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誌上個展
温故知新シリーズ第6弾

P-40E(レベル1/32)

by ヒサマロ




 どうもヒサマロです。今回の温故知新シリーズは今月の特集に合わせてレベル1/32のP-40Eを取り上げさせていただきます。ご存知のようにこのキットはスピットファイアMk.Ⅰ、Bf109Fとともに1967年に1/32シリーズの第1陣として発売されたものです。1960年代にレベルの発売した航空機キットは1/72が中心でしたが、いきなり1/32というビッグサイズでエンジン内臓、良く出来たコクピット、脚の引き込み、各動翼の可動など盛りだくさんの内容でこれら三キットが発売されるとモデラーたちから大歓迎を受けました。特筆すべきはその表面モールドです。 全面凸モールドですが、外板の重なり具合が表現され、リベットも輪郭だけが浮き上がり、マイナスねじの溝の方向もそれぞれ違っているといった職人芸が光る、まさに本物はこうなっているのではと思わせる仕上がりなのです。残念ながら次の零戦以降のキットからはこういった繊細なモールドは見られなくなってしまうのですがわが国に与えた影響は計り知れず、ハセガワも1970年には1/32スケールに参戦してきて大スケール全盛期がやってくるのでした。私がこのキットを手にするのは1969年にグンゼレベルで国産化されたときでした。確か450円だったと思います。




 さて、それではこのキットを製作していきましょう。今から47年も前のキットですから現在の目で見るとおかしな部分は多々ありますが、当時は精密キットとして歓迎されたものです。ですからこのキットはあくまで表面モールドの美しさを生かすことを第一として昔作ったのと同じように素組、筆塗りすることとしました。正しい外形とディテールを求める方にはハセガワのキットがあるのですから。  まずはエンジンの組立から始めます。各部に多少隙間が出来ますのですり合わせを良くし、パテ埋め処理をしておきます。本体をダークシーグレー、セミグロスブラック、シルバーで塗り分けて他はインテリアグリーンを塗って細部はドライブラシとスミイレでアクセントをつけておきます。エンジン本体を支持架に接着した後に防火壁に接着するのですがこのときに左側胴体パーツに防火壁を仮付けしてプロペラシャフトが中心からずれないよう調整した後にしっかりと固定させます。




 次はラダーと水平尾翼の組立です。可動になっているので接着する時は粘土の高い接着剤を使いましょう。胴体内にコクピット側壁を接着し、ラダーと尾輪を組み込み左右胴体を接着します。尾輪は引き込み式になっていますが扉は可動ではないので意味がありませんから固定します。胴体はかなり反っていたので接着後ゴムバンドをきつく巻いて一日置きました。 主脚は90度回転して引き込むように設計されていますがそのために複雑な脚構造部分は省略されています。プラ製なので何度も動かしているとガタが出てきてやがては壊れてしまうでしょうから固定した方が無難です。これらを主翼の下部に組み込み、可動式の扉とエルロンを一緒にはさみこんで上翼を接着します。




 コクピットは今の目で見るとかなりいい加減です。シートもN型のものですがそのままとしました。代わりにパイロットをハセガワのキットから転属させました。これでぐっと雰囲気が出ます。主計器盤も正確ではありませんがやはりそのまま使用しました。全体をジャーマングレーで塗り、計器はグロスブラックを塗った後に目盛りを白の色鉛筆でなぞりました。 バルクヘッド、操縦桿を取り付けたら胴体下部からコクピットを入れ込んでガッチリと固定します。前部キャノピー部分と後部窓の部分は隙間が出来るので木工用ボンドを流し込んでおきます。スライド部分は無理なく可動しますので前部とよくすり合わせをしておけばOKです。胴体と主翼の接合部はかなり隙間が目立つのでプラ板と溶きパテを使用して出来るだけ表面モールドを傷めないように注意します。




 これで士の形が出来上がったので全体塗装に入ります。マーキングはやはり初版と同じ晴天白日のフライングタイガーのシャークマウスでいきたかったのですが入手できませんでしたのでハセガワから転用しました。下面のライトグレーは当時のカラー写真を参考にスカイと色味が似ているクレオスの11番ガルグレーを、上面のダークグリーンとダークアースはクレオスのイギリス機特色セットを使用しました。筆塗りで大面積を塗るのは大変ですがとにかく薄めた塗料を塗っては乾かし辛抱強く行います。 表面のモールドが埋まってしまっては何の意味もありませんので。塗装終了後エナメルのブラックでウォッシングしましたが調子に乗ってペトロールを含ませた綿棒でゴシゴシこすっていたら、バキッと音をたてて左主翼と胴体接合部がバックリと割れてしまいました。最後に来てこの仕打ちは痛い。泣く泣く再度接着と溶きパテ処理した後その部分だけ塗りなおしました。デカールを貼って最後にパステルで汚しを入れて完成です。




 実に30数年ぶりに1/32のキットが完成いたしました。いやーやはりレベルの最初の三作の表面モールドはすばらしいの一言です。出来上がったときにこんな感動を与えてくれるキットにはそうそうお目にかかれません。外形や細部の正確なキットは現代では当たり前になってはいますがレベルの1/32シリーズはそんなことよりもプラモデルを作る楽しさが溢れていると言えるのではないでしょうか。 スピットファイアも持っているので今度はこれに挑戦しようかな・・・今回もこのキットを作る機会を与えていただいた編集部に感謝いたします。それではまた。




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Vol.75 2014 November.   www.webmodelers.com /Office webmodelers all right reserved /  
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