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誌上個展

<日本航空史> 雷電11型

  by 加藤 寛之
プラモデル コラム

 前回がB‐29だったので、今回はそれを邀撃した雷電、
しかも11型に限った話。 




 雷電は生産数のわりに細かな相違が生じた飛行機だと思う。11型は風防前方に機銃を装備した初期のタイプだが、そこが零戦のようにM形になっていたことをプラモデル界では長い間、知られていなかった。 21型の前期タイプは、風防の斜め前にある下の枠に奇妙な三角形の飛び出しがある。ただでさえ視界が悪いという批判があったというのに、そこに出っ張りがあるのだから不自然だ。そここそが、11型で機銃の膨らみがあった痕跡だ。


 昭和37年5月に鳳文書林が発行した『日本軍用機三面図集“海軍機篇”』は、試作機の一四試局地戦闘機、雷電11型、同21型、33型の4つの図面が掲載されている。その中で一四試局地戦闘機、雷電11型を見ると、風防前のM型断面は描かれていない。本記事の掲載写真は。その雷電11型のページに掲載されていた写真の未修正版なのだが、よくは分らないが風防前に何かがありそうだし、ついでに主翼上面にある大きな膨らみもハッキリと分る。それなのに、どちらも掲載図には描かれていない。見えていたはずなのに、見ていなかった、ということか。   風防前のM型断面を描いた図面は、『丸メカニック 局地戦闘機雷電』第7号(昭和52年)の渡辺利久氏の作図によるものがある。せっかく描いていたのに説明がなかったためか、その後もM形の膨らみは認識されなかったようだ。描いた人は知っていたのに、モデラー側で見えていなかったことになる。


 見ていなかった11型を見せてくれたのは、『世界の傑作機』新版№61(文林堂、平成8年)の渡辺洋二氏担当部分。11型を明快に解説してくれた。プラモデル用の資料集ではないので細部再現マニアには物足りない個性的な編集だったかもしれないが、私は満足した。  ハセガワ1/32雷電のバリエーションキットに、オレンジ色の一四試局地戦闘機があったように思う。読者の皆様がこれを作るときに、風防前の大きな膨らみが知られていなかった歴史があることを思い出してくれたら嬉しい。



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