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飛行機プラモデルの製作

フィアット G.91 R-1 (エアフィックス 1/72)

  by 加藤 寛之

 実機の初飛行が1956年、このキットは東京オリンピックの前には発売されていたようだ。一度金型改修されたらしいが、エアフィックスの製品としても相当に古い方になる。初期のエアフィックスは概ねジェット機の出来が悪く、その一つにあたる。  今回使ったキットは、グンゼ産業版の「Mr.キット」の一つで「1981」年と箱に記載されたMade in Japanの品。よって組図は日本語だ。




 なにしろヘロヘロでぶにょぶにょのキット。溶けたのかと思うほどダルくて曖昧な造形、細部はほぼ無視、しかも似ていない。例えば主翼。主翼断面形は前後同じようで、表面はゆがみ、エルロンの溝は太くまるい。外翼にはカマボコ断面の太~い境界層隔板があって、パイロンが付く部分はグズグズの造形だし、胴体との接着はすきなようにつけられるほどのガタがある。 胴体も後端の造形ときたら何をしたいのか悩むほどで、排気口は実に奇妙な穴になっている。キャノピーも実機と関係ない形をしている。これだから完成まで精神を維持する自信がなくて、今まで作れなかったのだ。今回の完成は、「まあ、いいか」の精神許容度が上がったからこその結果だ。




 では、解説。まず各パーツの整形から始める。バリを取り、小パーツの表面を均し、形を整える。実機がどうかではなく、キットパーツとしてキレイになればOKとする。左右胴体の接着面を均してから、指定色のニュートラルグレーで内部を塗る。コックピットは曲がった板の座席だけだから、これは後で上から入れればよいとして、左右胴体を接着。ここで三角錐の機首も接着しておく。接着剤が固まったら、謎めいた吸気口と排気口の穴を整形する。実機の形など気にせず、きれいに開口できればよしとする。 主翼は左右分割の1枚モノ。表面の歪みを削って均し、前縁・先端・後縁と整形、胴体との接着面も整形しておく。境界層隔板はそのままでOKとする。 パイロンは前縁が主翼上面に出るのが正しいのだが、その辺りの造形はぐちゃぐちゃ。ここはきれいに均してごまかす。実機など関係ない、プラモデルとして見栄えがよければOKなのだ(箱絵と比較のこと。でもウソが分るモデラーって、そんなにいないと思うぞ)。




 風防は、なんとなく「そうかナぁ~・・・」って形で、それっぽくない筋彫りが入っている。これは塗装でそれっぽくする。胴体の上にサンドペーパーを巻き、その上で風防パーツを置いてこすると、それなりに胴体とのすり合わせができるので、これでプラモデルとしての見栄えを確保。  パイロンは地面につきそうに大きいから、2ミリほど上下幅を狭くする。脚カバーはキット指定のように組むことをあきらめ、「脚の補強になればいいや」くらいの気持ちで捏造し組み付ける。カバーは猛烈に厚いがそのまま使う。補強にはこの方がよい。




 塗装は、例によって机の周りにある似たような色で塗る。次はデカール・・・ところが、熱湯に入れてもまったく分離する気配がない。こりゃ、ダメだ。そこで余りデカールを探すと、なんとG91用の別売りデカールを持っているではないか。これも超~古いデカールで、こちらは分離できたが今度は付かない。ノリがイカレていて乾くと丸まってしまった。対策として水性ボンドを薄めて上塗りしてみた。大成功だ。水分で拡がったデカールの下にネットリとした水性ボンドが入り込み、シルバリングを防ぐとともに滑らかに表面を覆うので発色もいい。耐久性がどれくらいあるか不明だが、私は完成したらハイ終了なので、これでOK。  完成である。似ているのでもなく、作りやすいのでもなく、出来上がった姿もどうってことない、そんなエアフィックスのG91が出来た。私、あと何個か持っているが、作るのだろうか。


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