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   幻の日本陸軍戦闘機キー83

by 愛知県在住 作者 清水 栄治




■作品について
 この作品は2005年上期頃に作成したものですが、きっかけは会社帰りに立ち寄る本屋で目にとまった機体が今回のキー83でした。本のタイトルは“陸海軍:試作戦闘機:裂風、震電、キ83、キ94幻の翼”(学研)でした。その中に実機の写真が載っており日本機とは思いないスマートで早そうなスタイルに目をひかれました。本を購入した時点では自作しようとは思いませんでしたが、ある模型雑誌の中で飛行機の自作方法の事例が載っており、それを食い入るように読み返すうちに自作の思いが湧いてきて今回のキー83を作ってみようと決心しました。 製作にはまず図面が必要となりますが、幸いその本には縮尺図面が載っておりそれを基に作成図面を作ることにしました。作成図面は1/48の原寸に直すために会社の昼休みにコピー機で複製をしました。ここまで準備ができれば後はプラ版、プラ棒を使って製作にかかり塗装を終えれば完成となります。しかし今回の製作は初めて挑戦することばかりで悪戦苦闘の連続でした。




■飛行機キットについて
 キットといっても日本はおろか海外でも2011年までは全く存在していませんでした。私の記憶では2012年にヨーロッパの某メーカーが1/72で販売していたと思います。実際のキー83は三菱製の高高度高速戦闘機で試験飛行を終えた時点で終戦となりアメリカに没収され米本土のテスト飛行で760Km/h以上を出し高速性能であることが認められていました。(当時現役で活躍していたらB-29をバンバン撃ち落とせたかも)
さて製作に入りますが材料はタミヤ製のプラ版とプラ棒、それにエポキシパテを使用しました。まず翼ですが実際の翼の構造のように図面に従い翼断面と直角方向の桁を作り骨組みを組み立てその上に0.5mm厚のカットされたプラ版を接着剤で張り付けます。翼前面のアール部はプラ版では加工ができないためエポキシパテでオーバーサイズに盛り付け乾燥後、全体をペーパーかけしきれいな曲面を作り出します。又補助翼はその後決められたサイズにカッターナイフで切り離し整形します。
胴体は船の船体を作るように胴体断面に桁を組み込んだ骨組みを作りそこへ0.5mm厚のプラ版を3~5mm幅に切った板を胴体外周面に短冊状に接着剤で張り付けていきます。胴体外観の乾燥後外周をペーパー掛けし曲面を作り出します。胴体先端及び尾部はエポキシパテで造型し乾燥後削り出しペーパー掛けをします。コクピットは後から穴をあけそれらしく作りこみます。車輪とプロペラは自作出来ないのでタミヤの“月光と隼(1/48)”のものを流用しました。キャノピーは木型を作り塩ビ版でヒートプレスしました。最後に機体全面に筋ぼりと軽いリベット打ちを施します。(0.5mm厚のプラ版にはカルコによるリベット打ちでは穴が陥没してしまい結局ピンバイスで穴開けを行いました。)これで機体は完成です。塗装に入る前に機体を何色にするかに悩みました。本の写真(白黒)では陸軍カラーのツートーンのようですが全体に渡って詳細が得られず又想像する自信がないので無地の銀色に決めました。日の丸も塗装で仕上げることにしました。






■その他情景について
銀色の飛行機は敗戦色濃い国内の未舗装滑走路に置くのが良いと思い、土と雑草の混じった滑走路を表現しました。土は台座の上に水で薄めたボンドを塗りその上に石膏の粉をふりかけ定着させました。 その後水性塗料の土色をエアブラシで吹きつけました。雑草は土の上に同じくボンドを塗り鉄道模型用のパウダーをふりかけそれっぽく表現しました。パイロットはタミヤの隼キットのものを使用しエナメル塗料でそれらしく塗装しました。



■全体をとおして
 製作には200時間以上かかったと思います。飛行機を作ることがこんなに大変な作業になるとは思いもよりませんでした。特に機首先端とエンジンカウリングの曲面の造形においては盛り付け、乾燥、削り出しに何度も失敗を重ねました。根本には異種の材料の接合においては素材の硬さと強度の違いがありそれを理解しないと望み通りの造形が出来ないことを痛感しました。飛行機の外観はほぼ図面通りに仕上がり満足のいくものですが塗装において標準のシルバ一色で塗ったためトーンダウンしてしまい、せっかくのカッコよさが消えたような感じになりました。 そんなことで飛行機だけを作り情景作りに途中1カ月ほど手を休めモチベーションを上げることに努めました。最終的に完成した作品はどこかの展示に出して見ようと思いハセガワのJMCに応募したら断られ、どこにもアピールすることが出来なくしばらく自宅にお蔵入りしていました。今回やっと日の目をみることができてうれしく思っています。今回の自作に続き2機目も調子づいて作ってしまいました。次回で紹介しますので乞うご期待。



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