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誌上個展

 <スター・ウォーズの世界 Vol.1>

by Windy Wing 2013


 今月から3回に亘り、映画<スター・ウォーズ>に登場する各種メカをご紹介いたします。
今回はまず、シリーズ人気ナンバーワン間違いなしの<ミレニアム・ファルコン>から。

<バンダイ 1/144 ミレニアム・ファルコン>



 この最新のミレニアム・ファルコン号はとてもユーザー・フレンドリーなキットで、よく配慮されたランナー・ゲート、巧みなパーツ分割、繊細な表面ディテール、詳細なデカール、そして確かな部品精度、と、バンダイがガンプラで培ってきた技術がここに惜しみなく注ぎこまれています。 ただ、青少年に接着剤を使用させないことを目的としたスナップ・フィットの構成がいささかタイトなために、特にファルコン号のような上下に挟む物の多い構造においては、その組上げはベテラン・モデラーにとってもいささか難しいパズルとなっています。




 ファルコン号の造型上、常に問題になる機体の厚みも、各種プロップの標準平均的なベストの丸みで成形されており、「かっこいいファルコン号」として文句なしです。しかし何より賞賛すべきは、三段の重箱として設計された表面パネル開口部と側壁の表現で、その結果として現れる各部の立体感はスター・ウォーズ・キット史上、最高のものと言ってよいかと思います。  ファインモールド社の同スケール製品との比較は、本来、両者を完成させてからすべきなのですが、月刊誌などの作例を見る限りにおいては、胴体円盤部と先端台形部とのスキマ感や、この側壁・開口部のゴチャゴチャ感などにおいて、バンダイ製品に一日ならぬ長があり、あえて絶版となったキットを探す必要性を感じさせません。




 私のようなオールド・ファンにとっては、やはりアンテナはパラボラ型でないとファルコン号の雰囲気が盛り上がりません。確かに、第2次デス・スター突入戦の際にこのアンテナは通気口壁にぶつかって吹っ飛んでいったのですが、episode7の絵コンテではそのほとんどが丸い形状で描かれているところからも、マーチャンダイズ上の理由で協賛メーカーからレクテナ型に変更を求められたような気がします。 そのレクテナ・アンテナは鹵獲後投棄されたブロッケード・ランナーから回収したパーツで再建されたものと推察されますが、ではなぜ、その修理のついでに、すぐ脇にある外板の被弾痕も補修しなかったのか、ファルコン号はいつも謎に包まれています。




 本機をはじめ、数々のモデル・プロップを担当されてきたポール・アンダーソン氏は、私にとっては至高の神モデラーであらせられるわけですが、あらためて師の作品を見なおすと、世情で取りざたされるほどにはそのウェザリングはハードではありません。 どちらかと言うと、ドライブラシを多用したAFV系の仕上げをされるので、私のような航空機モデラーとは若干文法が異なりますが、しっとりと手になじむようなその製作塗装技術は「精緻にして大胆」の奥義を極めた最上級の感性に溢れています。



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