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五式戦甲型角型風防
(アオシマ 1/72 真・大戦機シリーズ №7)
5shikisen  (Aosima 1/72)

by 加藤 寛之
 


 この日を待っていた。「真・大戦機シリーズ」の再開だ。十数年前、アオシマがWW2大戦機のキット化に果敢に挑み、紫電、紫電改、Ta152をそれぞれ2型式という魅力的な開発を行ったが、五式戦の木型を公開した時点で撤退した。タミヤとハセガワのキットは店頭に置かれるものの、アオシマの飛行機は扱ってくれなかったのだと聞いている。 売れなければ造れない、そういうことだ。今回のシリーズ再開は、この事情を理解することが必要だと思う。再開にあたっては、おそらく徹底した開発製造コストの削減と、そのなかで何ができるかの苦渋の選択があったのではないか。




 キットは、行きつけのワールドホビーショップはせがわで購入した。涙滴風防の乙もあったが、こちらを選んだ。その日のうちに組み上げ、デカールは日の丸と胴体中央の機番だけを貼ってみた。 キットの状態を理解しやすくするため、色は塗らなかった。ただ風防だけは透明だと見えにくいので枠を塗ってある。




・全体の印象は、完成見本の写真で各自判断してもらいたい。スッと伸びたシャープな主翼が印象的だ。





・キットは最近の傾向である、やや強めのモールドである。部品での印象とは違い、組み上げてみるといかにも模型的な面白さがあり、悪くない。




・パーツの精度には甘さがある。ほとんどは軽く削れば済む程度なので、「作る楽しみが増えた」くらいに考えよう。

・コックピット関係は部品によっては金型が甘い感じがあるが、しっかりとした寸法に組みあがる工夫がしてある。必要以上の精密さを抑えてあるので、気楽に組める。胴体への組み込みはピッタリで、しっかりと胴体左右に接着することで胴体幅を固められる。このことで主翼の上反角がガッチリと決まる。




・胴体を合わせてみると、金型の磨きが足りないところがある。接着面の仕上げ作業で消えるので支障はない。




・動翼のリブ表現は弱めた方がよいだろう。軽くサンドペーパーで擦ればよく、実感としてはツルツル寸前でもOKだ。

・プロペラは先端に不思議な曲りがあって、これは改修したい。完成見本は、これが目立たなくなるまで表面を削ってある。




・主翼の機銃口は別パーツなのだが、極めて合いが悪く造形も甘い。このキット最大の難所だ。
 完成見本は次のように工作した。
まず機銃口パーツを接着した後、隙間に瞬間接着剤を流し込んで充填剤とした。次に周囲と均す。
その削りカスが溝に詰まった状態で、再度瞬間接着剤を流し込んで充填。これを2度行う。
これで溝はほぼ埋まるので、筋彫りに流れ込んだ接着剤除去と新たな筋彫りを行う。
完成見本では行わなかったが、ヒケが残ったら ここでパテを使って均すとよい。




・中央風防は2個あり、開状態用にやや大きく作ったものも入っている。翼端灯なども好みで透明パーツに置き換えられる。完成見本の風防は閉状態のパーツを使った。翼端灯などはキットモールドのまま。




・キットは飛燕2型改を想定した部品構成になっている。それはすなわち五式戦としての胴体形状に無理を強いていることになる。操縦席からカウリングまでの胴体幅がやや細く見えるのはそのためだ。これは日本で発売された五式戦の全てに同じなので、それほど人気がない五式戦を発売するうえでは必要な妥協なのだろう。




 これまでの五式戦の72クラスキットは、アオシマやフジミが造った玩具的な古いキットと、表面処理が個性的で好みが分かれるファインモールド、よくできているが作りにくく流通も限られたRSモデルくらいしかなかった。これらに対してアオシマのキットは、「ちょうど良い感じ」の製品だといえようか。 読者の皆様にお願いしたいことは、買わない理由をさがすのでなく、「アオシマの新製品を買ってみようか」と考えて、ぜひ1個購入してほしいことだ。ここで買わなければ、せっかくのシリーズ再開がフイになる。皆がすぐに1個買えば、きっと次の新製品を提供してくれる。好循環をつくろうではないか。


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