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誌上個展

PZL P.11c (エレール 1/72)

by R.P.K.

 12月号のエレール特集に今まで作ったフランス機などを紹介するつもりですが、模型棚から発掘するまで待てずにエレールのポーランド戦闘機PZL P.11cを作ってしまいました。レベルのファイター・シリーズの大昔作例も2013年9月号で投稿しましたが、エレールのキットはモールドも細かく出来も抜群です。 レベルやエレール版はデカールの白が経年変色してしまいましたが、アルゼンチンのエンコレー・モデルスからエレール版が発色も良い新規デカール3種が付いて発売されています。


 ポーランド機は作例の第142中隊機#68のように、胴体のシリアル(8.68)と主翼下面のコールナンバー(68-T)、中隊内機番(68)の3種が記入されていて、PZL P.11のポーランド製資料本にも3種全てが判明している機体は25機しかありません。 エンコレーの第113中隊機#10はシリアル(8.70)とコールナンバー(170-N)ですが残念ながら間違っています。レベル版の第111中隊機#3もシリアル(7.72)とコールナンバー(58-N)が正しいので注意しましょう。この複雑な3種ナンバーを調べるのが大変ですね。


 第一次大戦の連合軍側戦勝国だったポーランドは農業に替わる産業化を図るが軍備の拡充は遅れ、ヒトラーにより再軍備したドイツはポーランドとの不可侵条約を放棄してソ連と領土分割の密約を交わし、1939年9月1日に突然ポーランドへの侵攻を開始した。 圧倒的なドイツ軍の電撃戦により後退を迫られ、9月17日にはソ連軍が侵攻を開始して勇敢に抵抗したポーランド軍もついに10月6日降伏、領土は分割されてポーランドは消滅する。ポーランド空軍はPZL P.11戦闘機175機とP.7戦闘機105機、PZL P.37爆撃機86機の他に旧式な複葉機など総計1369機(稼動463機)を保有していた。


 ポーランドのズイグムント・コワルスキー技師がPZL(国立航空機会社)において1929年にガル翼を持つ全金属製の単葉戦闘機P.1を開発し、空冷星型エンジンを搭載するP.6に過給機を装備したP.7は149機が空軍に採用された。続いてエンジンを強化したP.11aが30機生産され、さらに強力なマーキュリーVまたはVI.S2に換装して一部に7.7mm機銃4挺を装備するP.11が175機作られて1935年から空軍に配備される。 エンジンを換装した密閉式コクピットのP.24はトルコ、ギリシャ、ブルガリアなどに採用され、ルーマニアは低圧タイヤのP.11fと自国製エンジン搭載のP.24Eをライセンス生産した。開戦時に戦闘機9個中隊がP.11aとP.11cを175機(稼動140機)装備し、優勢なドイツ空軍と果敢に戦って生き残ったパイロットはフランスとイギリスに亡命して戦い続けている。


① エレールの1/72キットはディテールも良いが胴体パネルや機首スクープのミスがあり、白が変色したデカールは第121中隊(122は間違い)のコールナンバー39-K がなく胴体と主翼の帯はライトブルーで、第114中隊は実機のシリアルなど確認できない。



② アルゼンチンのエンコレー・モデルスから発色が良い3種の新規デカールが入ったエレールキットが発売され、第113中隊はシリアル(8.70)、コールナンバー(170-N)で、所属不明の迷彩機は(62-W)だから他のデカールから流用する。



③ 図面を見て主脚柱と内側に傾いたタイヤを接着して0.3mmシンチュウ線を張って強度を出す。



④ 上面オリ-ブドラブ(FS-34067)、下面ライトブルー(FS-35550)のポーランド空軍標準塗装。



⑤ 第142中隊“ワイルドダック”所属機は胴体に部隊マークと機番(68)、シリアル(8.68)、垂直安定板に機種名P.11cとPZLマークを記入している。



⑥ 主翼上面の国籍マークは左右非対称に記入され、無線用空中線は黒テグスを張った。



⑦ 主翼下面のコールナンバー(68-T) は手持ちデカールを使い、白部が下面色になっている国籍マークをエンコレー・モデルスから流用した。



⑧ コクピット内部に構造材やコンパス、スロットル、シートベルト、照準器を追加し、プロペラシャフト端を延長してスムーズに回転させる。



⑨ 図面を見て主脚タイヤを正確に取り付け、尾翼支柱、方向舵操作ロッドを作り直す。



⑩ 胴体と主翼をなじませて手掛けや照星、照門をシンチュウ材などで作る。



⑪ 図面を見て機首のスクープや着脱式燃料タンクのモールド、尾ソリなどを修正した。




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