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飛行機プラモデルの製作

 ジャパニーズ ゼロ  (エアフィックス 1/72)

  by 加藤 寛之

 これはビックリ、まさか「松戸のタカ」氏とこんなキットでダブるとは・・・、こりゃ、奇跡ですね。この完成品は「1月号に4機も投稿するのはなぁ・・・」と思って遠慮していたもの。 でもせっかくだから、競作記事も面白そう、ということで緊急追加投稿といたしました。記事も事前に書いてあったので、2人で相談など一切なしです。読者の皆様、2017年のお年玉と思って、お楽しみください。




 商品名「ジャパニーズ ゼロ」。・・・“ドイツのメッサー”みたいな言い方だな。前回このキットを作ったのは48年前で、酷いキットだという記憶しかなかった。じゃあ、何で持っているのかといえば、郷愁と言おうか、怖いもの見たさというか、たまたま安く買えたからというか、しばらく前にこのキットを製作しそこなったからというか、いろいろな気持ち。 今から50年ほど前の自動車がどうだったのかを考えれば、このキットを今の目で評価しても意味がない。むしろ、50年前の製品を作ることが出来ることに驚くべきだと思う。しかも、意外に良かった。これも驚きだ。酷いのは自分の作りの方だったらしい。





 まず、主翼から。下面は左右一体の1部品、上面は左右パーツになっている。ざっと接着面をならして接着する。組んでみると、上反角が足りない。そこで下面の中央内面と上面が付く位置へ左右ともタテの深い筋をいれる。計3本。そこを腕力で上反角を付ける。なぜ3本かといえば、中央の1本に頼ると下面が飛び出してしまうから。後縁はというと、フラップ部分が猛烈に厚い。ここは斜めに削り上げて薄く見せる。  胴体にコックピットはない。お人形さんを接着する棒が出ているだけ。とりあえず左右を接着して、内部は後から筆を突っ込んで塗ることにする。左右は比較的よく合っているので、軽く削って薄くパテを盛るくらいで簡単に整形できる。そういえば、ロールバーもない。




 主翼と胴体の接合は整形を要する。上面フレット部分に広い隙間ができる。下面は後縁部分で胴体下面と全く関係ない状態だ。まず、中央の胴体部分を瞬間接着剤で固める。次に大きな隙間があるフィレット部分にプラ板を差し込む。これで上反角を決めてから、瞬間接着剤で固める。これで位置が固定できたから、下面後縁側はガリガリ削ってカスごと瞬間接着剤で固め、またガリガリ削ってカスごと瞬間接着剤で固め、もう一度ガリガリ削ってカスごと瞬間接着剤で固め、3回繰り返すと大雑把な整形が終わる。その後にパテをサラっと塗って削れば、整形完了。フィレット部分は瞬間接着剤を流し、硬化したら瞬間接着剤を流し、もう一度瞬間接着剤を流すと、窪みが埋まっていい感じになる。こちらは溶きパテを流し、固まってから溶剤で拭き取ることで、周囲の凸リベットを傷つけないマアマアの整形をする。

水平尾翼は、補助板を切除して面を整形、胴体側も整形すれば、パテ整形も不要なくらい密着させられる。しかも頑丈。
風防はちょっと寸法が大きい。それはOKとして、胴体との擦りあわせ・削りあわせで何とかする。それでも残った隙間には、水性ボンドを流しておけば目立たない。
エンジンカウリングは、前後方向の一発成形。パネルラインやカウルフラップのモールドなどは、一つもない。だからヘロヘロの表面の整形にはちょうどよい。全面を削って整え、何本かスジを入れておく。排気管はプラパイプを斜めに切ったものを付けておいた。

プロペラは意外なほどいい。OK、このまま使う。タイヤや脚カバーはキットが造られた時代を感じさせる出来。これもキットパーツを使う。尾輪は基部が高すぎるので、2ミリくらい切り落としておく。

改良工事は極力控えたが、主翼前縁に機関砲の穴をあけ、左翼に真鍮線でピトー管を付加、風防後部のアンテナ柱を伸ばしランナーで作りかえた。そのくらい。




 塗装はキットの袋カバーに描かれた図と塗装図を参考にした。上面は黄緑色のような緑。下面はうすい水色。カウリングもこれらの色になる。プロペラは自己判断で表が銀、裏は黒、先端に赤帯1本とした。それ以外は現代の知識を適当にブレンドして、見栄えを調整した。 デカールは使えそうもなかったので、垂直尾翼のマークと胴体帯を完全フリーハンドでいいかげんに描いた。日の丸は何かの余りデカールを貼ったので、特に胴体は小さすぎるようだ。まあ、どうでもかまわないが。




 何でこんな塗装にしたのか。これが50年前のイギリス人の「ジャパニーズ ゼロ」だからだ。笑ったり非難したりしてはいけない。昔はWW2のドイツ機といえば、ダークグリーンとブラックグリーン、下面はペイルブルーで塗っていたではないか。イギリス機の雲形迷彩にしっかりとしたパターンがあると知っていただろうか。 米海軍機の灰色がニュートラルグレーだと知っていただろうか。外国だけではない、日本機の茶色い上面色ってどんな色なのだろうか。「ジャパニーズ ゼロ」は、私たちが辿ってきた道なのだ。そしてその道は、とても楽しい道なのだ。


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