Home  > 医療用直線加速器等(フルスクラッチ)> フルスクラッチ模型製作 > 2018年12月号


医療用直線加速器等(フルスクラッチ)

by 愛知県在住 作者 清水 栄治



作品について
 この作品は2018年7月~11月にかけて作った作品です。以前は既製品(プラモデル)としてあったものを作成しましたが更に大きなサイズが必要になり2倍の大きさの1/10で作成しました。 今回の作品には実際の機器の仕様に近い“機能”を可能な限り再現することになりました。それには製作を進め又それらの仕組みを考えながらの作業で私にとっては全くの未知の世界への挑戦でした。




■機能等について
 実物の機器の機能(動作)は実際に動かしてみて可動範囲や利用目的などから構造が理解できましたが、ライトアップと放射線の放射状態などは確認ができずに口答説明だけで自分の想像に頼ることになりました。
ここで要求事項をまとめてみますと
① 機器本体とアーム及び先端ユニットは全て可動(関節が必要)
② 放射線の放射状態を可視にする
③ 本体機器へのライトアップ
④ 不随機器Aの寝台のスライドとボタンスイッチ類が照明で明るく浮かび上がる
⑤ 不随機器Bのモデル化(今回全くの新規で透明アクリルケース及び連結ホースの再現)
以上の様な内容になりました。
この中で一番悩んだことは照明と放射線の可視化でした。何を使ってどこへ納めればよいか悩みました。何か参考になるものはないかとネットを探しまくりました。参考になったのはプラモデルの車や飛行機、鉄道模型にLED照明をはめ込んでライトアップをしている事例が載っており、これはいけると思い大いに参考にしました。又可視光線について自分が若いころに使っていた測量機器のレーザー光線や会議などで使っていたレーザーポインターの光が可視化に有効になること気づきそれを採用することにしました。




製作について

 製作について当然図面が必要になると思いますが、これはノートにスケッチ程度の図形と寸法を落とし込むことと
機器に直接メジャーを入れて撮影したことでこれが図面替わりになり大いに役立ちました。



 材料は全てタミヤのプラバンとプラ棒を使用しました。プラバンは0.2~2.0mmまでを使いました。機器本体はかなり大きな構造になるために5㎜のプラ棒で内部補強を多く施しました。 機器本体の外版はアールが多いため曲げやすい0.5㎜を使おうと思っていましたが以前の経験から接着乾燥後、数か月経過すると接着面が飛行機の外版のように緩く波を打つことが解っていましたので、影響が出にくい1.2と場所によっては1.5mmを使うことにしました。











 レーザー発光の極小機器と極小で高輝度のLEDライトをネットで購入し本体に組み込みました。本体機器が組上がって来ると頭の重さがかなり重くなり、ここは重り(釣り用の60号重り3個)を入れてバランスを取りました。 そこの空間に電池ボックス、配線、スイッチなどを収めました。従ってそれらを入れるために背面の外版を取り外すここができる構造にしました。これは成り行きの結果となりました。



 不随機器Aにおいてはジャバラの再現に苦労しました。これは当初アール箇所をエポキシパテで作ろうとしましたが削って仕上げることに均一な寸法が確保できないという思いがあり、 波を0.2㎜のプラバンを曲面にまげてそれを溝に順次はめ込んでいきました。各コーナーだけはエポキシパテで加工しました。



ボタンスイッチ類の照明に極小高輝度LEDライトを4個組み込みました。ここではボタン一つつが光で浮かび上がる方法を考えました。光が通過する場所と通過しない場所を塗装で識別する方法をとりました。材料は0.5㎜透明プラバンのベース上にボタンスイッチになる1.5㎜角の透明プラバンをひとつずつ接着していきました。 塗装で光を遮断する箇所には裏面に黒色、表面にはアイボリーを塗り遮光が可能になりました。仕上げで、ボタンスイッチの上に油性極細ペンで文字を記入しました。配線電池ボックススイッチ類は本体の中に内蔵しました。光が漏れないように本体内部は黒色で塗装しました。




 実際に電気をつけるとこれが大変良く実際の機器のようにほんのりと光で浮かび上がるような照明になりました。不随機器Bは金属パーツが多くこれをグンゼの塗装後磨いて光る塗料で仕上げました。文字記号につてはパソコンでデカールを自作してそれを貼り付けました。 塗装については全てグンゼのラッカー塗料を使用しました。本体機器では白色にパールを混ぜた色を作りエアブラシで仕上げました。金属面にはアルミ、ステンレスなどの金属カラーをエアブラシしました。



全体をとおして
 完成に5か月程かかりましたが作っていくうちにアイデアがどんどん出てくることには面白い経験をしました。方法や手段は決して一つではない、これでいいのか?他の方法は?など常に葛藤の毎日でした。これがあったからこそ満足のいくものにたどり着けたと思います。 今回は久々に達成感と充実感が味わえた作品になって大変満足しています。又これが展示されて皆さんの役に立つことは更なる喜びになります。




  Home> 医療用直線加速器等(フルスクラッチ)> フルスクラッチ模型製作 > 2018年12月号

Vol.124 2018 December .   www.webmodelers.com /Office webmodelers all right reserved /  
           editor Hiromichi Taguchi 田口博通 /無断転載を禁ず  リンクフリー

「webモデラーズ について」 「広告のご出稿について」
 

プラモデル模型製作記事

TOTAL PAGE