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陸上自衛隊 観測ヘリコプター OH-1ニンジャ
(アオシマ 1/72 )

by 田口 博通 Hiromichi Taguchi




 アオシマから待望の陸上自衛隊観測ヘリコプターOH-1ニンジャが9月初に発売された。さっそく作ってみたので紹介する。
 
 OH-1ニンジャは観測ヘリでありながら縦列複座のまるで攻撃ヘリのような実機形態になっている。アオシマのキットはこの実機雰囲気をあますところなく良く表現している。
 外板のリベットは凸で細かく再現され、ごつっとした軍用ヘリコプターの機体質感が良く表現されている。  
 また、最近のアオシマらしくサービス精神旺盛で 右側のアクセスパネルと風防が開けた状態を選択式で組み立てることができ、更にメカニカルな雰囲気を盛り上げてくれている。この風防の透明度も素晴らしい。
 主脚は飛行時の長い脚と、着地時の短い脚が入っており、ポリキャップを胴体に仕込むことで、差し替えができて楽しめる。
 ローター軸の固定にもポリキャップを使うことで、ローターを取り外して保管できるように設計されている。
 いずれも親切な試みだと思う。

整備用アクセスパネルと風防を開けて組み立てている。ストーリーと深みが加わったと思う。



 特筆すべきは 「組み立て説明書」が改善され、非常に読みやすくなったことだ。重要な部分にはきちんと「言葉」で注意点が記載されている。そればかりでなく、わかりにくい部分には 別角度から見た「補足図」が更に付け足されている。 
 また 「カラー迷彩塗装図」が付属し、また、おまけ資料として付属している「実機各部解説と詳細写真」がうれしい。1枚の資料なのだが プラモデルを通して陸上自衛隊OH-1 ヘリ実機の世界を知ることができる。
 今回、このニンジャのプラモデルを作りながら強く感じたのは、アオシマの企画陣が「どうやって実機の世界観を伝えようか」と熟慮し、苦心して製品化したであろうことだ。

 モールド部品だけでなく、箱絵、組み立て説明書、塗装図、おまけ資料 を一体として、パッケージ化し 「実機の世界観」を我々に届けてくれているのが素晴らしい。
 プラモデル模型を「実機の単なる精密縮小物」ととらえるか、「実機の世界観を伝えるモノ」ととらえるか、定義の仕方でアプローチも製品も大きく違ってくるということだと思う。



キットについて

 3DCADで設計する”いまどき”のキットらしく、各部品の合いは良く、左右もピタッと合う。 それだけでなく、嵌め合いがきつすぎず、ゆるすぎず、しっくりと収まるのが心地良い。公差の設定が絶妙なのだろう。
おかげで、ストレスなく一気に完成まで持ち込むことが出来た。 
 コクピット関係は黒で、また胴体はオリーブドラブでモールドされ、無塗装でもそれなりに完成できるように ランナーへの部品配置が考慮されているのがうれしい。

胴体部品
 風防とコクピット部品


武装と4枚ローター部品


 下は、キットの箱絵とカラー塗装説明図、各部解説と実機写真資料である。ヘリコプターの各部の名称が理解できると 実機に1歩近づけたような気がする。 デカールは全機番がサービスされているのも親切だ。


箱絵


塗装図


「OH-1おまけ資料」として付属している 各部解説と詳細写真


デカール

製作

 
コクピット
 コクピット部品は 1/72としては精密なものとなっている。そのために部品点数が多いが、合わせがよいのでサクサクとすすむ。計器類はデカール表現となっている。 全体を半艶黒(Mrカラー92)、シートクッションをグレーFS36081(Mrカラー301)で塗装した。



トランスミッションと胴体の組み立て
 トランスミッションはローター軸回転用のポリキャップを仕込んで、左右を接着する。色はグレー。
 胴体内部色には、今回はMrカラー特色のジンクロNo.351を使った。
 胴体左側に完成したコクピットとトランスミッション、尾輪を組み込み、胴体左右を合わせて接着する。



エンジンナセル、スタブウイングなど
 塗装をしやすくするため、胴体の外部部品は極力接着してしまおう。
 ノーズ、エンジンナセル、スタブウイング、主脚、策敵サイト、尾翼スタビレーター、VORアンテナなどだ。策敵サイトは回転できるようになっている。
 尾翼スタビレーターの軸が細く 組み立て説明書にも「組み立て時の破損に注意」と書いてあるが、案の定すぐ折れてしまった。それで、0.5mmシンチュウ線と1mmシンチュウパイプを組み合わせて作り直した。




追加工 搭乗用ステップ
 パイロット搭乗用のステップが右側に3つある。切り取って、0.3mm径の金属線で置きかえると良いだろう。

搭乗用ステップは0.3mm径の金属線で置きかえた



塗装
 キットにカラー塗装図が付属しているので、3色迷彩パターンもわかりやすい。
 今回は、面相筆の筆塗りで塗装した。
形状が複雑なので、エアブラシよりも筆塗の方が簡単だと思う。

茶色3606 MrカラーTC08 (陸上自衛隊戦車色)
濃緑3414 MrカラーTC07
黒    Mrカラー 301
 デカールを貼り、艶消しクリアをデカール保護を兼ねて スプレーして塗装は完了だ。

 

筆塗で塗装した胴体


ローターなど キャノピー、アクセスパネル
 実機がリジッドローターなので、ローター部品も少なく組み立てが簡単、全体を半艶黒で塗装すれば出来上がる。
 AAMランチャーと増槽をスタブウイングに取り付ける際は、垂直に取り付けるように注意しよう。
 固定風防は速乾の流し込み接着剤(MrセメントSなど)を使うと楽だ。
 さて、開いた側のキャノピーの取り付けが支え支柱が無いので難しい。自重で下がってくるからだ。プラ棒とマスキングテープで支えておいて、スコッチの多用途強力接着剤で接着した。 

 アクセスパネルを開いて組立てる場合は、内部の計器装置類をつやけし黒、オリーブドラブなどで塗装しよう。アクセスパネル内側はホワイトだが目立ちすぎるので、バランス重視で機体内部色ジンクロで塗装した。


完成

 せっかくなのでアクセスパネルと右側の風防も是非開けて組み立ててみよう。完成するとストーリー性も感じられ、陸上自衛隊の観測ヘリコプター OH-1 ヘリの世界観にどっぷりとひたることができるだろう。
 9月下旬の全日本模型ホビーショーでは、このヘリと組み合わせることが出来る支援車両が参考出品されていた。
 将来、ジオラマ風に仕立てることもできそうで、ますますプラモデルの楽しさが広がりそうだ。
 このアオシマのキットはプラモデルを通して「実機の世界」を知ることができるように企画時に充分に考慮されているようだ。
 モールド部品だけでなく、箱絵、組み立て説明書、塗装図、おまけ資料 を一体として、パッケージ化し 「実機の世界観」を我々に届けてくれているのが本当に素晴らしい。
 この方向性で 今後も楽しいプラモデルを届けてほしい。





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