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誌上個展

<日本航空史>
三菱MU-2は新司偵のおもかげ

  by 加藤 寛之

 今年5月のSLB展示会のテーマは、哨戒機とか偵察機、救難機といった分野がテーマだと聞いていたので、ハセガワのMU-2でも作ろうかと思ったら店頭になかった。 店主に聞いたら、もう長い年月、製造していないのではないかとのことだ。実機の現役時代でもプラモデルとして売れない商品だったから、それは仕方がないことだろう。 





 佐貫亦男『飛べヒコーキ』(光人社NF文庫)ではMU-2を「新司偵のおもかげ」と題して紹介している。佐貫亦男氏は独自の視点でヒコーキを論評しているのだが、MU-2は正面からベタ誉めしている珍しい飛行機。そして「この機体は三菱として全能力を傾けたものであったが、その指導にあたったのが新司偵の設計者久保富夫君であったから、よい作品が完成するはずである」と記している。佐貫氏は、久保氏が関わったヒコーキになるとベタ誉めなのだ。そんなこともあって、原型と量産型ではエンジン部分が違うくらいに思っていたが、調べると翼幅を1m延長のうえ前縁にドループを付けて取付け角を増し、水平尾翼の取付け角も変更していた。良い飛行機へまとめる道のりはそんなに甘くないのだろう。  MU-2の原型初飛行は1963年というから50年以上前である。ハセガワのキット発売は1974年でその10年以上も後だが、「飛行機のハセガワ」に猛進している頃とあって、民間機と自衛隊機を一挙に発売した。このキットを新製品で紹介した『航空ファン』誌にあるハセガワの広告には「ハセガワのモデルは初心者からマニアまで誰にも楽しめる作りやすさ」とある。40年前のプラモデルは広い層を対象に開発され、皆が手軽に作れる内容のものだったのだ。ハセガワのキットの前に大滝製作所の製品があって、これは発売当初は原型の姿だったそうだが、私はそれをお店で見た記憶がない。写真はその原型機。


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