さてそれでは、あなたならば飛燕の胴体の側面をどのように膨らめて、どのように絞り込むだろうか。胴体は四角い断面形の液例エンジンを前に付けた形から始まるのだから、小さな全面面積を活かして無駄をなくせば胴体も四角いに決まっている。ここで前方の幅と大まかな断面形が決まる。先端はスピンナーを付けて整流したいので四角から丸く絞るだろう。これも当然。エンジン後方は、人の肩幅と手の動きを考えると、その寸法が胴体の幅になる。あとは重心位置に近いところに重量物や燃料タンクを置くために幅はそのままで必要な長さを確保、そこから後ろは飛行安定性に必要な長さ終わるように絞るだろう。後胴を丸い断面にすることも出来るが、平らな側面を活かせば方向安定に寄与するだけ垂直尾翼を助けて胴体を短縮、軽量化もできそうだし、おそらく失速からの回復特性も良くなるんじゃないかと思う。飛燕の胴体側面はこんな形になっているのだと思う。 |
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結果、どうなるか。操縦席から後方への胴体断面形は、側面が途中でプニョっと膨らむことはない。例えば『世界の傑作機』「陸軍三式戦闘機「飛燕」」№17(1989年)p.43 の逆立ちした機体の胴体側面を見てほしい。膨らんでいないことが明瞭に分る。P.35の上写真では、パネルやリベットラインでそれが良く分る。P.30でも分る。ところが、操縦席のやや後部から日の丸の前付近で胴体が膨らんでいる飛燕のプラモデルは実に多い。完成品の胴体中央あたりの左右を指で挟んで、ス~と後部へ滑らせれば簡単に分る。ただし、展示会などで勝手に触るのはマズイし、そんなチェックに使われたら製作者の機嫌を損ねること間違いない。まあ、慎重に。 |