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F-94スターファイア (レベル 1/53)

by 加藤 寛之

 F-94スターファイアはT-33を改設計した全天候戦闘機で、F-89スコーピオンが配備されるまでの暫定的戦闘機として開発された。F-94のA型やB型は、本格改造のC型配備までのさらに暫定戦闘機だった。 キットは本格改造のC型で、全体の構成はT-33だけれども、ずっと獰猛な姿に変貌している。「94」の数字でわかるように、マッハを超えるセンチュリーシリーズ登場はまもなくであった。 




 このキットは1953年の発売だそうだ。昭和28年、それは第二次世界大戦が終わって8年後である。私がプラモデルを趣味にしはじめたときには既に過去のキットだった。タカラレベルで発売したことは確かだが、郡是レベルの末期にもスポット販売したような曖昧な記憶がある。機体にマークの位置が刻印された、粗いリベットのボ~っとしたキットは、そのときに私の心を刺激した。今になって、それを作ってみた。 キットの特徴は、パーツの単純さであろう。部品数は僅か26こ、これで1機完成する。コックピットは1パーツだが、驚くほどの実感である。単純な構成と精密感の両立、これが当時の技術だ。今回、作る前に資料は見たが、それと関係なく組み上げている。




最初の作業は、マーク位置の浮き彫りを削り落とすこと。以前にレベルのF-89スコーピオンを作ったときに、マークの浮き彫りが原因でデカールをうまく貼れなかった。そこで今回は削り落とすことにした。浮き彫りは国籍マークやUSAF、機首のマークなどだけではなく、左主翼上面に「Revell」の文字、胴体には機名までが彫ってあった。浮き彫りは彫刻刀の平刃を垂直に立てて削り、次に800番のサンドペーパーで均してオワリ。意外なほど短時間で終わった。その作業でなくなってしまったリベットは尖った金属棒を刺して起こす感じで再現、筋彫りはカッターの刃で引いておいた。これが終わったら、組立て開始である。 まず、エンジンへの吸気口の胴体側に壁がないので、ここにプラバンを貼って目隠しをする。次に機首先端へ錘をいれ、左右胴体を接着。つまり、尾部のエンジン周りはなにもない。コックピットは、あとで上から入れられる。これは単純でイイ。さすがに53年製のキットなので、胴体の合わせ目は傷んでガタガタ。ここはパテで整形する必要があった。




主翼は左右別々で、それぞれ上下分割を接着するだけで形になる。これも前後縁ともにクタクタなので、真っ直ぐに整形する。断面形は板のようで味気ないが手をつけない。C型はT-33とは異なる新設計の薄翼だから、「実感あるなァ」と思っておけばよい。翼端の燃料タンクや水平尾翼も肉厚なのにヘロヘロなので、シャキッとさせておく。
あとは、主翼と胴体をねじれないように接着し、それを基準に水平尾翼をつければ、これで飛行機の形になる。
完成写真はちょっと上反角が少なく見えるが、ジェット機とは思えないほど上反角は強い。水平尾翼の胴体位置が左右でずれているが、そこは見なかったことにする。主脚は主翼との取り付け部分が弱そうなので、主脚の付け根にプラパイプの1か所を切ってC形にしてはめ込み、接着面積をかせいだ。前脚はちょっと長かったので、タイヤの接地面を少しだけ切り落として低くした。




塗装で書きたいことは2つ。胴体側面のエンジン吸気口は、実機は胴体と離れているのだが、キットは側面からの一発成形で胴体と一体になってしまっている。ここは形の修正でなく、塗装でそんな感じにしている。 もう一つは風防で、キットは底部のワクを胴体についており、透明パーツの底部にワクはないような部品分割にしてある。こういった場合、透明パーツの底部、つまり厚み部分に機内色を塗っておくとスッキリする。ほかに塗装で書くことはない。




完成した姿は、今日の精密キットとは異なる味わいで、いかにも模型的である。なんとなく、ブリキの飛行機おもちゃの雰囲気に近い。 「貴方もどうぞ」といっても作る方は現れないだろうが、私は少なくともあと1こ、このキットを持っている。これはいつ作ろうか


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