Home  > B-239 バッファロー フィンランド空軍第24戦闘機隊第三中隊ユーティライネン曹長 及び BW-384号機 (ハセガワ 1/72)> 特集 72スケール>2019年8月号

特集 72スケール

  B-239 バッファロー フィンランド空軍第24戦闘機隊第三中隊ユーティライネン曹長 
及び BW-384号機 (ハセガワ 1/72)

  by 寿



 大戦中のフィンランド空軍を語る上で避けて通れないのは当時の北欧三国の窮状でありましょう。英仏独ソと周囲の大国の我が侭に翻弄される様子は「これ本当にあったことなの?」と疑いたくなる程に波瀾万丈。まさに事実は小説よりも奇なりを地でゆく展開であります。
詳しいことは中山雅洋氏の名著「北欧空戦史」を読んで頂くのが一番てっとり早いのですが、いや~やっぱりこの本は名作じゃね。久々に読み返してみたけれど帯の煽り文句よろしく「勇猛果敢!痛快無比!!」であります。朝日ソノラマ版も持ってたんだけど2007年に学研から補筆訂正版が出たときにも思わず買っちゃったくらいだもの。



 正確な資料と丹念な分析に裏付けられて語られる史実。過剰な修飾文や形容詞を廃し事実だけを連ねてゆく淡々とした内容でありながら軽妙な語り口で読んでいる者を飽きさせません。もうちょっともうちょっとと読み進める内にあっという間に夜も更けて、はっと気付けば「ああっ、もう寝ないと今日が潰れる(注:「明日」ではないってところがミソ)!」てな按配。
 うん、危険じゃね。この本を閉じるには容易為らざる決意、鋼の精神が要求されます。
 そんな訳でね、やっぱ読んだら作りたくなっちゃうじゃないですかフィンランド空軍機を。揃えたくなっちゃうじゃないですか”二流”戦闘機でありながらそれを駆って大国に抗し続けたパイロットたちの機体を。



 そんな訳でバッファローなのであります。フィンランドじゃあ「空の真珠」って呼ばれる程に惚れ込まれた機体ではありますがどっちかというと空飛ぶビア樽というかブ○と言う方が正鵠を射ているような気がします。でも多分それは口にしたらイケナイんだろうなぁ。アジア方面じゃあ日本機にカモにされてたしね。確かにフィンランドに送られた方が若干性能が上がってるヴァージョンらしいけどそれでも当時の日本機を相手に出来たかどうかは非常~に疑問です。
 それでもまぁ兵器というのは実績が全てでありますよ。適材適所、どんなに性能がイイものでも出し惜しみして機を逸したりトンチンカンな使い方をして役に立たなかったりでは意味はないし、逆に凡庸一直線な駄馬でも使いどころによっては新鋭機を上回る活躍をして見せたりもします。



 ようはソ連のラグだのヤクだのを相手に、しかも数の上で圧倒的劣勢でありながらも互角以上の闘いをしたフィンランドのパイロットがどんだけスゴ腕だったのかという話ですよ。地の利があったとはいえハンパな腕前じゃあ鎧袖一触でジ・エンドですよ。すげえなぁフィンランド空軍。そして彼らに操られたバッファローが突然格好よく見えてしまうこの不思議。たまりませんわ。
 まぁなんちゅうかね、判官贔屓と言われようが火が付いちゃったものは仕方がない。フィン空の機体を作らずに死ねるか。「作りてえもんは作りてえんじゃ」ってことで魂のゴングが高らかに鳴り響いちゃった訳なのです。



 これぞまさにフィン空マジック。対処療法はこの世に存在しておりません。皆様も重々お気をつけ下さい。
 しかしやっぱりつくづく思うのは、道具はそれを使う者次第で生きもすれば死にもするちゅうことなんでしょうねぇ。

製作の詳細

(写真1)いつものようにまずはコクピットの色塗りから。まぁこの辺りは順当じゃね。



(写真2) ぱぱっと組んで士の字にしちゃう。キットはプロポーションもモールドもひじょーによろしいので全く持ってのストレスフリーです。いやぁ~出来の良いキットは組んでて気持ちがイイやね。


(写真3) キャノピーくっつけてエンジン貼り付けて塗装待ち。後ろのポリカルポフI‐16はまぁ何ちゅうかついで?
 取り敢えず此所までは何も問題無~し、と思ったら照準器の取り付け位置がキットの取説では間違いなのだと気が付いた。事ここに至ってかよ~。小池先生の箱絵の位置が実は正解。キャノピーひっぺがして付け直せば良かったんだけど今回はそのまま。だって時間は有限ぢゃん。それにめんどくさいし。そもそも黙ってりゃ気付かないよね?(←だったら書くなよって話だ)

(写真4) 筆で下面をニュートラルグレーでだーっと塗った後に指定の下面色でボカした状態。キャノピーはいつものようにフラットブラックで下塗りであります。




(写真5) それなりの緑をだだーっと塗って黒っぽい色をばばばーっと塗った状態。うん、擬音ばっかでまったく説明になっちょらんね。でも作ってるときの感じは大体そんなもんなんである意味正解かもしんない。
 取説の指定色どおりに塗っても良いけど、スケールエフェクトっちゅうかナナニイなので1メートル離れていれば72メートル離れて見るのと同じな訳で、1/1を作るのでなければホンモノ通りの色調である必要はないと思うのですよ。大気中で色や形ってのは離れれば離れるほどぼやけてくすんでゆくものですし工場出たてのまっさらな新品って訳でもないですしね。指定色は目安程度に考えてお気楽に塗った方が楽しく作れるしね。
 とどのつまり最終的に自分の表現したい色合いに仕上がればいいからホンモノとは似たような色で充分なのであります。絵だって同じものを100人の画家が描いても同じ絵はきっと一枚たりとも無いよ?プラモだって同様なのであります。当然異論はあるでしょうが、まぁこれが寿流ってことで勘弁して下さいw

(写真6) 指定色に手心を加えた色(主に近似色じゃね)をぷーっと吹いてボカした状態。今回は丁寧さよりもフィーリング重視なので「接近して見たらイヤン」な仕様でいっております。ご了承のほどを。



(写真7) ペラもランナーに付いたまま塗って、脚はバリがあったから取り敢えず切り離して下ごしらえした後に臨戦態勢。こうして小物がずらっと並んでいる様子を見てわくわくしてくるのはわたしだけ?



(写真8) スミ入れしてデカール貼って塗装し終わった小物パーツを取り付けたら完成であります。写真で見るとあっと言う間だけどこれでも三週間かかってんだよね。ナナニイならウィークエンドなモデラーを気取れるかなと思ったけど、まぁ、しゃあない。完成すれば全てオッケーじゃ。ひょっとするとI-16がよけいだったかなぁ。




 

(写真9) おまけのI-16。ただ出来たってだけなので「あまり見んといて下さい」な完成品であります。枯れ木も山の賑わいぢゃ。
翼のデカールも含めてまた後でリトライあ~んどリタッチすることがあるかもしんない。(あくまで希望的な観測だけどねw)

 

(写真10) 白と水色の蛇の目は1945年、継続戦争のときの機体。枢軸側から離脱した後のものです。



(写真11) 水色の逆卍に黄色の帯の機体はユーティライネン曹長(当時)機。とくに曹長は28機をこの機体で撃墜し、その間一発の被弾もなしという完璧なトップエースだったそうです。



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Vol.132  2019 August.     www.webmodelers.com /Office webmodelers all right reserved /
                    editor Hiromichi Taguchi 田口博通 /無断転載を禁ず/リンクフリー

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