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誌上個展

   1/72で綴るソ連レシプロ戦闘機の系譜

   第5回 La-5 (EASTERN EXPRESS 1/72)

by akaihoshi2004

 第二次世界大戦におけるソ連戦闘機は従来、性能が低く見るべきものが無いとされて来ましたが、実は大戦末期にはドイツ機と肩を並べるほどに発展していました。このシリ-ズではソ連の単発レシプロ戦闘機に焦点を当て、1/72の模型を使って概ね年代順に辿って行きます。 


 La-5が実戦に登場したのは1942年で、当時はナチスドイツがソ連に侵攻を続けている時期でした。戦争の大きな流れはその後ソ連が反撃に転じるわけですが、この時期の主力機だったLa-5はおよそ1万機の大量産が行われ、大戦中期に祖国を救った優秀機としてソ連航空史上に名を残しています。技術的には前作の液冷エンジン装備LaGG-3を強力な空冷エンジンに換装したもので、直径の大きい空冷エンジンと妙にスリムな胴体の組み合わせは日本の二式戦や五式戦に通じるものがあります。



 BOXア-トは機首に派手なドラゴンマウスを描いたエ-ス機をほぼ真横のアングルで捉えた一作。胴体には由緒ありそうな紋章と撃墜マ-ク,そして尾翼には勲章と、模型栄えする要素が全て揃っており、購買意欲をそそってくれます。事実私は箱絵に惚れ込んでこのキットを買いました。資料を調べるとこの機体は、46機撃墜のエ-ス、G.D.コストィリョ-フ大尉の乗機で、戦争を生き延び、戦後は博物館に展示されたとのことです。



  このキットの初出は1993年で、ロシアのCOOPERATIVAというメ-カ-が金型を起こしました。その後21世紀になってから同じくロシアのEASTERN EXPRESSから箱替え品が再販されています。1990年台はロシア/東欧系キットメ-カ-の台頭期で、技術的にはまだまだ西側のキットに及ばないものの、キットにこもった情熱は並々ならぬものが有りました。このキットもそんな古き良き時代?の製品の一つだと思います。



 ランナ-構成から見て、このキットは正規インジェクションと思われます。しかしだからと言って精度が良いとは限りません。事実このキットはバリだらけで個々の部品はランナ-から切り離すのではなく、発掘するという気持ちで取り組みました。プラの材質はかなり柔らかく、薄いフィルム状になってもねばるのでバリ取りは根気良く、短気を起こさないことが肝心です。そういう地味な下ごしらえの作業の中にもプラモ弄りの楽しさを見出すことが古いキットと付き合うコツの一つでしょう。



 キット内容は1/72にしてはエンジンやコクピット内部の表現が緻密で、私はこれはスケ-ルに見合わない過剰なディティ-ルだと思います。しかしそういう精密モデリングの需要もある様で、最近ではレジンやエッチングパ-ツでス-パ-ディティ-ルを追及するキットも多くなりました。このキットは古い製品のため、全パ-ツがプラスチック製です。プラ質のせいか成形技術が悪いのか、細かいパ-ツの強度が不足していて作っているうちにポロポロ壊れて行きます。作例では主脚支柱,ピト-管およびアンテナ支柱を金属線などで自作しました。



 そんな訳で多少苦労するものの、出来上がった雰囲気は悪くありません。細かい点は分かりませんが、私の様な一般人が普通にアクセスできる資料本や実機写真などと比べる限り、良い線行っていると思います。同梱されているデカ-ルには当然箱絵のドラゴンマウスのマ-クがセットされているけれど、かなり硬くてデカ-ル軟化剤を使ってもなかなか機首の曲面にフィットしないので注意が必要です。この作例のドラゴンマウスはデカ-ルを一部削除して無理やり貼り付けた上から筆でタッチアップしています。


下記アドレスは本稿の筆者のホームページです。ご興味がありましたらどうぞご覧下さい。
http://w01.fitcall.net/akaihoshi/


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