
  無断転載を禁ず  リンクフリー
「webモデラーズ について」

特集1



TOTAL PAGE