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誌上個展

  試製富嶽(フジミ 1/144)

by Windy Wing 2013




 今回は幻の超重爆撃機<試製富嶽>をご紹介いたします。



 本機は「試製」という名称や「G10」という機体番号から、ともすると「海軍機」と捉えられがちです。 しかし、中島飛行機はこれを陸海軍共用機として試作受注しており、その「試製富嶽委員会」の主務には陸軍の安藤成雄大佐が就任した経緯で、防衛庁(現・防衛省)戦史編纂においては本機は「陸軍航空兵器」として取り扱われています。




 キットは実質的には「プラモデル」ではなく、あくまでも「未塗装のフィギュア素材」です。立て付けの悪い部品群をまともな形に組み上げるのには相当の労力を要しますが、いざ完成してみると、いかにもそれらしい雰囲気を醸しだすのはさすがにフジミです。 製作中はそのあまりのサイズに、しばしば1/72キットを組み立てているような錯覚に陥りました。本機の右・左半分それぞれのエリアにMD-90が一機ずつ駐機できる、と言えば、その大きさをイメージしていただけるでしょうか。




 現存の青写真では機首部分が欠落しているため、その形状はいろいろな場面でオリジナルにデザインされていて、本機の持つ神秘性をさらに深いものにしています。 個人的にはB-29のような完全半球形にすることによって航続距離を稼ごうとしていたのではないかと想像するのですが、深山/連山の系譜を継承するこの<フジミの富嶽>は架空戦記としてとても魅力的です。




 サイパン陥落してなお、数千の巨人機で米本土爆撃を目論んだ「Z飛行機計画」については、戦術としてはもちろん、戦略としても、私にはその実効性が理解できません。 この「空の大艦巨砲主義」の設計者たちが時をおかず「特別攻撃機」の開発へと移行せざるをえなかった史実はその誤りを今に伝えます。


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