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誌上個展

   <スター・ウォーズの世界 Vol.6>

by Windy Wing 2013

 今回はバンダイ<スター・ウォーズ>シリーズの小兵たちをご紹介いたします。
 いずれも小粒でピリリと辛い優れもの揃いですので、ご注目。


<バンダイ ビークルモデル 008 スノー・スピーダー & 010 Aウイング・ファイター>




<インコム社製T-47エアー・スピーダー>と<クワット社製RZ-1型Aウイング・インターセプター>は設定上はそれぞれ出自の異なる機体なのですが、実際のデザイン過程においては濃密な血縁関係があると言われています。その経緯については、これも推定の域を出ないのですが、おおまかには「スノー・スピーダーのNGスケッチを元にAウイング・ファイターのプロトタイプをデザイナーが書き起こし、それをモデル部門で立体化したのが量産型Aウイング・ファイター」というのが両者の関係についての私の理解です
 ところが、そうやって出てきた量産型というのが、実は単に既存のF-14のキットをぶった切って繋いだだけの張り子細工で、しかも、そのお手抜きモデルが図面よりもよほどかっこいい、というのですから、「それではデザイナーの苦労はいったい何だったのか」と同情を禁じえません。ちなみに、episode8に登場するRZ-2型Aウイング・ファイターは機首が平板化している点、むしろそのプロトタイプに回帰しているようで、ここには某か過去のデザイナーへのオマージュを感じさせます。




 <Yウイング>のところでも触れましたように、どうも当時の工房モデラーたちは監督やプロデューサーの意向など眼中にないまま、心ゆくまでモデリングを楽しんでいた形跡があります。意外に知られていませんが、のっぺりとした感じのスノー・スピーダーの中にも、Yウイング並みに外板を外して内部構造を作り込んだレッド中隊所属機が存在し、かつ、それが劇中で何の効果も上げていないことなどもその一例でしょう。

 もっとも、スター・ウォーズ・サーガの全期間を通じて、episode6がモデラーたちが多忙を極めた最後の時期であり、張り子細工も既成キットのアレンジだけで劇中機を多数作らざるをえなかった苦肉の策であったのかもしれません。そして、この黄金時代に18万個の電飾を身にまとった<エグゼキューター>を頂点として、以降、流用パーツの塊のようなモデル・プロップたちは台頭するCGによってスクリーンの外へと追いやられてゆくのです。


<バンダイ 1/144 スター・ウォーズ・タンク・ミュージアム01(SWTM01)>



 SWTM01の<ロザナ社製TX-225GAV戦闘強襲戦車>からタトゥイーン・砂漠塗装、エンドア・森林迷彩、ホス・雪上塗装、そしてシークレット・アイテムのジェダ・市街地標準塗装(ハッチ・トルーパーver.)。
コンプリートの難しそうなアソートがいかにも憎らしい。


<バンダイ ビークルモデル 002 Xウイング・ファイター & 008 AT-ST>




 映画<ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー>のブルーレイ発売当時のキャッチコピーは『スター・ウォーズ史上最高傑作』でした。これはピ-ト・ハモンド氏という評論家がWEB版デッドライン誌に掲載したレビューの表題なのですが、私もこの意見にはまったく異論がありません。それどころか、むしろ一本の独立した映画として、本作は2016年のマイ・ベスト・ムービーとなりました。
 Episode7で折れかけた心を鼓舞して劇場に通った甲斐があったというものですが、同時にこの表題には「このスピンオフがシリーズの中ではまだまし」という揶揄が感じられなくもありません。ハモンド氏の真意がどうであれ、広告代理店にしてみれば、とりあえず目の前のブルーレイが1本でも売れればそれでいいのでしょうが、残るはepisode9とスピンオフ<ハン・ソロ>のみ。結局「<ローグ・ワン>が全11作の中で一番ましだった」てなことにならなければよろしいのですが。



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