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誌上個展

翼コレクション(童友社 1/100)

by Windy Wing 2013

 童友社といえば、1/100旅客機や大スケールの大戦機を思い浮かべる方が多いのかもしれませんが、私にとっては、コンビニ玩具<翼コレクション>を開発したメーカーとしての印象が鮮烈です。 今回はそのシリーズの中から、童友社がオリジナルで開発した製品のいくつかをご紹介いたします。



<第10弾 太平洋の翼 零戦二一型 進藤三郎大尉機>
 この零戦二一型は、それまでの旧マルサン金型の零戦とは一線を画した正確な造型とすっきりとした表面仕上げで、食玩慣れした目にはとても新鮮に映ったものです。
最新のシリーズよりは若干スジボリが深めですが、いわゆる「飴色」を施すなど、当時の新しい知見がふんだんに盛り込まれ、個人的には一番好きなキットです。



<第5弾 楕円翼の猛禽 スピットファイアMk.Vb. 第243飛行隊所属機> 
 表題通り、楕円翼が美しく再現されたスピットファイアではあるのですが、残念ながら機首の断面が丸すぎて、Mk.Vbとしてはちょっといただけません。
素材が柔らかいので、扁平になるまで相当削り込んでやりましたが、彩色済みキットをリペイントするには基本色との塗料合わせにけっこう手間がかかります。


 
<第8弾 欧州の鵙 フォッケウルフFw190A キルヒマイア少尉機>
 彩色済みキットの鬼門ともいえるモットリングに挑戦した意欲作ですが、童友社といえども、やはりマスプロダクトの壁は乗り越えられなかったようです。オリジナルのペイント部分にインクスポットを重ねてみましたが、どうしてもスポット自身が大きくなってしまい、いささか実感を削ぐ結果となりました。 また、このごろは英国製のキットでさえスワスチカがデカールで貼付されているというのに、無地の垂直尾翼は「手抜き」と言われてもしかたがないでしょう。スケールモデラー付録版のヴァルター・エーザウ少佐機にはハーケンクロイツがきちんと印刷されていましたから、やろうと思えばできるはずです。


 
<第9弾 轟きの雷鳴 P-47Dサンダーボルト ガブレスキー中佐機>
これはどこから見ても、まさしくバブルトップのサンダーボルト。

キャノピーの左右への張り出し不足には価格的な限界を感じますが、それ以外は造型・表面処理ともに文句のつけようがなく、このシリーズの隠れた名品です。



<第17弾 最後の奮戦 紫電改 横須賀海軍航空隊所属機>
帝国海軍の横綱『紫電二一甲型』はまさに<翼コレクション>の集大成といえる仕上がりになりました。キット全体の印象は、機体が大きいこともあって、もはや1/72の構成を思わせます。 ただ、「菅野直大尉機」は紫電改随一の人気種ゆえに、どうしてもアソートしたかった気持ちも分からないではないですが、垂直尾翼の狭い前期型に黄帯を描いてしまったのは同社の矜持に対して疑問が残ります。




少しディテールアップを施しただけでプラモデルを作ったような気にさせてくれる本シリーズは疲れたモデラーが帰る心の拠りどころ。
第21弾の零戦五二型をもって、新金型の開発はひとまず頓挫しているようですが、Me262Aや九六艦戦など、塗装バリエーションの豊かな機体による新しい展開を強く希望します。


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Vol.64 2014 February.   www.webmodelers.com /Office webmodelers all right reserved /             editor Hiromichi Taguchi 田口博通 /無断転載を禁ず  リンクフリー

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