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誌上個展

レベル・ファイターシリーズを追って
(カーチスP36)

by  コルディッツ

  私が最初に買ったP36のキットは、もちろんレベル・ファイターシリーズですが、当時は
アオシマのキットもあったのに、レべルを選んだのは、その塗装がフィンランド空軍機で
魅力的に見えたからです。あの1960年代当時に、あまり米軍機としての活躍は目立た
なかったとはいえ、わざわざフィンランド軍塗装を選んだレベルの感覚は、大したものだ
と思います。輸出型は米軍呼称のP36ではなく、カーチス・ホーク75で呼ばれています。
 写真①はフィンランドで購入したドイツレベル1/72のキットですが、箱の横に書かれた
説明によると、ドイツレベルがポーランドで作ったキットに、フィンランドでデカールとボック
スアートを加えたようです。フィンランドの国籍マークにご注目を。枢軸側に参加してソ連
機と継続戦争期のハカリスティ(鉤十字)になっています。これはフィンランドの鉤十字は、
独軍のハーケンクロイツとは別種として容認しているヨーロッパの考え方だと思います。
しかるに日本の模型企業の中には、フィンランド空軍機キットの国籍マークを、ロレーヌ
の十字を思わせるようなボックスアートがあり、残念です。
 さてP36ことホーク75はノルウェー空軍機としてルフトバッフェの襲撃を受け、フランス
空軍機としてMe109に敢闘。フィンランドはドイツを通じてノルウェー機を入手して、対ソ
戦と後に対独戦をこない、真珠湾では米軍機P36として南雲部隊の大日本帝国海軍機を
迎撃。モホークと呼ばれて英軍機又はオランダ空軍機として東南アジアで日本軍と戦い
ました。またエンジンを換装し、固定脚にしたスペックダウン輸出型(ホーク75N)は、
タイ空軍機としてヴィシーフランスのMS406と空中戦を演じるなど、世界中で活躍した割
には意外に無名なので、つい応援したくなります(笑) またP40(ホーク81)の母体でも
あり、気になる機体です。
 P36がアメリカ空軍博物館(デイトン)にあるのは、確かグンゼ・レベルの時代に「航空
ファン」に連載されていた、各種レベルキットのカラー塗装図を集めた本の解説文から
知っていましたが、ダックスフォードのエアーショーで、まさかフランス空軍機の迷彩で
急降下、急上昇する実機を見るとは、思いもしなかったです。実際に飛行する機体を
目にすると、博物館のは寂しく見てしまいますね。特に証明の暗い博物館は。
 固定脚のホーク75Nは、バンコクのタイ空軍博物館に展示されていますが、博物館は
ドン・ムアン国際空港の反対側にありながら、空港のタクシー運転者が知らないという
悲しい博物館で、行きつくのに苦労しました。2005年11月のことで、当時はグーグル
・マップの利用なんて考えていませんでした…
 ところでタクシー運転手が航空博物館の所在を知らないことがままあります。マドリッド
のタクシー運転手もスペイン空軍博物館の場所を知らず、ずいぶん遠回りさせられまし
たので、タクシーのご利用には注意を。
 


写真① フィンランドで販売されていたホーク75Aのキット


ダックスフォード・エアショー。2005年7月撮影。エアーショーの午前中は、入館料以外
に5ポンド払うと、駐機された機体の近くまで行くことが出来ます。



ダックスフォード・エアショー。以下2013年7月撮影。



ダックスフォード・エアショー



ダックスフォード・エアショー。カーチス4機による編隊飛行。
 自分のカメラでは無駄と知りつつ、ついレンズを向けてしまいました…



デイトンのアメリカ空軍博物館のP36。2004年12月撮影。



タイ空軍博物館のホーク75N。以下2003年11月撮影。



タイ空軍博物館のホーク75N



タイ空軍博物館のスピットファイアMk.ⅩⅣ



タイ空軍博物館のフェアリー・ファイアーフライ。なぜタイに?WWⅡ後の米英の軍用機
輸出競争を調べてみると、面白いかと。



タイ空軍博物館のカーチスSB2Cヘルダイバー


タイ空軍博物館のグラマンF8Fベアキャット


タイ空軍博物館のキ55.立川九九式高等練習機とされていました。
 このキットはフジミでしたね。




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