もう半世紀も前のこと、中学校の帰りに友達と模型屋に寄りました。夕暮れ方の薄暗くなった狭いお店です。奥では仕入れの荷が開かれたところでした。店主のおばさんはいつになくご機嫌で、私たちが夢中でダンボール箱に群がるのを笑いながら見ていました。
Me262、バッファロー、P-47、P-51、キャメル、飛燕、零戦。白熱電球の黄色い光に照らされたアメリカレベルの赤箱の山に感動しました。今ならネットでいくらでも見られますが、はじめて見るファイターシリーズのボックスアートは恐ろしく魅力的でした。それがよりどり見どりなんですから。 |
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そうは言っても一月に貰うお小遣いが1000円くらいだった頃一個240円でしたから、どれをまず買うかは大問題だったに違いありません。
その日買ったのは夕焼け空の飛行船を背景に飛ぶ赤いアドバトロスでした。今思えば、ファイターシリーズの最初の一機としては渋好みの選択ですね。夕暮れの気分に誘われたのかも知れません。
地方の小さな模型店で輸入物の模型が入荷したのは後にも先にもこれ一度だけでした。まもなくグンゼレベルの黒箱、そして白箱が町にあふれだしました。値段も国産と横並びの100円です。今思えばスケールモデル黄金時代の始まりで、夢のある良い時代でしたね。 |