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  ホンダジェット HondaJet (エブロ 1/48)

by口博通 Hiromichi Taguchi
 


 エブロから12月新発売予定の1/48ホンダジェットのサンプルが届けられたので、さっそく作らせていただきました。
 ホンダジェットは 航空情報2018年1月号の特集で大きく取り上げられているように、新時代のビジネスジェット界をリードする双発の先進小型ジェット機です。実績は2017年上半期に24機と世界で最も売れたビジネスジェット機です。
 本田宗一郎の飛行機への夢と憧れを50年後に具現化したそのジェット機は、エンジンを主翼の上に架装したスタイルもユニークで、胴体はカーボンコンポジットです。
カーメーカーのホンダが作るビジネスジェット機はどんな風に仕上がっているのか、そのスタイルは?、性能は?、内装は?と興味が尽きません。




 また、プラモデルの方もミニカーとF1カープラモデルを主領域としてきたエブロの初の飛行機プラモデルですから、さて、どんなキットなのか期待が高まっている皆様も多い事でしょう。 
 2017年は日本メーカーからの飛行機プラモデルの新製品が少ない年で、1月のハセガワ1/72 二式大艇以来の国産キットということになります。
 まず、組み立ててみて、「カーモデルメーカーが飛行機プラモデルを設計するとこうなるのか」と驚いたのは、胴体上部が色分け線に沿って分割され取り外しが可能で、内臓された詳細なコクピットと、客席を見ることができるギミックです。カーモデルメーカーならではのアプローチで新鮮です。

胴体上部を取り外して、コクピットと客席を見ることが出来る。



 もう一つの驚きは、主翼と尾翼の各前縁とエンジン前縁にメッキ部品が使われること。このような飛行機プラモデルの構成は初めてで、カープラモデルのメッキバンパーと同じ発想ですね。
 また、大判デカールが付属しており、エンジン上部と垂直尾翼の塗装をしなくても、カラフルなホンダジェットが完成するように配慮されていました。

キャノピー透明部品と翼前縁メッキ部品
デカール

キットについて

 エブロのホンダジェットのキットは、胴体と翼がホワイトのプラスチックで成型されています。また、取り外し可能な胴体上部にレッドとブルーの2色が同梱され、カラーバリエーションを楽しめるようになっていました。
 前述のように主翼と尾翼の各前縁とエンジン前縁はメッキ部品です。
デカールは、機体塗装をするモデラー向けにシルバーラインも含まれていました。


胴体下部と客席 部品
胴体上部 部品 
 翼部品




箱絵

組み立て

客席とコクピット
 カーメーカーホンダが作ったビジネスジェット機なので、実機の客席インテリアやシート、コクピットのデザインテイストはホンダ車の延長線にあるように感じます。例えば、操縦桿のデザインはオートバイとF1のハンドルを混合したようです。 

   また、客席のアイボリー色の天井や皮貼り調シートは ホンダの高級車LEGENDのシーコースト・アイボリー色内装と似た雰囲気を感じます。
 こんな事を感じながら飛行機プラモデルを作れるのも今まで経験したことのない新鮮な感覚です。 

 エブロのキットではコクピットと客席を一体で成型し、グラスコクピットを彫刻とディスプレィをデカールで表現されています。
シートにはシートベルトもモールドされており、1/24カーシートを縮小したような雰囲気です。
 
インテリアの塗装については、説明書ではタミヤカラーで色指定がされています。
筆者はGSIクレオスMrカラーを常用しているので、シートと隔壁のライトアイボリー色にはNo.44タン。客席床などライトグレーにはNo.324航空自衛隊ライトグレー。コクピットの左右コンソールなどはNo.317グレーFS36231、計器板はC116ブラックグレーを使いました。
 また、客席床のじゅうたん替わりに100均の粘着テープ付フェルトを切って貼ってみました(下写真)。100均のフェルトはちょっと厚めで、毛羽立ちがあり、残念ながらスケール感という点では今一つでした。
 コクピットとシート

  絶縁テープ(粘着塩化ビニールテープ)の方が、薄くて質感的にカーマット的な表現ができるので、そちらを使うべきでした。アクリル板やガラス上に仮貼りし、所定の大きさにカットし、Mrカラーで塗装して使います。シート裏部や、廊下の表現にも使えます。

 少しプロ寄りの電子部品通販RSコンポーネンツに、豊富な絶縁テープの品揃えがあるので、探してみるとよいでしょう。材質も塩化ビニール(PVC)だけではなく、ポリエステルやポリイミドなどホームセンターでは買えないような粘着テープも入手可能です。(ご参考までに裏糊の良さでは3M(スコッチ)がダントツです。)
RSコンポーネンツサイトではキーワード検索をすることも可能で「テープ」という検索ではこちら。「絶縁」というキーワードではこのような商品検索ができ制作活動に役立ちます。

計器板の3台のディスプレィはデカール
じゅうたんをフェルトで自作したが、少し厚くて毛羽立ったので、絶縁テープを使うべきだったかも



胴体
 左右割の胴体下部にコクピットを組み込みます。胴体や翼などの接着には、速乾性流し込み型接着剤(Mr.セメントS 等)を使用すると楽です。精度が良く、部品間の段差や隙間もないので、接着部を整形する必要がほとんど無いのはありがたいです。
 クリアパーツはよく磨かれていて透明度もよく、仮組して確認した所、胴体塗装後に組み込むことも可能でしたので、塗装後に組み込むことにしました。
 胴体は白色プラスチックで成型されているので、光透け防止のため、胴体内側は内装色以外の部分もグレーで塗っておくとよいでしょう。

 胴体内部は光透け防止でグレーを塗っておく。


コクピット客席を組み込んで、胴体左右を接着する。
透明窓は塗装後に接着することも可能。



■翼
 
 主翼は主別部品の脚庫を主翼上部に差し込んでから、主翼上下を接着します。実機の翼形は層流翼で、キットはそれを良く再現してます。
主翼から胴体には差し込み式になっていますので、後で分解も可能です。水平尾翼も同様です。
 各翼後縁には放電索がモールドされています。実機の放電索は写真からは直径0.5インチ(12.7mm)程度と思われますが、1/48スケールでは直径0.2mmとなります。実機写真には細いからか、ほとんど写っていないように見えるので、筆者は切り取ってしまいました。
 組み立て中に細い放電索のモールドを折ってしまうと悩みますが、いっそ全部カットしてしまうのも一つの方法です。また、自作する場合は0.2mm程度のナイロン釣り糸が丈夫でよいでしょう。
主翼には別部品の主脚庫を組み込む。

■エンジン
 
 エンジンは左右を接着する前にジェット排気ノズルを忘れずに組み込みます。(後からは組みこめません。)
 エンジン架は複雑な形状をしている左右部品を接着。その後、エンジンを装着します。
合いは良いので簡単です。
エンジン前縁はメッキ部品なので、機体塗装してデカールを貼った後に接着します。
エンジンとエンジン架

塗装

 胴体のホワイトにはMrカラーGX1 クールホワイトを使いました。
また、垂直尾翼と胴体上部はレッド塗装としたので、デカールを型紙にしてマスキングし、GX3 ハーマンレッドを塗りました。
 各部のシルバーラインとエンジン上部のレッド部はデカールを使用しましたが、問題なく貼れました。デカールはエブロのF1プラモデルと同様の品質のもので 文字の印刷もよく、糊の強度も適当な貼りやすいものでした。

塗装とデカール貼りが完了

最終組み立て

 主翼、水平尾翼、エンジンの前縁にはメッキ部品を接着します。メッキ部品や透明部品の接着には、手工芸用ボンド(もしくは木工ボンド)を使うと、部品を汚さず、乾くと透明になるのでお奨めです。 主翼、尾翼とも胴体には差し込み式で取り外しが可能です。
エンジンは主翼上の突起部に合わせて傾かないように注意しながら接着します。






 一体成型の透明キャノピーを胴体上部に組み込む際、側面の三角窓へのはめあいがきついので、双方を削り合わせる必要があります。 筆者は透明部品のエッジ部をやすりで削りました。

キャノピーの透明部品は 側面の三角窓へのはめあいがきついので、やすりで削り合わせる



 前脚扉は前脚よりも先に胴体下面に接着するようにします。その逆では前脚が取り付けられなくなるので注意が必要です。
 また、タイヤが自重変形タイヤになっているので、タイヤを回転させて接地面を調整します。

 主脚扉は、主翼ヒンジと主脚リンクとの2か所で固定されますが、イモヅケに近いので、スコッチの多用途強力接着剤を使いました。
主脚と主脚扉。タイヤは自重変形タイヤになっていて、接地面が平らに成型されている。

胴体下面

完成

  胴体各部にアンテナなどを接着し、上部胴体をカチッとはめ込めば完成です。
スタイルは実機写真と見比べても、破綻がありません。ピンと張った主翼端がかっこいいです。

 実機は全長13m、全幅12.12mですから、1/48キットは全長27cm程度とコレクションしやすい大きさ感です。
実機はレッド、ブルーの他、イエロー、シルバー、グリーンの5色が有りますが、各自でプライベートにデザイン塗装をしても楽しいでしょう。
  ホンダジェット諸元
最大巡航速度 782km/h
実用上昇限度43,000フィート=約13,106m
上昇率 1,216m/分
航続距離 2,265km

エンジン GE・HONDA共同開発 HF120 2基
形式 2軸ターボファンエンジン
推力 2,095ポンド(離陸時)

全長 12.99m
翼幅 12.12m
定員 乗員1名+乗客5名








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Vol.112  2017 December.     www.webmodelers.com /Office webmodelers all right reserved /
                    editor Hiromichi Taguchi 田口博通 /無断転載を禁ず  リンクフリー

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