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<日本航空史>
神風号、ロンドンに飛ぶ(どんなふうに?)
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by 加藤 寛之 |
プラモデル コラム |
朝日新聞がロンドンに向かって飛ばした神風号は、97式司令部偵察機の原型2号機だという。だがこれでは面白くなくて、陸軍が試作費用を工面するのでキ15とした(んじゃないかな)三菱製の新型飛行機「雁形高速連絡機」の2号機を朝日新聞が買い、陸軍が買ったときに97式司令部偵察機になった、と言った方がそれらしい。試作1号機は軍が入手したようだから、“試作費用はもってやるから、1号機はよこせよ”とでも決めてあったのだろうとは思うが・・・。 |
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こんなことは模型的にはどっちでもよいのだが、陸軍は当初、本当に買う気がなかったとしか思えないことがある。「アサヒグラフ」昭和12年6月23日号(第28巻第26号)に、神風号の前席、後席の計器盤の写真と、それをイラストにした図が掲載してあるからだ。いくらなんでも新採用の軍用にするつもりならば、性能のヒントが見えそうなコックピットを公開はしないだろうと思うのだ。 |

さてこの神風号だが、昭和14年発行の『昭和十五年度版 日本民間飛行機全輯』(「空」臨時増刊号、工人社)をみると、上反角「左7°右6°-30’」後退角「左9°右8°‐50’」とある。左右で非対称なのだ。この値がどういう意味なのか私には分らないのだが、もともとプロペラが回転する反作用で機体は逆に捻れてしまうし、気流は尾翼にねじれて当たるので、プロペラ機はおそらく機首を真っ直ぐ前に向けては飛んでいないのだろう。 |
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プラモデルの飛行機は飛ばないからこういう心配をしなくて済むので、お気軽なものである。神風号は有名なので、古くはマルサン1/50があり、72クラスはマニアからハセガワに移ったキット、アリイが持っている旧LSのキットのいずれもがしっかりしたキットだと思うが、上反角や後退角がどうなっているかまでは検証したことがない。 |
最後にプラモデル的なことをいくつか書くと、神風号は機体表面をパテで均しているので、銀色は塗装した色である。もうひとつ、翼端灯はないみたいだ。さらにもうひとつ、実機の主翼フィレット後端の形を見るとプラモデルの形とはだいぶ違う。 |
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キットを修正して作ったところで、だれも気付かないだろうから無駄な仕事になるけれども。
(次号の<日本航空史>も神風号の続編を予定しています)
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