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ナポレオンの老親衛隊・擲弾兵 (ミニアート 1/16)
ダッチガードをオールドガードに

解説:R.P.K.

1789年に起きたフランス革命において干渉する対外戦争に活躍して自ら皇帝となったナポレオンは、砲兵の火力と騎兵の機動力を生かした強大な軍隊を作り上げ、合理的な戦略によりヨーロッパを席巻した。直属の親衛隊は歩兵、騎兵、砲兵、憲兵などの兵科があり、征服、併合したポーランドやオランダなどの外人部隊も含まれる。ナポレオンの弟ルイが国王となったオランダから1810年に親衛歩兵第3連隊が編成されたが、1812年10月のドイツ遠征で壊滅した。親衛歩兵はオールド(老)、ミドル(中)、ヤング(若)に別れ、オールドガードは重歩兵グレナディア(擲弾兵)と軽歩兵シャスール(猟兵)のみだが、他にもフュージリア(戦列兵)、ティラレール(狙撃)、ボルティゲール(銃兵)などで構成されて制服や装備も異なる。その中でも常にナポレオン本営にあり精鋭予備兵力の切り札である老親衛隊の兵士は、1799年11月に統領護衛隊として発足、大柄な歴戦の古参兵は熊の毛皮帽を被り死も恐れない勇猛さで、威圧的な姿とともに勝利を決する象徴として敵味方に知られていた。当時の慣習でカツラとイアリングを着用した老親衛隊は、1815年6月15日最後のワーテルロー戦に擲弾兵4140名と猟兵4600名の8個連隊が参加して18日に全軍が敗退する中、降伏を拒んで名誉ある徹底抗戦を選んで全滅した。 ウクライナのミニアートから1/16スケールのヒストリカル・フィギュアの魅力的なキットが発売されているが、メーカーの発表する完成画像と異なりキットは細部や出来が劣るのが残念です。今回は派手な軍装で知られるナポレオンの親衛隊からオランダ人で編成された第3連隊の擲弾兵が発売されたが、パレードなど礼装用の帽子羽飾りがお粗末であご紐もないので、各部に手を入れて老親衛隊の戦闘時の姿に変更してみました。帽子の飾りを削ってからパテで修正して前のプレートや左のコケイド(円形国旗)を取り付け、弾薬ポーチ下部の略帽をパテなどで作り、パック内部が見えないようにプラ板で塞いで下部負い帯をプラ板に替え、銃剣と小銃スリングを作り直します。コート後部のポケットは外側のパイピングを消し、レギンスのバンド金具をエナメル線で追加しました。弾薬ポーチと剣吊を繋ぐストラップを作ったが剣握りの飾りも垂直になるように直したかったですね。左袖に2本のシェブロンがあるので肩の赤いエポレット(肩章)に黄色い飾りが混じる軍曹とし、左耳にイアリングを追加しています。兵士の着用する服や装備は、当時の伝統を表しているので歴史などの資料を良く調べて製作しましょう。


1) ガード・ダッチ・グレナディア(親衛オランダ擲弾兵)の箱とパーツだが、装備などはディテール不足とミスもあり組立も隙間が出やすく手間がかかる。




2) 上半身と下半身を別に組み立てて塗装後に連結すれば塗り残しができない。ベアスキン・キャップの飾りを削り落としてパテで整形、ラッカーシンナーでランナーを溶かして塗り乾燥前に引っかく。




3) パックと弾薬ポーチを組み立てて裏側をプラ板で補足し、丸めた略帽やストラップ、銃剣基部と板鉛の小銃スリングは自作。




4) 塗り残しそうなコート裏側や袖の内側も上下半身を組む前に塗っておく。




5) コート後のポケット外側のパイピングを削り取り、パックを取り付けてから負い帯を固定する。




6) 兵士は丸めたコートをくくりつけた毛皮製パック、略帽を吊り下げた皮製弾薬ポーチ、銃剣、サーベルを背負い、半ズボンにレギンスを巻いて行軍、戦闘をする。飾り台に地面のベースを作って固定。




7) 完成したオールドガードのグレナディア軍曹はカツラとイアリングを装着している。




8) 装備は毛皮やキャンバス製で擲弾のマークを各所にあしらってある。




9) 擲弾兵の軍曹は左袖に2本のシェブロンを付けて肩章の飾り紐は赤と黄色になっている。




10) もみ上げと口ひげをたくわえるのが戦場を転戦した古参兵の象徴だった。



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