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誌上個展

   1/72で綴るソ連レシプロ戦闘機の系譜

   第8回 La-7 (KP 1/72)

by akaihoshi2004

 第二次世界大戦におけるソ連戦闘機は従来、性能が低く見るべきものが無いとされて来ましたが、実は大戦末期にはドイツ機と肩を並べるほどに発展していました。このシリ-ズではソ連の単発レシプロ戦闘機に焦点を当て、1/72の模型を使って概ね年代順に辿って行きます。 


 La-7は第二次大戦末期に登場した戦闘機で、La-5,La-5FNに続くラボ-チキン設計局の作品です。La-5FNからの変更点は主に空力的洗練で、オイルク-ラ-や補助空気取り入れ口の位置を変えるなどした結果、エンジンは変えていないのに速度や上昇力などの主要な飛行性能がLa-5FNよりもさらに優れたものとなりました。この様に高性能だった本機はヤコブレフのYak-3と共に第二次大戦中の最優秀ソ連戦闘機と位置付けられています。



 パッケ-ジはKPの初期キットに共通した小ぶりで横長のBOX式です。箱絵は雪原か荒野か雲海かはっきりしない景色をバックに飛ぶLa-7。この塗装は第二次大戦に於けるソ連トップエ-スの I.N.コジェドゥ-ブの乗機で、機首の赤い幾何学模様,スピナと尾翼の濃い黄色,そしてコクピット側面にびっしり描かれた撃墜マ-クが目を引きます。この機体は保存され、今でも時おり公開されている様です。



 このキットは箱の側面に Made in Czechoslovakia と印刷されていることから、チェコとスロバキアがまだ一つの国だった冷戦終結以前の年代ものであることが判ります。小ぶりな箱には箱の大きさにフィットしたランナ-に分けられた小柄なパ-ツが入っていて、見ると機体形状はしっかりしています。モ-ルドは凸ですが、動翼はきちんと凹で表現されており、一定のめりはりがあります。小部品もスケ-ルなりにディティ-ルがほどこされており、素組みでもそこそこ精密感のある作品に仕上がると思います。



 このキットを含む初期のKP製品は合いが悪く、形にするのも一苦労で、組立てが終わったころにはそこそこ精密感が有った凸モールドがすっかり消えてツルツル・・などということが多いのですが、このキットはその欠点がさほど目立たず、同社製品の中では作り易い部類だと思います。プロポーションは私の基準では合格点だけれど、主翼下面が胴体のラインより下に出てしまいます。機首から主翼下面にかけて一直線につながっているのがLa系の特徴なので、作例では削り込んで修正しました。



 塗装はまずサ-フェ-サ-を吹き終わった時点で機首の赤と尾翼の黄色を塗っておきます。それらをマスキングして下面ライトブル-をスプレ-、上面の緑は筆塗りしました。上面が筆塗りなのは『下面をマスキングするのが面倒だから』という何とも軟弱な理由です。筆塗りの難点はムラになり易いことですが、薄めの塗料で2度塗りすればムラは軽減されるし、エナメルや油彩でウェザリングしてトップコ-トを施せば最終的にムラはほとんど消えます。



 デカ-ルは作例のコジェドゥ-ブ機とKPの国元であるチェコスロバキア軍機がセットされており、キット付属のデカ-ルとしては合格レベル。印刷/発色とも悪くありませんが、フィルムがやや硬く、凸モ-ルドの上に掛かると浮きます。特にコクピット側面の撃墜マ-クの部分はモロに凸モ-ルドに掛かるので注意が必要。今では優秀な別売りデカ-ルが出ているからそれを使うのも手ですが、完璧を求めるならそもそもKPは不向きでしょう。箱に入っているものだけで完成させる・・っていうのも一つの価値観だと思います。

 下記アドレスは本稿の筆者のホームページです。ご興味がありましたらどうぞご覧下さい。
http://w01.fitcall.net/akaihoshi/


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