Home  >Dassault “Super Etendard” (Heller 1/48) ダッソー スーパー エタンダール (エレール1/48)

誌上個展

Dassault “Super Etendard” (Heller 1/48)
 ダッソー スーパー エタンダール (エレール1/48)

by Kiyoshi Iwama


Dassault Super Etendard (1/48) Heller Box Art より

はじめに
 1965年に日本でも公開されたフランス映画「頭上の脅威」をご覧になった方はいらっしゃるでしょうか?フランス海軍の全面的協力で製作されたこの映画、当時としてはフランスの最新鋭空母「クレマンソー」と最新鋭艦上戦闘攻撃機「エタンダールⅣ」がふんだんに画面に現れるというもので、未知の飛来物体によって引き起こされる核戦争の恐怖を描いたものでした。 当時映画を見た私の脳裏にも強烈な印象を与え、なじみの薄かったフランス機のエタンダールの名前が焼き付けられました。その後1989年、パリ・エアショーに行く機会があり、そこで性能向上型のシュペル・エタンダールを目にした喜びは、今も忘れられません。


実機について
 シュペル・エタンダールは、機体構造の大半はエタンダールⅣと共通ですが、超音速化のためエンジンをパワーアップし、重量増に対して離発艦性能を補うため、主翼の前縁スラットやフラップの面積が増積されています。大幅に変更された機首にはIバンドのモノパルスレーダが搭載され、エグゾセ空対艦ミサイルとの組み合わせで、攻撃力が一段と強化されました。1978年からフランス海軍への量産機引き渡しが開始され、長く、フランス海軍の主力攻撃機の地位を維持してきました。またアルゼンチンやイラクにも少数が輸出され、総生産数は85機に達しました。 1982年にイギリスとアルゼンチンとの間で起こったフォークランド紛争では一躍注目を浴びることになります。紛争は物量ともに優勢なイギリス軍がフォークランド諸島を奪還する形で終わりますが、レーダ網をかいくぐりイギリスの艦隊を急襲したアルゼンチン海軍のシュペル・エタンダールは、エグゾセ・ミサイルを発射、1発が駆逐艦シェフィールドに命中し、沈没に至らしめたのです。その後も改良を重ね、現在も現役に留まるシュペル・エタンダールですが、そろそろ退役の時期を迎えており、空母上で活躍する実機を目にすることができるのも、残り僅かとなってきました。


1989年パリ・エアショーに展示されていたSuper Etendard

キットについて
 さてキットについてですが、エタンダールⅣ、シュペル・エタンダールとも1/48のキットがおひざ元のフランスのエレール社から発売されていますが、私がキットを求めていた頃には店頭にあまり出回っていなかったようで、たまたま当時顔を出していた模型屋さんで中古のキットを見つけ、購入したのを覚えています。とにかくボックス・アートが最高でした。

 キットの中身の方ですが、さすがフランスのメーカだけに自国機であるシュペル・エタンダールの形態をうまく表現しています。
主翼も外翼が別パーツとなっており、折りたたみ状態で作ることもできます。感心したのは二段のスロッティッド・フラップが再現できることでした。一方、上下の胴体の合わせ目、主翼と胴体の接合部、水平尾翼と垂直尾翼の接合部、エア・インテイク部の合わせ目など、目立つ部分の接合精度が、あまり良くないのが欠点でした。それでも、キット表面に彫られたパネルラインは非常に繊細で、脚柱や車輪、エア・ブレーキ、各種アンテナ、AM.39エグゾセ・ミサイルや主翼下や胴下のタンク等の出来はまずまずのものでした。


工作
 最初はコクピットの製作です。胴体の内側とマット・ブラックで塗装し、バスタブ型のコクピットも同じ色を塗り、主計器盤とサイドコンソールはデカールを貼っての表現です。実機のコクピットも狭く、外部からはあまり見えないので、これで十分です。座席だけはキャノピーを通し少し見えますので、残り物のエッチングパーツとマスキングテープでシートベルトを作って貼り付けました。(写真①)但し、座席の取り付けは最後です。 コクピットを組み込んだ後、胴体パーツの上下接着、エア・インテイクと境界層スプリッター、主翼と水平尾翼、垂直尾翼のアンテナなどを接着し、隙間部をパテ埋めし、乾燥後整形していきます。(写真②、③)特に注意を要するのはインテイク接合部の段差や特徴ある機首の整形です。機首レドームは断面が真円で先端が結構尖っています。この辺を頭に入れて慎重に整形していきます。(写真④)


写真1


写真2


写真3


写真4




塗装
 全体の形状が出来上がると、風防とキャノピーをマスキングし、枠をマット・ブラックに塗った上で風防は胴体に接着します。そしてキャノピーは両面テープで所定の位置に仮付しておきます。これで塗装準備完了です。迷彩のラインが主翼とつながるフラップは収納状態で主翼と一緒にマスキングし、切り離して塗装は胴体とは別に行いました。シュペル・エタンダールの塗装はグレイ2色の迷彩です。まず垂直尾翼の先端前縁部とアンテナをマット・ホワイトで塗装し、マスキングします。そして全体をバリー・グレイ(グンゼカラーC334)で全面を吹き付けます。(写真⑤)

脚収納部は銀色ですが、後で塗ることにします。乾燥後写真を見ながら作成した波型迷彩のマスキングシートを貼り付け、濃いグレイとなるエキストラダーク・シー・グレイ(C333)を吹き付けました。このとき2色のグレイの界面が少しボヤケる程度とします。(作例では必ずしもうまく出来上がりませんでした)(写真⑥) さらに、胴体部で塗り残したレドームと脚収納部を、周りをマスキングして塗装します。

 次にその他の部品です。脚柱や車輪のハブは銀色に、タイヤはタイヤブラックで塗り、少し汚しをかけています。(写真⑦)次にエグゾセと翼下タンクです。(写真⑧)エグゾセも、ランチャーも反ツヤのホワイトで塗っています。これで塗装はほぼ終了です。



写真5


写真6


写真7


写真8



仕上げ
 脚柱や脚カバー、外部搭載品を接着する前にデカールを貼ります。デカールはキットの付属のものが印刷ズレを起こしていたため、CARPENA社のデカール(CA48029)を利用しました。余白がなく、フィルムの薄いデカールで出来上がりは凄くいい感じですが取扱い難さがあります。デカールを貼り終えたのち、乾燥を待ってデカール保護のため、クリア・フラットでオーバー・コーティングをし、田宮のエナメル塗料で軽く墨入れと汚しを施しました。そして風防とキャノピーのマスキングを外します。 塗料が回り込んでいないか心配でしたが、大丈夫。キャノピーを本接着する前に自製のリアビューミラーを取り付けておきます。そして最後に脚、脚扉、エア・ブレーキ、エグゾセ・ミサイルと外装タンク、ピトー管やアンテナなどの小物部品を取り付けて完成です。

 「完成した形はまさにシュペル・エタンダール!」と自己満足していますが、アメリカ機とは異なるフランスの香が漂っているようです。


左側方から見たシュペル・エタンダール。機首の尖り具合はどうかな?


左前方から見たシュペル・エタンダール。エグゾセが結構大きなミサイルであることが分かります。


上面から見ると迷彩のパターンが良く分かります。


2段のスロッティッド・フラップをフルダウン状態としています。


下面もいろいろな部品が隙間なく付いています。DEFA30mm機関砲は真鍮パイプで製作しました。


胴体中央部の下面、フラップの取り付け位置にはすり合わせが必要でした。



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