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連載  世界の名作(迷作)キット発掘コーナー (第41回)

 「AH-1Gコブラ」 (マッチボックス1/72)

by 鳥巣 Torisu           /    


 

<実機解説>

ベトナム戦争においてヘリボーン作戦が本格的に行われる中で問題になってきたのは着陸地点で待ち構えて攻撃する解放戦線(ベトコン)であった。この存在に手を焼いた米陸軍ではUH-1輸送ヘリに武装を施したガンシップヘリで対処したが本来輸送ヘリな為武装を施すと兵員や物質の搭載ができなくなり更に機体重量が増え輸送ヘリに随伴できなくなるという欠点も露わになった。
この問題を解決するために当時ベル社が自費で開発していた「モデル209」に目を着け他社メーカーと共に攻撃ヘリとして正式に競作を指示した。そして1965年シコルスキーやカマン社を破り正式に攻撃ヘリとして採用された。
モデル209の勝因としては当時主力輸送ヘリのUH-1と同じエンジンやトランスミッションやローター等多くの部品が互換性がありタンデム複座を採用し良好な視界の確保とスリムになった機体形状のお陰で攻撃ヘリとしての敏捷性を得たことによる。
軍での運用試験も早々と切り上げベトナム戦に投入されたコブラは1967年9月に初戦果を上げて以来ベトナムから米軍地上部隊が撤退する日まで輸送ヘリの護衛・地上部隊への火力支援等多岐の任務を全うした。
概要
胴体全長:13.4m
胴体幅 :1.05m
最大重量:9.500ポンド
最大速度:145kt
航続距離:315nm
乗員:前席にガンナー・後席にパイロットの2名
装備 エマーソン社M28A1ガンターレット
(7.62mmバルカン砲1基・40mmグレーネ  ード1基搭載)
 スタブウイングにM18E1ミニガンポット、M157・2,75inロケlッツオ弾ポットなど計700kgまで搭載可能



<キット解説>

1973年に英国のマッチボックス社が発売したキットです。
もはや伝統となっている運河彫りのパネルラインそしてビキナーに優しい少ないパーツ構成です。
機首部にミニガンのみ搭載したTAT-102Aガンターレットを持つ初期生産型をモデライズしています。

珍しい事に72のスケールとしては他社キットには殆んど見られないM18E1ミニガンポットが付属されています。
キャノピーはやや肉厚ですが透明度は良いです。
デカールは陸軍と海兵隊の2種類がセレクトされていますが若干のコーションマークと機体Noそして陸軍と海兵隊の文字のみと言う非常にシンプルです。
箱絵
箱裏塗装図

製作

<コクピットから>

フロアー・座席・機器盤・ステックの4点で構成されています。計器盤にはモールドされていませんし座席も全く形状が異なるのでハセガワのコブラから移植した方がいいでしょう。
ストレートに作るのがこのコーナーの趣旨なのでキットのパーツのまま使用しました。
コクピットは機体内側及びコクピットフロアーは全て黒く塗られているのでMrカラーNo40ジャーマングレーで塗り潰しました。コクピットが黒一色の世界になってしまうので色を着けるためにハセガワのキットからヘリパイを持ち出して搭乗させました。



<胴体の組み立て>

コクピットの組み立てが終わったら胴体を組みます。
インストには錘の指示が有りませんが尻もち防止のためコクピットの下にM5のナットを2個入れました。
胴体を貼り合わせる前に機首部のガンターレットを組みます。バルカン砲は可動出来ますがカタカタと動いて落ち着かないのであえて固定しました。
バルカン砲を組みつけたらエンジン排気ダクトを付けます。ここで着け忘れると後着けが出来ないので忘れずに着けて下さい。
ガンターレットとノズルを着け終えたら垂直尾翼を取り付けます。





<パテ修正>

思ったほど酷い段ズレや隙間は発生しませんでした。胴体左右の貼り合わせ箇所にラッカーパテを盛り付け #240・400・1000・1500と紙ヤスリの番数を上げて削り最後に#1000の缶サフ(グレー)を吹き付けて修正は終わりです
パテ盛りで消えたパネルラインを彫り直して基本工作は終わりです



<塗装>

基本OD塗装ですが一色だと単調になるので複数の色調の違うODを使用してメリハリを着けました。
機体全体にジャーマングレーを塗ります
次にMrカラーNo12「オリーブドラブ」を重ねて塗ります。
陰影を着けるためにパネルラインに沿ってジャーマングレーを塗ります。
更にNo12のODを重ね塗りします。
ハイライトとしてNo38「オリーブドラブ2」をパネルの中心から外へ向けて吹きつけます。
全体のトーンを落とすためにタミヤのウオッシング塗料「茶色」でウオッシングを施しました。
アクセントとして水平尾翼にはRLM114「レッド」を塗って塗装は終わりです。




<デカール貼りと仕上げ>

キットのデカールは経年劣化で使えなかったのでジャンクからフジミのAH-1Sから流用しました。
インストの指示に従って塗装したローター類と装備品を取り付けて最後に枠を黒く塗ったキャノピーを取り付けます。仕上げの半光沢クリアーを吹き付けて完成です。
第一印象はマッチボックス特有の玩具ぽいキットでしたが塗装をして汚しを加えるとベトナム戦をくぐり抜けてきた恰好良いコブラが出来上がりました。
今回もマッチのAH-1Gコブラを製作する機会を与えて下さった編集部に感謝です。



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