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飛行機プラモデルの製作

 F4U-5N コルセア (フジミ 1/72)

  by 加藤 寛之




 私の記憶ではこれまでに3回、この時代のキットを「まとめてお安く入手」する機会があった。誰かが「お宝キット」として持っていたのに結局は処分したのだろう。そのなかの一つを作った。このコルセアの新発売は、おそらく1965年初頭。当時の販売ルートは模型店よりもおもちゃ屋や文房具店だったろうから、全国一斉発売されたと考えるのはムリがある。 その時は100円で1/70だったはず。今回作った製品は後の生産品で、200円で1/72。金型が縮んだはずはないので、1/72は販売上の工夫である。今回は“どんなキットだったのかナ?”で作ってみた。似ているとかいないとか、出来がどうのこうのということに、興味はない。




 胴体は、椅子が左右分割の作り付けで、床板や計器盤はない。水平尾翼は左右一体で、胴体の穴に差し込む構造になっている。この構造は捻じれやすいのだが、このキットはOKだ。多少生じる胴体との隙間は、瞬間接着剤を流し込むだけで埋まる。カウリングは先端だけが別パーツで、これにエンジンの正面がモールドされている。胴体の丸みと微妙に合わないが、気にならない。   主翼はエルロン可動で、これは接着して固定。主翼付け根のオイルクーラーは後で前から挿入する手順にしたのだが、これはキット指定のとおりに下翼に固定してから上翼を接着する手順の方が正解だったようだ。なぜなら、キット指定の順でないと主翼前縁付け根の接着面が小さく、強固な接着が難しい。




 翼下にはロケット弾が付けられる。私は武装を付けない主義なので、ロケット弾から取り付け台座だけを切り取って主翼に接着した。ガタガタ出ていた方がプラモデルらしい、との判断。  胴体と主翼の接着は、深さに多少の調整を要する。ここをガッチリと固定してから、上反角をしっかり付けながら胴体に合せた。なんと、隙間が生じない。これには感心した。




 実機では複雑な構造の主脚は、大胆な省略の1本棒。これは補強を兼ねて2本のナナメ棒を加えておく。タイヤは焼き止め方式。これは軸を短く切って接着固定した。どうしても焼き止めしたときは、熱したドラーバーや釘を使い、熱して一呼吸おいてから押し付けること。これで軸をシイタケの傘のように丸め、それで車輪を挟み込むように押さえるとよい。  風防を置いてみたら、胴体と捻じれている。風防の左右寸法が違うことが原因のようだ。短い方に合せて削ると全長不足になってしまうので、そ知らぬフリしてそのまま使う。この風防、下ワクが胴体にモールドされているので、断面を胴体色に塗ってから接着する。こうすると透明パーツの厚みが光って見苦しくなるのを緩和できる。



 さて、塗装。“ホントですか?”と思う指定色もあるが、昔のようにそれに従う。単純な塗装なので、短時間で完了。細部塗装はしない。古いキットには細かい色指示などないのだ。簡単でいいや。デカールは黄変しており、見ただけで分るほど破壊していたので、使用を諦める。その辺りにある余りデカールをかき集め、貼る。ホンモノの米軍マークは青地不要かもしれないが、都合よくそんなデカールはないし、しかも戦中タイプしかなかったので袖に赤線デカールを貼る。この辺りに白い文字があるとイイナ、くらいの感覚で胴体や翼に超テキトウに貼る。メチャメチャだが、気にならない。昔は「余ったシールは好きなところに貼りましょう」だったので、これでいいのだ。そして、完成。
 眺める。胴体は単純な線だし、主翼は外翼が広すぎる。そもそも5Nというが、本当か? と思わないでもないが、そのマイナス印象よりも、妙にコルセアっぽく訴えてくる主張がいい。イメージを絵に描いたようなコルセア感で、カッコいい。これはこれでイイじゃないか、プラモデルっぽいぞ!


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