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連載  世界の名作(迷作)キット発掘コーナー (第46回)

YF-16CCV (ハセガワ1/72)

by 鳥巣 Torisu



 

<実機解説>

 1970年代初頭にアメリカ空軍に採用されたF-15は配備当初から最高水準の制空戦闘機では有ったがその高性能さゆえ機体価格が高騰し空軍が求める数の配備が困難になっていた。
そのためにF-15を補助する戦闘機の開発が急務になり空軍内部で密かに研究開発されていた「軽量戦闘機計画」が日の目を見ることになった。
 軽量戦闘機計画としてノースロップ社案のYF-17とゼネラルダイナミックス社案のYF-16が比較審査され審査の結果YF-16が空軍戦闘機として採用された。
 後にYF-16 1号機(今なら初号機か)はCCV研究機として採用されエアーインテーク下面に2枚の可動式カナード翼を取り付けて「操縦の最適化・静安定性自動補償・旋回性向上」等の各モード飛行を可能にする為に当時のアメリカ空軍システムズ軍団の空気力学研究所によって研究・実験が行われた。



<キット解説>

 キットはハセガワより既製品のYF-16にCCV用のカナード翼と新デカールを添えたキットで1984年に発売されました。 量産型と比べて小さくて平べったい機首部やプロトタイプらしいシンプルなパーツ構成です。整形色もオールホワイトとビキナー向けに配慮されています。

箱絵

デカールと透明部品

胴体上面部品の下にカナードが見える
オールホワイトの胴体下面部品


製作

<コクピット>

 コクピットフロアー・射出座席・メインパネルの3点のみで構成されています。
非常にシンプルです。
拘る方は量産機型からコクピットを移植するのも良いでしょう。
作例はストレートにキットのまま作りました。
機体内部とフロアーをMrカラー72番(エアークラフトグレー)で塗りデカールを貼ったメインパネルと黒とODで塗り分けた座席を所定の位置に取り付けてコクピットの製作は終了です。



<胴体・主翼・水平尾翼・エアーインテークの取り付け>

 コクピットを組んだら胴体上下の貼り合わせをします。
合わせは極めて良好です。
次に主翼と水平尾翼を取り付けます
主翼と水平尾翼には取り付け角度が有るのでインストや実機写真等で角度を確認してから取り付けます。主翼を水平に尾翼は下半角を着けて取り付けるのが正しいです。
エアーインテークは3分割されているので各パーツのすり合わせと仮組をしてから胴体下面に取り付けます。

最後に機種部先端を取り付けて基本工作は終了です


<パテ盛りと整形>

 機体の基本工作が出来たら 主翼と胴体付け根そしてエアーインテーク周辺さらに機首先端部に隙間が生じたのでタミヤのラッカーパテを盛り付けて隙間を埋めます。
パテが乾燥したら#400・1000・1500の紙ヤスリで削って行き仕上げに#2000の紙ヤスリで削り缶入りグレーサフ#1200を吹き付けて整形作業は終了です


<消えたパネルラインのスジ彫り>

 パテ整形で消えたパネルラインをPカッターとトライツールテンプレートやモデラーズのマスキングテープを使用して彫り直します。 72サイズなので大きく目立つラインだけ彫り直しました。


<塗装>

 プロトタイプの派手なトリコーロールカラーです。
派手で目立つカラーですが苦手な色使いです(苦笑)

 先ずコクピット内部に機体色が入らないようにマスクします。
 ベースとなる白(クレオス社GX-1クールホワイト)を機体全体に吹きます。
 一晩乾燥の為放置した後
次に青(Mrカラー326サンダーバーズ用ブルー)を塗ります。
 また一晩放置して
更に主翼と垂直尾翼の赤(青と同じくサンダーバーズ用レッド)を塗ります

 最後に機首部上面のアンチブラック(Mrカラーブラック)を塗って塗装作業は終了です。
 各塗装作業と並行して脚や脚カバー・CCV用のカナード翼や垂直安定板等をインストの指示に沿って塗り分けました。

 青と赤はインスト指示の色を使用しましたが72サイズに使うには少し暗い感じがします。
インストに拘らないでもっと明るめにしても良かったと思います



<デカール貼り>

 初版(1984年製)のキットだったのでデカール全体に黄色み掛かっています。新しい物をアフターで取り寄せて良かったのですが出来る限りオリジナルの物を使う趣旨の作例なのでそのまま使用しました。  幸いお湯に浸してもバラバラにならなかったので貼り付けたあとには剥がれ防止にクレオスのマークセッタを塗って保護しました。



<細部パーツの取り付けと仕上げ>

 主脚と前脚を取り着けます。主脚は取り付け角度が曖昧なので一度仮注して角度を確認してから接着しました

 前脚も同様にして取り付けます。
脚カバーはイモ着けなので接着時には注意してください。

 エンジンノズルは全体をMrカラー8番「銀」で塗り、外側をジャーマングレーとダークアイアンで塗り分けて取り付けました。
 最後にカナード翼と安定板を取り付けますがカナード翼の取り付け穴が浅かったのでピンバイスで深く彫り直しました。これでカナード翼はしっかり取り付けることができました。
翼端のミサイルと機首先端の計測用ピトー管を着け
機体全体にクリアーを吹き数日放置して完成です。



 今回も貴重なハセガワYF-16CCVのキットを作る機会を下さった編集部に感謝です。 参考資料
キットのインスト
インターネットで収集した実機写真




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