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創刊5周年特別企画

 「私の選ぶ名キット 10選 (飛行機編)」 

by webmodelers編集部


 2014年2月号でwebmodelersは5周年を迎え、記念企画として「私の選ぶ名キット 10選 (飛行機編)」 をアンケート投票募集いたしました。
 プラモ創世記から今年までの間にリリースされた 飛行機プラモデルからあなたが名キットだと思う10キットを選び、投票いただきました。
 
  当初の予想では特定のキットに投票が集まるのではないか?とも思いましたが、結果は 全く、ばらけておりました。それだけ名キットが多かったということでしょう。
 投票者の皆様がそれぞれの観点で選定された10選を コメントやエピソードをそのままに 掲載させていただきます。 


by NOBU
レベル1/32シリーズ メッサーシュミット Bf109F
レベル1/32シリーズ スピットファイアー Mk .1
レベル1/32シリーズ カーチスP-40E フライングタイガー

(この3点は表面モールドが超絶で、今でも、これからもこれらの表現を超えるキットはないのではないでしょうか。)

レベル1/40 A-1Hスカイレイダー
レベル1/48? F-102A デルタダガー
レベル1/28 フォッカーDr.1
レベル1/28 スパッドⅩⅢ
レベル1/28 ソッピースキャメル

(上記8点は、レベル社&プラモデルがもっとも輝いていたときではないでしょうか?いずれもワクワクするキットたちです。)

エアフィックス1/24 メッサーシュミット 
Bf109E エアフィックス1/24 スピットファイアー Mk .1


by クラキン
 さて、早速ですが2月号の5周年特別企画の「私の選ぶ名キット10選」に応募させていただきます。
選んだ基準は、
・自分が作ったことがある
・作り易い
・シルエットや雰囲気などの「らしさ」がある
・機種選定


1. レベル1/72 ファイターシリーズ
私がプラモデルに入門したキット達です。
当時100円で買えました。
今の水準からみれば当然見劣りしますが、当時としては作り易く、「らしさ」抜群のキットばかりでした。
機種選定もロシア機なんかもあって渋かったです。
これでプラモデルの楽しさに嵌った方は多いと思います。

2. ニチモ1/48 隼Ⅰ型
私が知る限り、未だ「隼」では最高のキットです。
どこかのメーカーがニチモから引き継いで継続販売してくれることを切望します。

3. タミヤ1/48 グラマンF4F-4ワイルドキャット
4. ハセガワ1/48 屠龍

この2つは作り易いプラモデルのお手本のようなキットです。

5. モノグラム1/48 キングフィッシャー
6. モノグラム1/48 B-17G
7. モノグラム1/48 カタリナ

この3つはモノグラムの秀作です。

8. アキュレイトミニチュア1/48 アベンジャー
組み立て易さはありませんが、モールド、ディテールは最高です。

9. フジミ1/72 九六艦上戦闘機
きちんと説明できませんが、素晴らしいキットです。

10.イタレリ1/72 C-47
  いろんなブランドで同じ金型のキットが出ていますが、バランスの取れた秀作だと思います。

番外
レベル1/48 スピリット・オブ・セントルイス
エレール1/72 コードロンシムーン
イレール1/72 ドラゴンラピード

よくぞ、キット化してくれました!


by Y大佐
①タミヤ 48 ME262 A1  
 作りやすさ、形の良さ、ディテールの良さ、実機の魅力が揃った傑作キット。
 組み立てが楽なので塗装に専念できるのもうれしい点です。

②ハセガワ 48 4式戦「疾風」
 作りやすくてカッチョいいおすすめキットです。

③レベル FW200コンドル 
 部品点数が多くて作るのは大変ですが、羽の表現など実機の魅力をうまく表現してい
ます。

④タミヤ 48 ミグ15
 作るのが楽で、ロシア機の割り切った設計思想をうまく表現した好キットです。

⑤アカデミー B29
 実機の迫力をうまく表現したキットと思います。

⑥ハセガワ 72 銀河
 洗練されたデザインが魅力的なキットです。

⑦ハセガワ 72 飛龍
 窓枠を塗るのが大変ですが、スマートなデザインが魅力的です。

⑧フーマ 72 Fa223 フォッケ・アハゲリス
 世界最初の実用ヘリコプターをうまく表現しています。
 簡易インジェクションとは思えない出来。
 細かい部品はエッチングパーツなみのモールドが施されています。

⑨フーマ 72 JU287
 一度見たら忘れられないキッカイ機。
 作るのは大変ですが、迫力満点です。

⑩ファインモールド 48 桜花
 内部まで出来ていて、この機体が爆弾をつんだ飛行機ではなく
 翼と操縦席をつけた爆弾であることがよくわかります。


by コルディッツ
 新年早々難しいお題でした。数え上げたら10では収まらず、そこで完成させたキット 限定にしたら、全部古い第二次世界大戦機になってしまいました(笑)。最近のキットも 関心はあって、購入し、パーツを切り離し、塗装し、途中まで組み立てるのですが、完成 まで進めずにいます。エアフィックスの零戦やグラジェーターなど、そんなのが数多あり 自分のヘタレ度に唖然としています。
それでは私が自己満足と偏見で選んだ10機を紹介させていただきます。

1 レベル1/72 B17F「メンフィス・ベル」
 1960年代製造の旧のキットです。当時テレビで「爆撃命令」(旧題名「頭上の敵機」) という米第8空軍918爆撃隊(架空)のドラマが放映されていましたが、そのファンで、 その縁で購入しました。現在の目から見ると?のキットですが、当時としては、透明部品を除けば(笑)、四発機なのに組み立て易かったと思います。爆弾庫扉が可動で、下から 爆弾を覗けるのが気に入りました。私が最初に購入した「モデルアート」誌上には、丁寧 に製作手順を撮影したガイドが掲載されていましたが、左右胴体の接着前に外部塗装 を済ませ、また当時はニュートラル・グレーのスプレー缶がないので、ガルグレーの代用 を指示していて、時代を感じさせます。
 メンフィス・ベルは最初に25回の任務を達成したことで、戦意高揚のためアメリカに 戻り、戦後はメンフィス市で展示されていましたが、しかし私が2006年に実機に会いに 行った時には、デイトンのアメリカ空軍博物館に返還されたそうで、会えませんでした…

2 モノグラム1/48 P51B
 プラモデルに完璧に嵌ったのはこのキットのせいです!小学校上級生の頃でしたが、 それまで組み立てが上手くいかず、プラモデルは止めようかと考えていました。 そんな時にこのキットに巡り合ったのですが、さすがにモノグラム、組み立てにストレスを 感じることなく、スラスラ進み、こんな事があって良いのかとさえ思いました。今になると 機首上部のラインなど?ですが、私をプラモデル道に引き留めた偉大なキットです。

3 レベル1/32 Bf109F
 レベルが最初にリリースした1/32キットの一つで、その大きさ、エンジン内蔵など、これまでの既成概念を破る衝撃のキットだったと思います。F型はBf109系列の中でも端正でスマートな機体なのでお気に入りでもありました。リベットや計器版の表現はグッド、 大作を完成させた満足感を味あわせていただきました。その後考証的には?なのを 知り、残念に思いましたが、でもこのキットの価値は色褪せない物があると思います。
 指定塗装の一つマルセーユ機については、日本語説明書に防塵フィルターの自作の ガイドがありましたが、あの説明で防塵フィルターを作った人はいたのでしょうか?
 Bf109の枠の少ない風防が「ガーランド風防」と呼ばれていた懐かしい時代です。

4 エアフィックス1/72 Ju52/3M
 永大エアフィックス版で購入、製作しましたが、あの波型ジェラルミンの胴体を、歪み なく組み立てるのは、案外苦労しました。デカールを貼るのもたいへんでしたね。
 でも完成すると、正に「ドイツ」という感じで満足度の高いキットでした。実機は現役で、 まだ搭乗する機会があるというのは夢のようです。

5 タミヤ1/100 Me262&Me163
 このシリーズのジェット機はほとんど作りましたが、Me262&Me163は一番のお気に入りでした。ミニスケールでありながら、再現度は極上で、組み立て易かったです。
Me262の指定塗装はガーランド将軍機で、デカールにミッキーマウスがあったように 記憶していますが、間違いかもしれません。当時Me262の1/72のキットはレベルとエアフィックスしかなく、どちらもイマイチの出来だったので、なぜタミヤはこれを72で 出してくれないのか、恨めしく思っていました。この不満が解消されたのは、ハセガワが ファン投票に基づいてMe262をリリースした時でしたから、ずいぶん待たされました。

6 フロッグ1/72 フォッカーDXXⅠ
 フィンランド空軍フリークの者としては、フロッグのこのキットは宝石の価値を持った時期があります。尾翼支柱なんかパーツだかバリだか分からなくなっている事があり ましたが、でも有難かったです。キットはビニール袋入り。機体の絵と組み立て説明図、カラー塗装図で綴じたものでした。今でもダックスフォードのエアショーの時などに、中古 プラモデル販売ブース、実機の保存を行う非営利団体の資金集めのブースで見ます。
 キットはオランダ空軍タイプで、フィンランド空軍タイプにするにはエンジン部品の改造 が必要ですが、組み立て説明書ではそのままフィンランド空軍機になります。しかし塗装 図の方はエンジンを換装した物になっているのが可笑しかったです。
 フロッグのカラー塗装図に感激しましたが、あれ片側しか描いていないんですよね。
 まぁ古き良き時代ということで。

7 スーパーモデル1/72 Re2000ファルコ
 第二次世界大戦中の中小国の軍用機を作ろうとする時、フロッグやエレールのキット は役に立ちますが、パーツの精度や表現はどうもイマイチなのが多くて不満でした。
 しかしイタリア機に関しては、当時はイタラエリだったと思いますが、このRe2000の キットは大満足でした。ハンガリア空軍機、スウェーデン空軍機も作れたし、機体表面の 再現もパーツ精度も及第点。思い起こすと1970年代のイタリア機は、レベルのCR42 とMC200を除くと、エアフックスのG50、フロッグのMC202など、どうしようないのばかりで、イタラエリ頼りだった記憶があります。
 21世紀に入ってイタレリから1/72スケールのRe2000がリリースされたので購入しま したが、あまり進歩がないようで残念でした。

8 スウィート1/144 ハリケーンMk.Ⅰ
 1/144スケールはオモチャみたいなキットしかなく、一段下に見ていましたが、その偏見 を打ち破ってくれたのが、スウィートのキットでした。第一弾のMC200はレベル1/72以上に詳細に作られていて仰天しましたが、第2弾のハリケーンMk.Ⅰもスーパーの 出来で歓喜しました。特にフィンランド空軍の指定塗装もあったのは最高でした。
 当時の解説書を見ると「I16」や「ブーメラン」がキット化の候補にあったようです。
 零戦の、二式水戦まで含めた全型式のリリースも凄い事ですが、スウィートの技術に よるI16やブーメランを見たい方も多いのではないでしょうか。

9 リンドバーク1/72 He162
 誰が何と言おうとも、ドイツ空軍機の珍しい機体をプラモデル化し、長く流通させていた のは、リンドバークのキットです。今でこそドイツ空軍機はペーパープランの機体までキット化されていますが、1970~80年代の冬の時代は、He162,Do335,Ar234は リンドバーク以外にあり得ませんでした。フロッグが会社存続の末期にこの三機種を出し ましたが、すぐ見当たらなくなりました。(幸い三キットともゲットしましたが)
 とはいえリンドバークですから、Ar234の機首風防を左右分割してしまうし、実機の再 現となると、???ではありますが、このキットがある事で、ドイツ機ファンが窒息せずに 済みました。中でもHe162は比較的(あくまでも比較的です)再現度が高く、今考えても フロッグ版よりもマシだったと思います。

10 ハセガワ1/72 B239
 よくぞリリースしてくれました、と大感激のキットです。F2A2バッファローはレベルから、 英空軍やオランダ空軍が使ったB339はエアフィックスやマッチボックスから出ているの に、世界でバッファローが一番活躍し、愛されたフィンランド空軍タイプ(F2A1)がリリー スされないのは、許しがたい事と思っていました(笑)。
 長く待たされて入手出来たハセガワ版は、待っただけの甲斐のある名キットでした。


by windy wing2013
1 レベル 1/144 B-52Hストラトフォートレス
ほどよいサイズに巧緻のスジボリだけで表現しきった爆撃機の迫力

2 エアフィックス 1/48 グロスター・ジャベリンFAW.9/9R
マイナーな機体にこれだけのリサーチとディテールをつぎ込むエ社の自国愛

3 TOMIX 1/144 技MIX「F-22Aラプター」
大スケールをしのぐ基本形状の正確さとマスプロダクトの限界を超えた彩色が構成する半完成版キットの の極致

4 タミヤ 1/72 零式艦上戦闘機二一型/五二型
今作っているのだが、「タミヤが本気になったらこうなりますよ」感が怖い

5 レベル 1/72 He177A-5グライフ&フリッツX
繊細な形状の把握と大戦機らしい無骨な表面表現が醸成する絶妙のコントラスト

6 ホビーボス 1/48 Yak-38UフォージャーB
同社一流の金型成形も見事ながら、その絶妙なアイテム選択に一票

7 レベルモノグラム 1/48 Me410B-1
モノグラムのクラフトマンシップにあふれた細部をレベルの表面ディテールで包み込んだスーパーハイブリッド

8 モノグラム 1/48 P-38ライトニング
「歴史遺産」とかではなくて、表面の質感の違いをモールドだけで表現したキットは空前絶後

9 イタレリ 1/48 S-3A/Bバイキング
絶妙な曲線の機体にくっきりと刻み込まれた表面ディテールの圧倒感

10 エデュアルド 1/144 Me262Bシュワルベ
144でここまでやられたら他のスケールはどうなるの、という金型技術



by Griffon
1.モノグラム P51B (1/72の方)
実に雰囲気が良く、考証もしっかりしています。
後発キットの大半が失敗しているのが不思議です。
なぜ、コピーをしないんでしょうか?
メーカの人は意外とキットを作らなかったり、他社製品を知らなかったり
実物を知らないのかもしれません。
特にハセは昔のD型は中々なのに、近年になるにつれ出来が悪くなるんでしょうか?
魂が欠けて来ているのでしょう、多分

2.レベル P-39(1/72)
これも雰囲気が良く、多少手を加えれば、中々の物になります。
エンジンが付いているのも、うれしい所です。
HOBBY BOSSにエンジンのコピーを仕込んでみましたが
到底、及びません、多分 アカデミに同じ事をしても同じだと思います。
センスと意気込みの違いでしょうか?

3.ハセガワ P-51D(1/72 古い方)
現行の物に勝ると思います。
雰囲気が実に良く、部品精度も優れています。
特にキャノピの出来が良く、2つ付いているのも うれしい所です。

4.ハセガワ スピット MK1 (1/72 古い方)
これも現行の物に勝ると思います。
フィレットとコックピット、3枚プロペラの出来が残念ですが
雰囲気が実に良いです、原型師のセンスが良かったのでしょう。
機会あるごとに買って14機あります。
(なぜ、そんなに買ったのかは いずれ明らかにしたいと思います。)
繰り返しますが、近年のハセガワは当時の魂が欠けて来ているのでしょう。

5.マニア(ハセガワ) 97艦攻(1/72)
何も言う事が無いです、まさしく最高傑作です。

6.エレールHe112(1/72)
これが出た時はうれしかったです、出来も言う事無し。

7.エレールMS406(1/72)
雰囲気が実に良いです、あの当時 このクオリティは驚異でした。

8.LS 96陸攻
プラモのお手本です。

9.レベル B-24(1/72)
雰囲気が実に良いです、箱を開ける度にうれしくなります。
(勿体なくて作れない・・)

10.レベル ランカスター(1/72)
これも雰囲気が実に良いです、武骨な感じが実機そのもので
現行の物に勝ると思います。



まだまだ挙げたい所ですが・・(レベルの1/72 カタリナ、JU87Bとか)
最近のキットは、どれも精度が良く優良(商品)キットばかりですが
何か物足りない物を感じます。

スケール性や部品点数:精度は上がっても、実機の雰囲気が足りない
気がするのは私だけでしょうか?

・表面テクスチャが無い
(無機質で実機の息吹きが感じられない:模型は、ただの工業製品では無い
識別モデルでもあるまいし)

・ビジネスライクでメーカの意気込みが感じられない
(CADで設計さえすれば良いのでは無い)

・メーカからのサービス心が感じられない
(タカラレベルの、解説書や おまけデカールみたいな)
コンボを出すなら、おまけをつけて>ハセ


by 田口博通
選定の基準は 精密さではなく、
・組み立てていて楽しいキット
・誰にでも完成できる。
・感動する部分がある。
・実機雰囲気の再現に凄いと感じる。
・またもう一度作りたくなる。
といった「プラモデルらしさ」におきました。

1 モノグラム1/72 F-4C/D
 今でもファントムでは最高のキットだと思う。 このキットを作っている時、「プラモデルを作り続けていた良かった」とつくづく思ったものだ。ファントムの少し沈み込んだ機首など実機のイメージそいのままに凝縮されている。そうこのキットはモノグラム神話のエッセンスなのだ。
 モールドは凸モールドと凸リベットではあるが、その実感の高い表面仕上げの素晴らしさは スジ彫りかどうかという議論など枝葉末節にすぎないと思わせる。 また、少ない部品での一体コクピットの表現は モノグラムたる所以と思わせるスケールを超えたもの。プラモデルを組み立てる楽しさの醍醐味が味わえる。ぜひ あなたも手にとって体感してください。

2 モノグラム 1/48 P-38J ライトニング
 モノの48シリーズは名作が揃っているが、このライトニングには感動の連続だった。全体の外観フォルムがどこから眺めても実機のイメージそのもの。また、実機表面の材質感の違いをプラスチックで完璧に表現しようとした感性も また それを実現した金型技術も凄かった。この偉業を1960年代になしとげたキットだ。 以後、たくさんのプラモデルキットが日本、韓国などからリリースされたが、モノグラムのこのライトニングキットにはまったく追いついていない。感動の名作。

3 レベル 1/72 ボーイング B-17F 
 初めて作ったのが、中学3年生の時で、ハンブロールのマットカーキで筆塗した思い出のモデル。その時は 可動部のガタも多く 透明部品も隙間だらけで そんなことばかり目につき、キットの良さや凄さがわからなかった。
 しかし、数年前、再度 作ってみて 可動部も含んで組み立てが楽しいし、そのスタイルの良さと表面モールドの凄さを再認識した。斜め下方から見上げた時のスタイルが箱絵のイメージそのままだ。また、垂直尾翼など外板の重なりなどがそのままにモールドされている。スジ彫りのパネルラインなどとは一線を隔す。 もちろん 1960年代のキットゆえオール可動で、ガタ隙間や、透明部品の合いも悪いなど、欠点も多いが、そんなことはどうでもいい小さなことと思わせる名キット。やっとこの歳になって、名作という人が多い所以が理解できた。子供ではわからない成熟した大人向けの名作といえよう。

4  レベル 1/32 スピットファイアMk1
 1960年代後半に出現した有名なレベル32超絶トリオの一つ。いまだに これを超えるスピットファイアのプラモデルは出現していないと思う。前方斜め上から見た時の実機そのままの外観フォルムと 近くによった時に感じる表面モールドの超絶さ。これが両立している。 これに比べると日本の現代のプラモデルの水準は まだまだ「木を見て森を見ず」、 いつ追いつけるのだろうか。

5 LS 1/75 零戦 21型
 おそらく、零戦のイメージを適確に表現した世界で最初のプラモデルではないだろうか。

 個人的には当時、地方の一中学生がプラモデルにのめりこむきっかけを作り、現在の私の運命を決定づけた記念すべきキット。 
 初めて買った1967年のMA誌にLS零戦シリーズが連載されていて、それを覚えるほど読んで、主翼可動部を初めてのパテ埋めで11型にした。またMA誌の巻頭側面図と図書館で借りた「ソリッド模型の作り方」だけをたよりに 無謀にも初めて塩ビでキャノピーを絞った複座練習機11型を作った。
 このLSのキットには 中学生のパッションに火をつける何かがあった。
 もちろん、枠の太いキャノピーなど欠点はあるが、今でも、思い出したように また作りたくなる。LSの零戦シリーズは15機以上作っただろうか。そんな魅力魔力を持った名作に違いない。

 1990年代以降、ハセガワ、タミヤからボチボチとやっとこれに追いつく1/72零戦がリリースされはじめたことは、うれしいが、外観スタイルが追いついただけでLSキットの持つ総合的な魅力までは追いついていない。外観スタイルがLSに追いつくだけでも実に30年以上かかっているのだ。 外観スタイルと可動の両立まで追いつくのはいつのことだろう?

6 エアフィックス 1/72 グラジエーター
 エアフィックスが2009年から始めた刷新シリーズは どれも凄いが、最近 作ったグラジエーターは中でも名キットだと思う。
 一体部品のまとめ方、翼間支柱など、現代のCAD技術がいかんなく発揮されているが、それだけでなく、全体の外観フォルムと 金属外板の質感やファブリックテキスチャーのモールド処理が素晴らしい。CAD技術も使いつつ、それにおぼれず 全体をどうまとめるかという人間的な部分で成功している。 ツールがいかに進歩しようとも、結局それを使う人間の力量なのだと気づかせてくれる名作だ。
 またカラー塗装図つきの数ページに及ぶ詳細な説明書も、CG画の素晴らしい箱絵も 1000円以下というこの低価格で実現しているのも凄すぎる。一度倒産した古くからの名門企業を買収して蘇らせ刷新改革しようとする新しい賢人たちの努力が プラモデルという商品はモールド部品だけでなく、箱絵と説明書が三位一体なのだと 改めて教えてくれる。
プラモデルの将来は明るいのではないかと希望を持たせてくれる現代の名キットだ。
今、新生エアフィックスが進めている刷新シリーズは ほとんどが名作となるに違いない。

7 タミヤ 1/50 透明彩雲
 12月号の特集のために、45年のリベンジを果たして初めて作った。
初出は1960年代初頭、モデルアート第一集(1966年)に掲載されているという伝説の名作キットである。胴体内部、エンジンまで精密に再現されていて、当時の国産プラモデルのレベルを大きく引き上げたものと評価されていた。製作を進めるうちに名作と言われた所以に納得が行く。偵察機である彩雲の本質がよく表現されているのだ。これだけのキットが日本のプラモデル黎明期の1960年代に設計されたとは、凄いことだ。 言葉ではなかなか伝わらないので、在庫のある方はぜひ一作をお勧めしたい。

8 タミヤ 1/72 P-51Dムスタング
 このムスタングは小品だが 外観フォルム、表面モールドとも文句なし。組み立ても楽だし、ストレスがなく組み立てが気軽に楽しめ キチッと誰にでも出来上がるのも良い。プラモデルの手本のような現代の名作といえよう。ピタッと曲面に決まる魔法のようなオカルトデカールにも感動。 同様に 72 P-47Dも凄い。

 ハセガワ 1/48 A-7E コルセアⅡ
 スケールプラモデルは 外観フォルムの実機らしさの再現と 金属外板質感の表面モールドの両立があってこそ成立すると常々思っている。 ずっと外観再現だけしか頭になく半端だったハセガワとしては珍しく、A-7E コルセアⅡは 外観フォルムも、表面モールドも 両方に力の入った名キットになった。また、機首下アクセスハッチ内が再現されるなど、見せるポイントも設定されていてキットに華があった。 良いプランナーと設計者が育ってきているなと感じさせたその時期は ハセガワに期待を持たせたピークだった。が、以後はまた元に戻ってしまい、外観再現だけの製品が続いているのが本当に惜しい。今、新生と刷新改革が必要なのはハセガワ自体なのかも。 

10 ニチモ 1/50 愛知零式2号3座水上偵察機 (旧マルサン)
 10点目はニチモオリジナルの 1/48隼1型をとも 思ったが、旧マルサンの3座水偵を選ぶことにした。48クラスの3座水偵では他からはリリースされておらず、唯一ものである。
 最近入手した1963年の航空情報プラモガイドに このキットの設計者である橋本喜久雄氏自身による解説が掲載されていた。当初のもくろみがこのキットが浮かぶ水上滑走モデルとして設計されていたことを 初めて知り、胴体の電池のための割り、支柱強度が充分に高いことなど納得できた。 
 このキットを初めて作ったのは 20年前、MA誌1994年7月号の日本海軍水上機特集のためだった。オール可動にかかわらず、基本デッサンが実にしっかりしていて、少し細部に手を入れるだけで現代風の素晴らしい作品に仕上げることができる。
 電池収納のため上底さらし首状態になっているコクピットを自作し、エンジンを同じ金星43型を使っているフジミ99艦爆から流用してみた。色々とディテールアップを施したものの、それらは装飾に過ぎず、名作は名作らしく、アウトラインが見事で、光を放つ。輝くオーラがあるなと気づかせてくれたのもこの3座水偵だった。



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Vol.64 2014 February.   www.webmodelers.com /Office webmodelers all right reserved /             editor Hiromichi Taguchi 田口博通 /無断転載を禁ず  リンクフリー

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