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フルスクラッチビルド & ソリッドモデルの製作

2式中間練習機 (1/48 ソリッド)

  by 小山新一



 私、基本的にはプラモデラーで、中学のときにマルサン1/100に出会って以来、ずっとプラモデルを作ってきました。ただ、ほんの時折、プラモデルでは出ていない機種を作り、プラモデルと並べてみたいとの欲求で木を削り、ソリッドを作ってきました。ただ、プラモデルの世界も成熟してきて、昨今はキット化されない機種が少なくなって、ソリッドを作る対象に困るようになってきました。試作機など、珍しい機体はまだあるのですがそうした機種は資料が少ないというジレンマがあります。そんな中で、今回の2式中間 練習機は穴 であり、ヒットであったと自負しているのですが・・・・。  生産数も多くなく、資料が少ない機種ですが、70年代の「ホビージャパン」に掲載された渡部利久さんの良質な図面が手元にあったのが幸いしました。計器盤の計器の配置や、コクピット内の装備のあらましまで記入されています。これをもとに木取をしたのが、昨年の10月の初めで、完成したのが今年の1月の下旬、4か月弱で出来たのは、私のソリッドの中で最短となりました。妥協するのがうまくなったといえるかも知れませんけど。 



製作

 材質は昔からソリッド適材の朴の木で、胴体はホームセンターで買った角材、主翼・尾翼は文具店で買っといた版画用の板材で、これもたいてい朴の木です。これらに図面のコピーをあて、輪郭を写し取り、おおまかにノコギリでそのあと切り出し小刀で削っていくわけです。



 作業をスムーズに進めるにはよく切れる刃物が欠かせず(切れない刃物はけがのもとです)、ために刃物を研ぐ砥石も必要になります。切り出しにアルファベットを記してあるのは、さやを間違えぬための配慮です。

 主翼は大戦中の日本機に多い、水平な中央翼と上反角のついた外翼の組み合わせなので、分割で作りあとで結合します。
 


 胴体をほぼ整形したあと、コクピット部をノミで横からくり抜き、抜いたブロックを彫刻刀などで中空にした状態です。
 
 キャノピーのテスト・ショットをのっけた状態。2式中練のキャノピー、テキサンに似てもっと断面形がとんがっているので、木型さらに削り込む必要ありです。カウリングも切り離し、中くり抜いてあります。


 コクピット内および脚などの写真です。固定脚の削り出し、小さいため意外と難物。老眼もあって、果たして形になるのか不安でした。これに比べ、タイヤは3センチ径の丸棒を輪切りにしただけで簡単でした。タイヤぐらい、プラモデルから不要パーツを流用してもいいと思うのですが、せっかくの手作りなので、すべてをゼロからつくること、この1点だけはこだわっています。

 計器盤は透明塩ビのサンドイッチ構造、シートは木型をつくり塩ビでプレスしました。



 寿エンジンの完成写真です。これもファインモールドの9試単戦に、よくできたエンジンが入ってい て、流用の誘惑にかられたものです。私の製作法は古いソリッドモデルの製作本にのっているクラシカルなものです。
 
 プラの円筒とプラ棒でクランク・ケースとシリンダを作り、シリンダにエナメル線を巻き付けて冷却フィンをらしく作るのです。昨今のプラモデルのパーツに精度では及びもつかないのですが、正面からのぞく限り悪くない雰囲気です。




Mrカラーのサフェーサーをかけた状態です。 


 機体を取り囲む整備兵は、昔のタミヤ1/48の零戦(32型)についていたいわゆる帽ふれフィギュアを少し改造したものです。新しい22型を買えばパイロットのフィギュアが4体も入っていて、練習機にはこちらの方がふさわしいのですが 、零戦のストック今でもかなりあるので、整備兵にした次第です。 フィギュアがあると、飛行機の大きさがわかるだけでなく、何か親しみが加わる気がします。兵器とはいえ、人間が作り、人間が使う道具だと思えるからでしょうか。




 2式中間練習機について、写真ではコクピット部のアップで確認出来ると思うのですが、胴体背部の信号灯(赤・青・黄)を何で作ろうか悩んだものです。エポキシ・パテを丸めて貼り付け、シルバーを塗りクリアカラーを塗ってもよかったのですが、できれば透明な素材で作りたい。で、恥ずかしながら女性客ばかりの手芸店に入り、極小のビーズをあさったりしたのですが、適当なものがありません。意外な手持ちの材料でうまくいったのですが、釣り糸でした。太いテグスをライターの火 であぶると丸まって玉になる。これをいくつか作り、大きさのそろったものを3つ選別して取り付けた次第です。伸ばしランナーあたりからの発想でしょうか。  あと、アンテナ線1/32の飛行機には張るのですが、1/48にはなしで済ましてきました。でも、今回は張ってみようかとこれも素材を探したのです。1/32だと釣り糸の06号がぴったりなのですが、1/48には太い。模型店で相談したら艦船模型用の極細テグス(しかも黒色)があるというのでこれだと思ったのですが、一巻1800円もするというので購入しませんでした。結局、何を使ったかというと毛髪です。私のはくせ毛でダメなので、妻のを使いました。床におちてたのを、一本ゲットしたのですがなくして、こっそり寝室の枕元に拾いにいったのでし た。妻には、テーブルで拾ったといっています。
 どうでもいいようなことを書きましたが、どう工作するか、何を使うかという点、ソリッドならではの楽しさかも知れません。




 さて、貴誌「ウェブモデラーズ」が私の好みに合うのは、ひとことでいえば手作り感でしょうか。筆塗りによる仕上げのモデルが多いことや、古いキットをコンスタントに取り上げている点などがその具体例といえます。さらにいえば殆どの作り手が楽しんで作っていることが伝わってくる点も素敵です。 模型誌であまりに完成度の高い作品を見せられると、モデラーは萎えてしまうというか、製作意欲をなくしてしまいます。かつてモデル・アート誌が出した「エム・キャッツ」が休刊せざるを得なくなった一つの原因 はこの辺にあると考えるのですが・・・。
 以上、どうでもいいようなことどもをつづりました。今後とも楽しい誌面を作って下さい。


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