Home > (Photo) SAAB J21A-3<博物館実機写真<2019年10月号

 

(Photo) SAAB J21A-3

by  コルディッツ
博物館実機写真

 サーブ21のことを知ったのは小学校6年生の頃で、鶴書房出版の「第二次世界大戦戦闘機および攻撃機・練習機」(K・マンソン著、湯浅謙三訳、野沢正監修 昭和45年)に登場した80機中の76番目を見たときでした。震電やXP-55は、確かプラモデルも出ていたので、知っていましたが、まさかスウェーデンで推進式戦闘機の生産までしていたとは思いもよらず、しかもジェット機型まで作られていたとあり、ビックリ仰天でした。私のスェーデン贔屓の原点はこのショックにあったようです。
 同書ではサーブ21をスウェーデンで「初めて設計された国産戦闘機」「液冷エンジンをつけた初めての戦闘機」と紹介、さらに世界史的にみて「1939年~45年中に生産された唯一の単発双胴、推進式エンジンつきの戦闘機」「同じ機体でピストン・エンジンからジェット・エンジンに換装した、世界で初めての戦闘機」「射出操縦席の採用は世界で最も早いひとつ」と記述して、少年の好奇心を強く刺激しました。
 初めて実機を拝観したのは、それから約四半世紀後のことで、流石に涙目になっちゃいましたね。
 改めて同書を読み返してみたら、J21A量産機の数機は、ドイツから輸入したダイムラー・ベンツDB605Bを装備していたとあり、またB型という2,000hpのグリフォン・エンジン搭載の改良型もあったが、R型(ゴブリン・ターボジェットエンジン搭載)の出現で廃棄されたともありました。グリフィン搭載のサーブ21って、どんな風貌になりますか、気になって来ました。

SAAB J21A-3 21364/R 第6航空隊    2014年6月撮影
 スウェーデン空軍博物館(リンシェーピン)にて  
 同博物館の英文ガイドブックには「J21は世界で最初の射出座席を装備した生産機の一つ」とあります。人権大国の面目躍如というところでしょうか。  



 最大速度640km/h、武装は機首に20mm機関砲1門、
13.2mm機銃2挺、主翼に13.2mm機銃2挺となっています。










 ガイドブックによると「スウェーデン空軍では1954年までにJ21を298機使用した。飛行は容易だが、暖かい天候ではエンジンが過熱する問題があった」とあります。










 博物館の展示機は1954年の退役まで戦闘機と攻撃機の二つの役割を遂行していました。マルチロール機の先駆けでもあった訳です。


ダイムラー・ベンツDB605液冷倒立V型12気筒 1,475hp
 フィンランド航空博物館(バンター、ヘルシンキ郊外)


2018年7月撮影。これはドイツから輸入のDB605Aです。
 スウェーデンはDB605をライセンス生産してJ21に搭載しました。スウェーデン製造のDB605は、現代で飛行可能なBf109Gを再生する時に活用されました。



Home >(Photo) SAAB J21A-3<博物館実機写真<2019年10月号
Vol.134  2019 October.    www.webmodelers.com /Office webmodelers all right reserved /
                 editor Hiromichi Taguchi 田口博通 /無断転載を禁ず  リンクフリー

「webモデラーズ について」 「広告のご出稿について」


プラモデル模型資料記事


TOTAL PAGE