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特集 テストプレーン

F-111B(レベル 1/72)

  by 田口博通 Hiromichi taguchi




 レベル(グンゼ版)1/72のF-111B です。約50年の長い眠りから覚め 半世紀の時空を超え、遂に完成させることができました。一時は在庫箱の中で長い眠りではなく、もうご永眠かと思われていました。しかし、WM2016年11月号のヒサマロさんのF-111B を拝見し、王子様の熱いキスで眼を覚ました白雪姫のごとく、「とにかく、作りたい」と気持ちがちらっと盛り上がり、2018年の静岡ホビーショーでのクラブ展示を目指して製作を開始し、静岡になんとか間に合い 完成しました。




 レベルのF-111Bは 高校生の時に一度 作ったことがありますが、主脚など可動部が多く うまく作れませんでした。
 それから40年経過で蓄積した工作力は格段に上がっているはず。それを信じてのリベンジです。
せっかく作るからにはメーカーが用意した全ての可動部を可動のままで作りたい。とは言っても、完全を目指した可動工作は また挫折→未完箱で返り討ちにあいます。半世紀の間にこちらも寛容なるいい大人になっていますので、多少の隙間、ガタは1966年ファーストリリースのキットの味として片目をつぶることにしました。


第1の関門 脱出モジュール

 このレベルキットの第1の関門は 脱出モジュール化されたコクピットで、ストレーキを胴体とラインを合わせると、胴体上面との間に段差ができます。
モジュール内側にプラ板を瞬間で接着しておいて、外面からやすりでざくざくと削り、つじつまを合わせました。
(1)仮組すると上面に段差ができる。


(2)モジュール内側にプラ板の補強を接着する。

(3)マジックでマークした部分をざっくりと削る。
(4)削り倒して完成



めだつ上面の段差を解消しても 側面にはモジュールと胴体に隙間が残るが そこはご愛嬌 としましょう。


第2の関門 可動主脚

 第2の関門は可動主脚です。各部品を塗装して組み立てようとして 可動がきつくなり、結局破損してしまって 失敗したほろ苦い経験があります。
今回は、発想を変え、無塗装のままで部品を可動で組み立ててしまい、後で可動に支障のない部分だけ面相筆で塗装することにし、無理なく可動主脚を達成しました。すんなり動き、快感です。

(1)主脚 展張状態


(2)主脚 収納状態

見事に主脚が可動します。この後、塗装が足らない部分は最終的に目立たない程度にタッチアップします。


最後の関門

 最後の関門は前脚の可動です。脚柱上部にピン上にプラがはり出していますが、どうしてもそのストッパーが弱いので 試しているうちに ガクっと前脚が折りたたんでしまいます。考えた末、前脚バーの前部に金属線で馬蹄形のストッパーを追加しました。
 主翼の可動は簡単なメカで実現されており、うまく可動しますが、そのため、主翼は先に塗装しなければなりません。


(1)前脚 展張状態にすると、ストッパーがゆるく、前脚ががくっと引き込んでしまう。



(2)主翼 左右のギアがかみ合い可動する


 下は組み立て前の塗装済み全部品。
水平尾翼の可動軸が折れやすいので、結局 この写真を撮った後、金属線で置きかえることに決定。
胴体は上下分割なので、前縁(試作機実機は小翼が出る)に隙間ができるのでアルミテープを貼りカバーすることにします。



オールフライングテールである水平尾翼の軸ピンは金属線に置き換え、胴体側には金属パイプを仕込む。
これで可動は万全。


塗装

 塗装ですが、昔 モデルアート1967年第8集で橋本喜久雄さんの作品写真 F-111B VF-74( AJ 104 フォレスタル搭載機)を見たときから、自分が作る時にもキットのデカールを使わずに仮想配備機にしたいと心に決めていました。
それで、ファントム用のマイクロから流用しVF-92 コンステレーション搭載機としました。Bu No.152714 は実在F-111Bの1機です。
F-111Bは 試合開始前に重量超過で無念のリタイアに泣きましたが、こういう塗装で実戦参加したかったことでしょう。無念の実機に成り代わって実現させてあげましたが、これもプラモ作りの楽しみの一つかも。


完成

 このレベルのF-111は精巧さという点では 後出のハセガワには劣り、ラフな部分が目立ちます。
 ただ、可変翼機のプラモデルは最大の特徴である主翼が可動しなければ面白さがありません。
今日でもハセガワのF-111 主翼固定か レベルのF-111主翼可動かどちらか選べと問われれば、もちろん迷うことなくレベルを選ぶでしょう。
 
 片目をつぶりながらの完成ではありますが、完成という大義のためには、小異を捨てる、それが21世紀における寛容なる大人のプラモデル作りというものでありましょう。50年の時空を超え完成の2文字、喜びひとしおであります。





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