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特集 定番キットを作ろう

  トヨタ・スープラ 3.0ターボA (フジミ 1/24)

by 走り屋おやじ

 80~90年代のクルマが大好きな、MAC所属の「走り屋おやじ」です。
「定番キットを作ろう」というテーマに合致している内容でないかもしれませんが、定番商品として今も流通しているキットの製作(改修)レポートをしてみます。
 ご紹介するのは、フジミ製の「トヨタ・スープラ 3.0ターボA」です。



 元々のキット(前期型)は、新車が発売されるとほぼ同時に発売された記憶があります。前期型、後期型それぞれのキットがあって、前期型は入手困難になっていますが、後期型は現在も入手が容易です。板シャシーなので足回りの精密さは皆無ですが、少し前まで税抜千円で販売されていた通称「千円キット」の一つで、お手軽に楽しめるキットとして、また唯一無二の「70スープラ後期型」のキットとして、現在も人気があるようです。



 実車情報としては、‘86年に先代「セリカXX」からのフルモデルチェンジを機に輸出仕様と同じ「スープラ」に改名して登場。キャッチコピーは「トヨタ3000GT」で、かつてのトヨタ2000GTを彷彿とさせる高級GTスポーツというポジションです。当初は全車国内専用の5ナンバーボディでしたが、‘87年に「3.0GTリミテッド」として、それまで輸出専用だった通称「ワイドボディ」が国内でも販売されるようになります。さらに‘90年にはグループAレースでの活躍を背景にリアルスポーツカーへと路線を変更。その旗艦が「2.5ツインターボR」でした。
 
 キットは‘88年の最初のマイナーチェンジ時に登場した「3.0ターボA」という、グループAレースに勝つために500台が限定生産されたモデルを再現しており、前期型の「3.0GTリミテッド」のキットの金型を改修して製作されました。ターボAとなってから実に30年以上のロングセールスを続ける「定番キット」です。(ボックスアート右隅の「‘87」は明らかに間違いです)



 キットの特徴としては
【良い点】
・最近のキットと比較して安価である(値上がり傾向ではありますが)
・パーツ数少な目&板シャシーなので組立が簡単(初心者にはうってつけ)
・バスタブ内装&純正シート再現(タイヤの奥に室内が見えたりしない)
・ノーマルホイールがついている
【残念な点】
・ボディが平べったい方向にデフォルメ気味(ルーフが低く、幅広)
・リアホイールアーチがガタガタ
・左右でモールドが異なる、実車とは異なるバンパーデザイン(フジミ名物)
・ドア等のオープンラインがやたら幅広(実車換算で2.5センチもの隙間)
・やっぱり板シャシーは残念
・何故かサイドウィンドゥがない
といったところでしょうか。
 今回は、後期型になって2回目のマイナーチェンジで登場した「2.5ツインターボR」を再現するので、3.0ターボAとの相違点を改修しつつ、事前にボディを眺めて気になったところを自分なりに解釈して改修しながら組み立てを進めていきました。

【ボディの改修】
(1) メーカーのデザイン的な意図なのか、ボディはルーフが低く幅広なのですが、反面フロントバンパーの上下方向はボリュームがあってバランスが悪いです。このため、まずリップスポイラーとバンパーと切り離し、リップを少し薄く加工。さらにバンパー本体をフォグランプより上辺りからエッチングのこ等を使って一度切り離し(写真1)、切り離した部分と残った部分双方で0.5ミリずつ削って再接着(写真2)。ボリュームを抑えました。

(写真1)
(写真2)


(2) 定番のドア等開口部の筋彫りを深くする作業を行いますが、そのままではシャープさが足りませんので、一度埋めて彫り直しし、筋の幅を狭くしました。しかし、ラッカーパテで埋めた筋を彫り直し→サフで確認→サフで埋まった分を彫り増しを繰り返している途中でパテが欠けたりして、かえってガタガタになってしまった部分も。今後の反省点です。

(3) リアのホイールアーチは、きちんとした弧を描いていません。かなりいびつです。エバグリなどのプラペーパーを使用し、弧を少し整えましたが、フェンダーのふくらみやバンパーとの繋がりの都合もあり、完全には直せませんでした。ここもいつかリベンジした際は、どう対処するか改めて考えておかなければなりません。
(写真3及び4)

(写真3)
(写真4)

【シャシー調整】
 所謂「板シャシー」ですので、バリは多く精度はいい加減。そのまま組んでも車輪が前後ホイールアーチの丁度良いところに来ません。車高も車種によっては低すぎたりしますので、必ず組んで確認。スープラは車高が低すぎたので、車高アップと軸位置の調整、ホイールの取り付け方法変更(ピン式→ポリキャップ式)に伴うトレッド拡大をしました。なお、板シャシーの強度UPとボディ内側の臓物隠しとして、インナーフェンダーをプラバンで構築しています。(写真5)

(写真5)


【内装のフィッティング】
 フジミのキットは、部分的に辻褄があってないところがあり、スープラの内装もそのまま取り付ければダッシュボード下端がセンターコンソールの前端とキレイに繋がりません。そこでダッシュボードのかさ上げをすると、案の定ボディに着いているクリアパーツと干渉します。ここはクリアパーツの両下端とシャシーの内側を慎重に削って高さを調整していくしかないです。(写真6)


(写真6)


 小言になりますが、フジミのキットは内装がボディやクリアパーツと干渉し、シャシーが嵌らない、車高が変わってしまうというトラブルがかなりの確率で起きます。クリアパーツをボディに装着し、バスタブ内装も所定の位置に固定されている状態で一度嵌めて確かめることを強くお勧めします。ただ、いつも思うのですが、この辺はメーカーさんが試作した際にきちんと確認していただいていれば防げる問題です。最近設計されたキットでも時々潜んでいるトラブルですので、皆さんお気を付けください。メーカーさんは世に製品を送り出す前には一度組み立ててみて、きちんと完成するか確認をお願いしたいです。

【その他改修ポイント】
・ターボAの象徴であるフロントバンパー中央のインテークはプラバンとパテで埋める
・ノーズの鋭さが足りないと感じたので、ボンネット前端をやや薄くするため削り込み

・ボディカラーは後期最終型のイメージカラーだった「ほとんど真っ黒のグリーン」であるダークグリーンメタとし、昔161アリスト用に使ったタッチペンの色がイメージ通りだったのでそれを使用。サフ→本塗→クリアをエアブラシ吹付。クリアはクレオスのGXを初回の砂吹きを除き4回。クリアが乾燥する度に中研ぎを行う(写真7~9)

(写真7)
(写真8)

(写真9)


・2.5ターボRの内装のポイント「レカロシート」はA社の複数のキットから流用。しかしシートバックが妙に薄く感じたので、裏側に1ミリプラバンを貼り付けて厚みを増す(写真10)

・後期用純正ホイールは、形状の似ているT社のA80スープラ用を幅詰めして流用。タイヤはA社のBGレガシィ用が径・ハイト・幅共にぴったりだったのでそのまま流用(写真11)
 ・ホイールがスポークタイプとなるので、4輪にディスクブレーキパーツを追加
 ・サイドウィンドゥがないので、0.3ミリ透明プラバンを切り出して接着

(写真10)
(写真11)

【完成写真】






【完成させてみて】
フロントバンパーの厚ぼったさを解消するだけで、かなりイメージが変わりました。エッチングのこを使って丁寧にやればそんなに複雑な加工ではないので、フジミ70スープラをよりリアルに仕上げたい方はぜひチャレンジしてみてください。それと、フジミのキットの攻略法は「仮組は大事だよ~」です(笑)。

【戯言】
  R31スカイラインのように、H社から決定版が出ないかなぁ・・・。レース仕様でいろいろバリ展できるし・・・。


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