Home  >潜水艦スルクフ(フルスクラッチビルド)

プラモデルの製作

   潜水艦スルクフ(フルスクラッチビルド)

by 愛知県在住 作者 清水 栄治




■作品について
 この作品は2013年の秋ごろにテレビで放映されていた番組“ローレライ”を見て、映画の内容より潜水艦の形と機能に驚かされ真剣に見入っていました。大戦時のドイツのUボート、日本のイ号、アメリカのガトー級など有名な船の形はよく目にしていましたがそれらとは機能・外観が違いその存在感にすっかり虜になってしましました。そうなるとなんとかして作りたくなるのが私でしてネットで資料や写真集めに奔走しました。 調べていくうちに映画に出てくるイー507潜水艦など存在しておらずお手本になったのがフランス海軍の“スルクフ”であることにたどり着きました。幸い手頃な図面(PDF)が入手できました。しかし詳細を知るための写真があまりなくいつもの通りそこは感と経験で乗り越える覚悟で製作に着手しました。




■製作について
 まずスケールを決める必要がありますが以前イー401を作ったことから同サイズの1/72に決めました。次はボリューム(長さ)を検討しますが実寸は105mほどでスケールダウンすると150cm程度になるためイー401と同等の長さに決めました。(70~75cm) 材料は全てプラ版とプラ棒を加工しでプラ用接着剤や瞬間接着剤で製作します。




① まず船体ですが船体中心部が円筒形で作りやすい構造になっており、断面図の寸法に合わせ桁になる円盤を0,5mmのプラ版をプラカッターで順次切り出していきます。円盤は補強のために4方向の放射状に2mmのプラ棒で補強を入れます。次に円盤外縁にアール癖をつけた2mmのプラ棒を左右全周接着します。これは後にプラ版を(船体)を貼りつけるのりしろ部になります。後はその円盤の中心部に5mmのプラ棒を通し円盤を7cm間隔で接着していきます。 次に円盤に直角方向に外周の骨組み(梁)を3mmのプラ棒で8等分した位置に接着していきます。これで船体の骨組みは完成で十分な乾燥を待ちます。乾燥後0.5mmのプラ版を7cm幅に切りガラス瓶などでアールくせをつけて外周4等分の長さ毎に接着していきます。(1回目の船体完了)さらに1回目の船体の上に同じように0,5mmのプラ版を全周囲に接着材を塗り貼りつけていきます。これで船体は完成です。


 

② 船体上部補強部(エアー、水バランスタンク部)ですが横断面図に従い0.5mmのプラ版を切り抜き船体と同じ要領で補強部を作ります。これにも船体外版を貼りつけるのりしろ部にアールくせをつけた2mmのプラ棒を接着していきます。 そののちに船体と同じ要領でアール癖をつけた幅7cmの0.5mmのプラ版を接着していきます。その後2度目の0.5mmプラ版を接着していきます。






③ デッキ及びデッキ受け部は5mmプラ棒で骨組みを作り乾燥後船体に載せ図面の寸法に従い高さ調整を行い又水平、垂直に配慮して大方の船体の外観を完成させます。




④ 艦橋周辺の砲塔ですがこれも円筒形で助かりましたが、船体と同じく円盤の桁にプラ棒の梁を骨組みとしてその外周に0,5mmプラ版を2重に貼りつけ造形します。砲塔は砲身を可動にするための加工を施しました。又砲塔が旋回出来るようにも加工しました。 格納庫はプラ版をリング状に切り抜きその外周に1mmのプラ棒で直角方向に梁を接着して骨組みを作りその後0.5mmのプラ版を2重にはり砲塔、艦橋部に接続しました。艦橋部の曲面はプラ版では再現できなくエポキシ樹脂とパテでそれらしく仕上げました。






⑤ 機銃、偵察機はネットで資料を入手してプラ材を加工してそれらしく作りました。偵察機も同じように資料写真が少なく苦労しました。 ただしエンジン、プロペラ、シート、フロート張り線など手をぬくことなく作りました。(偵察機の国籍マークはパソコン・プリンターからの自作)



⑥ デッキ等ですが後部の魚雷発射部は個別に作り可動可能です。錨、スクリュー等も図面通りにプラ材を加工して作ってあります。デッキですが本物らしく0.3mmのプラ版を短冊状に切り分け直角方向に受け材を入れてすのこ状にしたものを分割して据え付けてあります。 これは接着をせず経年でのそりを考慮して後に取り換えが出来るようにしてあります。手摺は全て伸ばしランナー(0.8mm程度)を加工して取り付けてあります。



⑦ 船体の長さは約半分の長さでカットモデルヤウォーターライン的なものをイメージしていましたが姿を現わすにつれ非常にバランスが悪く全ての長さに作りかえることにして、途中より船体前部、後部を追加工作しました。 作業が進むにつれて接着面にしわやたるみが顕著に表れその都度補修やパテ盛りなど大変な作業を経験しました。




⑧ 塗装は全てラッカー系の塗料を使いエアブラシ吹き付けで仕上げてあります。特に艦艇下部色は赤色を抑えて黒色を強く調合したマルーンを塗りました。 これは下部に重量感を出すために行いました。デッキはグラデーションを付けそれらしく塗装しました。ラッカー塗装乾燥後エナメル塗料で少々の汚れ塗装を付けました。



■全体について
製作は600時間程度かかったと思います。完成してみるとその大きさにびっくり。収納や展示を考えるとやりすぎたかなと思われました。定年退職して好きな模型作りを朝から晩まで思う存分出来たから完成にこぎつけたかなと思われます。 しかしプラ版は加工しやすいが接着剤に弱い。これなんとかならないかなと常に呟きながら励む毎日でした。でもフルスクラッチでしかも巨大なプラモデルを作り上げたことは一生の宝ものとなりました。


  Home>潜水艦スルクフ(フルスクラッチビルド)

Vol73  2014 September.     www.webmodelers.com /Office webmodelers all right reserved / 
editor Hiromichi Taguchi 田口博通 /無断転載を禁ず  リンクフリー

「webモデラーズ について」 「広告のご出稿について」

製作記事

TOTAL PAGE