Home  >2017年10月号 > 飛行機プラモデル製作 >F4U-5N コルセア (フジミ 1/72)

朝鮮上空航空戦

F4U-5N コルセア (フジミ 1/72)

by  田口博通 Hiromichi Taguchi

1960年代リリース クラシックプラモデルの作り方



 朝鮮上空航空戦というテーマに合わせ、絶版のフジミ1/72 F4U-5Nコルセアを完成させました。最近、先輩プラモデラー諸氏のご卒業で、もう入手困難と思われていた古いプラモデルが大量に放出され、中古店やリサイクル店,ヤフオクで安く出回るようになっており、その恩恵を受けました。ありがたいことです。
今回、中古専門店で入手した後期版の箱ではスケールは1/72と表示されておりますが、1970年頃は1/70として100円で販売されていました。
 パネルラインは繊細な凸モールドです。脚やコクピット内など各部の省略は多々ありますが、それは60年代プラモデルの標準でした。
 フジミの5Nコルセアは特徴であるカウリング両サイドのエアインテークと主翼レーダーレドームが実にかっこよく、佳作キットで人気がありました。
しかし、後年の「正確さバリバリ評価」では-5Nとしては機首が短いと言われたことも一因して、残念ながら いつの頃からか絶版になっておりました。
 最近、プラモデルの潮流が「正確さも良いけど プラモ作りは楽しくなくてはネ」に変わりつつありますので、このフジミコルセアのような簡単な構成で組み立てが楽しく、かっこいい完成機が得られるキットは、またの再販を期待してやみません。




 後期版の箱絵は 北朝鮮上空を飛行中の設定でしょうか、ルーズベルト搭載機が魅力的に書かれていて、お約束の右翼のレーダーレドームはもちろんのこと、各部のアンテナも林立しています。
 といっても、キットにはアンテナ柱は1本だけしか入っておらず、これはきっと 箱絵は 自作でアンテナを追加する時の参考に というメーカーのご親切でしょう。
 せっかくの箱絵なのですが、今回の製作では 数多いアンテナを自作してバリバリの完成品にしてしまうと、フジミのオリジナルの雰囲気から かけ離れてしまうかなと感じ、目立つ背中のアンテナ1個のみ追加に留めました。
 箱側面にカラー塗装図が印刷されています。キットデカールが 経年変化で使えなくなってしまっていたので、イタレリキットから流用しVC-3 ガイ・P・ボーロデン大尉機にしました。インアクションの表紙にも書かれている有名なエース機です。




 下は部品です。いかにもな1960年代のキットの雰囲気が漂います。しかし、シーブルーでモールドされているので、塗装をせず完成させても 当時はそれなりに飾れる状態になり、組み立ての満足が得られました。私も中高生時代は、塗装せずにプラモデルを作ることがほとんどだったのですが、それでも大変楽しかった想い出があります。
 対してグレー一色で成型されたプラモデルは、塗装をしなければ見られる状態にはなりませんので面白みがありません。飛行機ですからせめて銀色成型ならまだよいのですが。
 あちらの世界のバンダイのガンダムやポケモンは高度な技術を用いたランナー内多色成型が一般的で、もぎ取ってパチパチとはめるだけで、飾れる魅力的な姿に完成します。色プラこそプラモデルの本来の姿、少年層や一般層がガンダムに走るのも理解できます。
 色プラ多色成形の飛行機プラモデルが発売されれば 絶対飛びつきますね。 

胴体、カウリング、レーダードーム



 さて、フジミのキットに話を戻します。
おたふくのようなカウリング正面は1発抜きですが形もよく、エンジンの彫刻もなかなかです。
 部品点数が少なく、コクピットは何もなくパイロットを乗せるのみとなっているのは、この時代の標準でした。
 水平尾翼は、胴体の穴に差し込むようになっています。この辺はモノグラム72キットの影響でしょう。

主翼部品



 主翼の上下はピタッと合い、さすがフジミです。エルロンは可動ですが、そのままではダラッと下がりかっこ悪いので結局固定になります。  主脚は1本柱の簡単なものに省略されています。また、尾輪には、着艦フックもありません。箱絵にあるロケット弾は8発 付属しています。


脚部品、ロケット弾
デカール


 下写真は折りたたみ1枚ものの説明書です。表側の塗装図が詳細な4面図となっていて、脚の取り付け角もよくわかります。正面図があるのは有り難いです。また、デカールを貼る位置もしっかりと示されており、フジミの面目躍如という所でしょうか。右上の塗料が今は亡き「モデルカラー」で指定されていて時代を感じさせます。
 裏側の組み立て説明は必要最小限ですが「言葉での説明」も有り、親切です。72で部品点数も少ないので、完成まで簡単だろうと感じさせてくれます。
 対して 最近の画だけのまさしく立体パズル組み立て図のような解読難解な組み立て説明書を見る度に、「日本のスケールプラモデル業界はなんでこんなに劣化してしまったのか」と感じてしまうのは私だけでしょうか。
「これでは絶対一般の人には理解不可能。まず、完成できないだろう」と思わざるを得ないのは、一プラモデラーとして悲しいことです。




製作

 絶版キットゆえ、疑似製作体験をご一緒にお楽しみ下さい。
胴体の接着面は カマボコ板に400番耐水ペーパーを貼ったものを用意し、平らに削ります。これは、60年代キットを作る際のお約束でしょう。
コクピット内は何もありませんが、外からほとんど見えませんので、そのまま進行します。



 左右胴体を貼り合わせます。今は 「MrセメントSP」のような革命的な速乾性流し込み接着剤が発売されているので、ごくごく簡単になりました。
 タミヤの流し込み接着剤を使っていた時代は、接着剤が乾くのに1日はかかりましたので、それを待って接着部の整形をしていました。しかし、速乾性流し込み接着剤を使うと1時間後にはペーパーで接着部を削って整形が可能になりました。良い時代になったものです。
 左右胴体を貼り合わせ後、水平尾翼を差し込みます。水平尾翼は文字通り「水平」だから意味があるので、斜めに傾かないように、胴体側の穴を少しカッターナイフで拡げて調整が必要です。この際、カッターも鋭角30度刃を用意しておくと、至極便利です。
また、水平尾翼穴の隙間は、接着後にパテで埋めると割り切った方が簡単です。



 主翼上下を貼り合わせます。さすがフジミで折れ曲がっているにかかわらず、綺麗に合います。エルロンはだらっと垂れるのも困るので、コトブキヤのガンダム用スプリング線を仕込んで、後付することにしました。 機銃付け根と主翼下面の間に隙間ができますので、パテ埋めしておきましょう。
説明書では脚扉を主翼上下貼り合わせ前に接着するように書かれていますが、後付できます。



 正面から見ながら、胴体と主翼を接着します。傾かないようにするのがコルセアで一番難しい所です。
 カウリング正面と胴体を接着する前に、胴体側の接着部をかまぼこ板やすりで削って平面にしておきます。
 ここまで来たら、各接着部の段差を耐水ペーパーで整形しますが、せっかくの貴重な凸モールドを削り落とすと「もったいない」ので、マスキングテープで保護養生しながら整形作業をします。各部のヒケはパテか、瞬間接着剤で埋めてしまいましょう。



 下塗りにMrサフェーサー1000を吹きます。この時に、主翼付け根のオイルクーラーを逆に接着したのが発覚しましたが、時既に遅し。あまり気が付かない?部分なので「完成の言葉の前には、ささいな事」として葬り去り、このまま目をつぶって進行します。  主翼機銃はしんちゅうパイプに置き換えてあります。



 F4U-5Nには防焔フィンがあり、夜間戦闘機の目だつ特徴ですので、排気管があるはずの位置の上部にプラ板で追加します。(キットには排気管はモールドされていませんが、排気管は無くてもマー目立ちません。)
 塗装は全面にMrカラーアメリカ海軍機セットのC365グロスシーブルーを吹きます。
機首アンチグレアは黒つやけし。レドーム先端は実機はちょっとくすんだプラスチック生地ホワイトのようですが、綺麗に見えるホワイトで塗装しました。



 デカールはキットデカールが使えなかったので、イタレリキットから流用しました。 デカール保護のため、クリアを吹くと、キラキラつるつるの表面になりました。



 主脚を取り付けます。実機は複雑な構造ですが、キットは補助支柱もなく、1本柱に省略されています。それだけ、組み易いとも言えますので、ここはメーカーの意志を尊重。そのまま組みました。
 脚扉は主翼下面に差し入れて、ひっかけるようにして接着します。実機とは違う構造ですが、接着強度も確保でき、確実に接着できます。
 尾輪柱は形も違いますが、そのままで、着艦フックだけ真鍮線で自作して取り付けました。5Nは艦上機なので、さすがに着艦フックだけは取り付けておかなければ、さまになりません。
脚扉がイモヅケになっていますが、接着強度が無いので、アルミテープ小片で補強して取り付けます。



完成

 プロペラとキャノピー、増槽を取り付ければ見事に完成です。機首は短いという評価ですが、作った人勝ちで、気になりません。かっこいいフォルムです。
いまどき、フジミの72 夜間コルセアを作った人は そうは居ないでしょう。そのお仲間の一人に加わりました。
 反省点はキャノピー枠を艶消し黒で塗るのを忘れたので、端面が反射で光ってしまいました。皆様が製作する際にはお忘れなく。









  Home>2017年10月号 > 飛行機プラモデル製作 >F4U-5N コルセア (フジミ 1/72)
Vol.110 2017 October.   www.webmodelers.com /Office webmodelers all right reserved /  
         editor Hiromichi Taguchi 田口博通 /無断転載を禁ず  リンクフリー
「webモデラーズ について」 「広告のご出稿について」

プラモデル模型製作特集1

TOTAL PAGE