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プラモデル製作記事

F6F-5 ヘルキャット (アカデミー 1/72)

  by 加藤 寛之




 以前にフジミ1/70ヘルキャットを作ったときにデカール流用で購入してあったキットを作ってみた。キットは3型と5型の選択ができる。後者のデカールは使ってしまったので3型で組めば問題なかったのだか、鹵獲機塗装としたので5型で組んでいる。
 いかにもアカデミー的なキットである。見た目は現代的だし、型式選択と共に塗装も3色と濃紺になるし、爆弾とロケット弾、落下燃料タンクが付く。部品分割は凝ったところがなく単純明快で、けっして悪くない。
だが、全体の形が丸すぎてボ~としている、主翼後縁が厚く翼端もダルい、動翼とパネルラインのメリハリが不足している、動翼類のリブ表現は棒が並んでいるようにゴツい、等々。つまり、3面図のようにできてはいても、図面では説明しにくい要素が理解されておらず、いたるところが飛行機っぽくない。ちょっとガッカリなのだ(だからといって作らないのではないが)。




 コックピットは、床板に計器盤、操縦悍、背板、椅子と、左右胴体内面に機器類の一体造形品を付ける。3型の場合は薄い成形の後方窓部分を切り抜いて透明パーツを付けることになる。一体の機器類パーツが床板等の位置決めを兼ねており、適度にいい感じのコックピットになる。垂直尾翼後縁が厚いので、内面から削って薄くしておく。背部と尾部にあるライトは透明パーツがあり、穴に差し込んで付ける。足が長いので小さい部品ながら簡単に付けられるのは良い工夫だ。ただし「銀色」の色指定なので、それならば透明な別部品にしなくても良いだろうにと思う。  主翼は胴体部分も一体の下面パーツに、左右上面を付ける3点構成。後縁を薄くするために内面を削ると胴体側の造形と合わなくなってしまうので、組んだ後に後縁下面を斜めに削りあげる方法にした。下面の後縁が傷つくのではあるが、上からは見えない。




 エンジンはプラモデル的で簡単な構成で好ましい。ただカウリング外面がヘロヘロで胴体側のキレも良くない。ここは削ってごまかした。3型の場合は側面に膨らみのパーツを付けるが、これは無い機体も多い。風防も2種あるが、これも実機では様々らしい。  私は爆弾類はつけない趣味なのだが、付ける場合はその位置に穴をあけることになる。普通は組む前に内側から開けるのだが、このキットは外側からあける。つまり、外側に半分窪んだ穴があるのだ(それじゃあ、ボコボコじゃないかぁ~)。私は構わないけど、これって便利なのか無神経なのか、どっちなんだろう。




 さて、塗装である。今回は押尾一彦・野原茂『日本軍鹵獲機秘録』(光人社、2002年)p.140 掲載の日の丸つきヨ-801機にした。実機は壊れた状態で、粗雑な日の丸と手書きであろう機番が描かれている。あまりに雑なので囮のように見える。米軍マークの白袖が見えないので日本機のように上側面を濃緑色で塗りなおしてあるかもしれない。 主翼前縁の黄色はなく、プロペラは外れている。風防も外れている。とりあえずここでは米軍の濃紺色とし、5型の風防を付けておいた。日の丸は何かの余りを適当に貼ったのでやや大きめ。機番はフデでイイカゲンに描いてみた。最後にトップコートをふいてツヤを整え、これで完成。




 さて、冒頭に「全体の形が丸すぎて」と書いたので、少しだけそれについて書くことにする。たとえば、文林堂『世界の傑作機 グラマンF6Fヘルキャット』№71(1998年)の46ページを見てほしい。風防の前は細く絞ってある。前方斜め下の視界が良さそうで、艦上機として望ましい形である。垂直尾翼を見ると前縁は薄く、直前の胴体の白塗り部分を見ると、ここも薄いことが分かる。72ページ中央写真では、背部の細さや風防の断面形も分かる。胴体の国籍マークの白が平らな板に描いたように見えることで、そのあたりに丸みがないこともわかる。 ヘルキャットは全体の姿は鈍重なイメージだとしても、ダルい形ではないのだ。巻末の3面図を見てもらえれば分かるが、これらは図面では読み取りにくい。「3面図のようにできてはいても」とは、こんなことなのだ。

 ではダメだから作らないのかといえば、そういうものでもない。“何か、違うよなぁ”と思いながら作れば、それでいいじゃないか。実機は実機、プラモデルはプラモデルだ。プラモデルは作ることで始まるもの、バシバシ作って楽しみましょうよ。


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