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連載 1/72飛行機を飛行姿勢で作ろう No.22

F-86Fセイバー (フジミ 1/72)

by クラキン



 皆様、新年明けましておめでとうございます。
本年も宜しくお願い致します。

「1/72飛行機を飛行姿勢で作ろう」のNo.22は、フジミ1/72のF-86Fセイバーです。



<実機について>
 第二次大戦中の1944年から設計が始まり、ドイツから入手した後退翼機の技術を導入し、戦後直ぐの1947年に初飛行。
その高性能が認められ1949年から配備された、第一世代ジェット戦闘機の代表的傑作機です。
朝鮮戦争では当初は直線翼のジェット戦闘機パンサーやサンダージェット、レシプロ機のP51等が活躍していましたが、ソ連から大量に貸与されたMiG15が参戦すると、これらの機種では太刀打ちできなくなり、新鋭のF-86Fが投入されました。
朝鮮半島で史上初の後退翼ジェット戦闘機同士の空中戦(この頃はミサイルではなく機銃)が繰り広げられた訳です。
朝鮮戦争で活躍した2年間の戦果は損失78機、撃墜数約800機という華々しいものでした。
 朝鮮戦争終戦後は、日本を始め西側、中東など30ケ国以上で運用され、一部の国では1993年まで現役でした。
日本では1964年の東京オリンピックの時にブルーインパルス所属のF-86が東京の空に五輪を描いて有名になりました。(映画「三丁目の夕日」にも登場)
総生産機数は10,000機近くに及びます。
F型はセイバーの中でも最も生産機数が多く、主力となった機種で、2239機が生産されました。



<キットについて>
 フジミの1/72のF型です。
インストの著作権マークが1986年になっていますので、30年以上前のキットですが、綺麗な凹モールドと過不足のないディテール、バリやパーティングラインが殆ど無いシャープな整形、殆ど調整の必要が無いパーツ精度など、今の水準で見ても全く遜色のない素晴らしいキットです。
全体のシルエットもセイバーの特徴をよく再現していて、問題ないと思います。
デカールはジム・トンプソンの「ハフ・ザ・ドラゴン」とジョン・グレンの「ミグ・マッド・マリーン」の2種類が付いています。
このキットの唯一の欠点はこのデカールで硬くて扱いにくい物です。



<製作>
 F-86Fは私が飛行姿勢で作るようになったきっかけの機種です。
数年前にアカデミー1/48のF-86Fを作った時に、途中、士の字になったところで手に持って眺めた時に「カッコイイ!!」って感動し、「これから72は全部飛行姿勢で作ろう」と決めた訳です。(48のセイバーは地上姿勢で完成させました)

 キットにはパイロットのフィギュアが付いていないので、ハセガワの「パイロット&地上クルーセット」の中の着座姿勢のパイロットを採用しました。それ以外は全くの素組みです。飛行姿勢で問題になる事が多い、脚カバーの閉位置での取り付けも問題なくピタリと決まりました。ハセガワのパイロット君も加工無しで射出座席に収まりました。
先述の通りパーツ精度が良いお蔭で、組み立ても問題なくサクサク進みます。
主翼や尾翼後縁も充分にシャープなので、特に削ってはいません。
空中戦の軽快感を強調したかったので増槽タンクは付けませんでした。
サイドワインダーもキットには付属していますが、朝鮮戦争時は配備されていませんから、これも付けません。
12.7mm機銃6丁だけで武装したカッコイイ「セイバー」が完成しました。




 デカールはジョン・グレン大尉の搭乗機「ミグ・マッド・マリーン」にしました。
太平洋戦争ではコルセア等の海軍機に登場して活躍したパイロットですが、朝鮮戦争では、このF-86Fに搭乗し3機のミグ15を撃墜しています。
その後テストパイロットとなり、F-8クルセイダーでロサンゼルスからニューヨークまで、超音速での米大陸横断飛行(3時間23分8秒)を成功させました。
1958年以降は宇宙飛行士として活躍し、62年にはNASAマーキュリー6号でアメリカ初の地球周回軌道の飛行に成功しました。
74~99年までアメリカ議会上院議員を務め、84年には民主党大統領予備選挙に出馬(敗退)しています。




 驚くのはこの後で、98年、77歳という高齢でスペースシャトル(ディスカバリー号)に乗り、9日間宇宙に滞在し、宇宙飛行の最年長記録を樹立しています。
(映画「ディープ・インパクト」に登場した老飛行士は、ジョン・グレンがモデルです)
長々と書きましたが、このジョン・グレンが2016年12月8日に95歳で亡くなりました。
今回のキットが完成したのが日本の12月9日(米国では8日)の1周忌だったので、何も迷わずに、このマーキングにした訳です。
つまり8日完成を目指して作り、実際には9日に完成したということです。




 マーキングのうち、胴体・主翼の黄帯と胴体エンジンラインの赤線、垂直尾翼のチェッカー模様と赤帯はデカールが硬くて使えなかったので塗装にしました。
機体の銀塗装はグロスブラック下地の上にミスターカラーSM01スーパーファインシルバーを吹いています。
主翼上面のウォークウェイ部分は下地のグロスブラックを吹かずにサフ地のままにしているため、色合いが全然違います。





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