F-14トムキャットは艦隊防空用(AIRCAP)のために開発された艦上戦闘機です。6発のAIM-54フェニックスを搭載し、空母機動部隊よりも前進して防空網(バリアーAIRCAP)を敷く長距離要撃システムの一貫として使われました。
トムクルーズ主演のTOPGUNの影響でF-14の相手は当然 戦闘機と長い間思い込んでいたのですが、今年、144ソビエト爆撃機を作った時によく調べると、実は要撃の相手は核巡航ミサイルを積んだソビエト爆撃機だったんですね。
冷戦時、ソビエト海軍運用のTu-16K10バジャーCはK-10S対艦巡航ミサイル(射程200km 600KT核弾頭) を1発胴体下面に搭載し、24機以上の飽和攻撃で核巡航ミサイルをスタンドオフで一斉発射する米空母機動部隊迎撃作戦に使われる爆撃機でした。
24発発射される核弾頭は、1発でも至近に落とすことができれば、直撃できなくとも米空母群にはダメージを与えることができたでしょう。
Tu-22 バックファイアも胴体下面にKh-22巡航ミサイル(射程400km 350KT核弾頭)を搭載し、洋上に進出し やはり同様な飽和攻撃で米空母機動部隊迎撃作戦に使われました。 |
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そのため、これに対峙する米海軍は、F-14トムキャットに同時6目標を誘導可能なAIM54フェニックス(射程200km)の巡航ミサイル迎撃システムを搭載し、早期警戒機との組み合わせで対抗したのでした。
早期警戒機の敵方情報にリンクしたF-14トムキャットは高速ダッシュし、短時間に空母機動部隊前方(東京大阪間くらいの距離)に防空網(バリアーAIRCAP)を敷き、各機6発づつ4機の計24発のAIM54フェニックスでソビエト核巡航ミサイルの射程に入る前に母機を撃ち落とそうとする作戦でした。
撃ち漏らした核巡航ミサイルは艦隊上空防衛(TFCAP)のF-14トムキャットがAIM-54フェニックス4発、スパロー2発、サイドワインダー2発を混載し、空母機動部隊から核弾頭の影響のない距離で撃ち落とします。
1990年代初頭に冷戦が終結し、米ソ核兵器制限交渉によりバジャーCは1994年に退役、Tu-22 バックファイアも1993年に生産が終了し、
バックファイアM3は給油プローブをはずし進出距離が短くされ、米海軍のF-14トムキャットによる長距離要撃体制が解除されました。
F-14も生産終了となり、D型最終号機は1992年7月10日の引き渡しで22年に渡った量産でした。このため、トムキャットはグラマンにとって最後の艦上戦闘機となり、結局、グラマンは、1994年にノースロップに買収され、ノースロップグラマンなっています。
F-14トムキャットが2006年に退役した後は、F-18ホーネットが中距離ミサイルAIM-120 (D型は射程100km)を搭載して艦隊防空システムに使われています。 |