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F6F-5 ヘルキャット
フジミ 1/72(1/70)

by 加藤 寛之



 Webモデラーズフォーラムにフジミの1/70ヘルキャットが載っていた。懐かしい。そこで作ることにした。これは数年前に雑多なリサイクルショップで見つけたもの。「古いから安いよ」みたいな値段だった。プラモデルって、普通の人には不用品なんだね。
こ のキットは昭和41年5月発行の『プラモ・ガイド』1966年版に載っている。そのころは100円キットということだろう「ワンハンドシリーズ」で1/70だったが、入手した製品は「1/72スケールシリーズ」で、お値段は200円とある。組立説明書には「1976.4」の文字があるから、諸般の事情でスケ-ル表記を調整したのだろう。
私自身にとっては、今回は40数年ぶり3度めの組み立てである。一つめはイギリスの迷彩にしたら変な色になってしまった。2度めは『プラモ・ガイド』がおっしゃるように風防の上部を削ったら、薄くなって穴を開けてしまった。“記事を書いた人は自分ではやっていないんじゃないか”と思った、苦い経験がある。



 さあ、組み立てよう。コックピットは背板と椅子、前方には計器板位置に仕切りがあるから、当時の水準では充分な出来。尾輪は後から組み込めるように加工して、左右胴体を接着する。並行して左右通しの主翼上下を接着する。主翼は胴体接着後に横から差し込む方式で、組みやすい。 しかしこの断面形はなんだ、最大厚部分が真ん中よりも後ろじゃないか。後縁も丸くてものすごい厚さだ。まあいいか、紺色に塗ってしまえば気にならないだろう。その胴体と主翼の間だが、そこにはすごい隙間があく。前後と上下に各1ミリくらい余裕(これをガタという)がある。動かして考えた結果、上方かつ後部へ寄せて接着した。隙間はプラバンを詰め、パテにも少しお世話になったが、とりあえず埋まっていればよい。



垂直安定板は前縁の側面形を削って修正、アンテナは真鍮線に代えて丈夫にする。主翼端は前方の角を丸める。水平尾翼にあるエレベーターのモールドは“ちょっとどうかな”と思うところもあるが、これも紺色に塗ってしまえば気にならないだろう(そんなところはあちらこちらにある訳だし)。40年前に穴をあけてしまった風防は、今回はキットのまま使う。このトンガリがフジミらしさなのだから、懐古趣味的にはこれでよいのである。 ただし3型の窓枠なので、塗装で5型にする。プロペラは薄く削り、取り付けの際にやや下向きに固定して、エンジンにダウンスラストがあるような感じにする。タイヤが薄くて貧弱なのにはガッカリした(もちろん知っていた)が、それがフジミのヘルキャットなのだから、そのまま使うことにした。私は爆弾を付けなかったが、爆弾のフィンの薄さは見事。今日でも間違いなく一級品である。



 塗装は全面紺なので、非常に手軽。部分的に黒で凹部分を強調、エッジには明るい色を入れてメリハリをつけたが、控えめにしておく。一瞬、“排気汚れを入れようかな”と思ったものの、やめた。その方がカッコいいに決まっているが、せっかくの手軽な一色塗装だし、その時間は次のキットの製作に使うことにした。迷ったところは、主翼の胴体横のステップの有無。それが分からない。結局、見た目が楽しいので塗ったが、正否不明。まあ、どっちでもいいことにする。 塗装が済んだらデカール貼りだが、ヒビだらけでさすがに使えそうにないことくらい分かっていた。そこで行きつけの「ワールドホビーショップはせがわ」でアカデミーのヘルキャットを購入しておいた。このキットはデカールが2種入っていて、これならばムダにならないと考えたのだ。全面紺色は塗装嫌いの私にピッタリ、しかも流用デカールが冴えて馬子にも衣装、フジミのヘルキャットがなかなか立派に見える。これはいい!



 しかしだ、よく考えてみるとデカールのためにアカデミーのキットを買ったことで製作費はかさみ、せっかく一つ減った箱は一回り大きい箱に置き換わってしまっただけではないか。
完成の喜びの後には、深いため息が残った。




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Vol 48 2012 December.    www.webmodelers.com /Office webmodelers all right reserved /editor Hiromichi Taguchi 田口博通
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