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特集 攻撃機

  ダグラス ボストンⅢ(エアフィックス 1/72)

by口博通 Hiromichi Taguchi



 アメリカの攻撃機A-20ハボックはイギリスに供与された後、ボストンⅢと名乗り ヨーロッパ本土への地上攻撃任務に従事している。RAFでは攻撃機というカテゴリーはなかったようで戦術軽爆撃機とされている。
 ハボックの1/72キットはフロッグ、レベルとエアフィックスがあるが、いずれも1960年代リリースのかなり古いキットである。レベルとエアフィックスのキットとも表面には凸リベットがびっしりと彫刻されていて、1960年代後半から70年代初頭にかけてのプラモデルは表現競争の時代だったことを思い起こさせる。
レベルからはバリエーションで夜間攻撃機P-70も発売されていた。後年マッチボックスからA-20Gが発売されたが、スタイルはまあまあなものの大変大味な作りで注目を集めなかった。
 今回はまだデカールが使えそうだったエアフィックス(グンゼ版)を作った。
下はその箱絵で、ダークグリーンとダークアースの迷彩塗装機が編隊で爆弾を投下した瞬間が油絵のようなタッチで描かれている。



 組み立て説明書を見ると、部品点数も少なく、あっというまに完成しそうな雰囲気ではあるが 1960年代のキットゆえ、それなりの形にするだけでも結構 時間がかかる。 
 この時代のキットの流行でエルロン、ラダー、エレベータが可動になっている。組み込みながら作ると整形も難しくなるし、塗装時に塗料が固まって動かなくなるので、ここは、1mm径ガンダムスプリングを使って後付することにした。

組み立て説明書1


組み立て説明書2


 エアフィックスの胴体幅は細いが修正のしようも無いのでそのまま使った。コクピット内部は米国供与機なので やはりUSインテリアグリーンだろうと想像し、Mrカラー351 FS34151 で塗っておいた。
コクピットはシートと床板、操縦桿がある程度の極簡単なものだ。
3車輪式なので、シリモチ防止にコクピット下とその後部にオモリをしっかりと積み込んでおく。

胴体幅は細い


 インアクションと見比べると主翼、尾翼形状にも?な部分があり、カウリングもポリバケツ形状となっているが、ここもそのまま使用。各部に隙間やダンチができるが、瞬間接着剤をパテ代わりに使い、目立たぬ程度に整形した。
この際、せっかくの表面のリベット彫刻をつぶすと「もったいない」ので、マスキングテープとアルミテープでしっかりと養生しておく。機首左右の機銃はモールドらしいものがあるだけなので、切り取ってピンバイスで孔を開け しんちゅうパイプを仕込んでおく。

飛行機の形にして、各部を整形中。


 塗装は筆塗で上面をMrカラー No.369ダークアース、361ダークグリーンで、下面は368 スカイで塗装した。デカールは使えそうだったので、マイクロフィルムリキッドで補強して使用した。最後にデカール保護を兼ねて艶消しクリアをエアブラシでかけると筆むらも消え、落ちついた雰囲気になる。
Mrウエザリングカラー グランドブラウンで薄く、全体にウォッシングを施し、フラップ部のスジ彫りには少し濃い目をさしておく。



 完成すると、ボストンⅢの印象はしっかり再現されているように感じる。もちろん1960年代のプラモデルゆえ細部の再現は現代のプラモデルのそれではない。機首の形もちょっと違っている。
しかし、機体各部に彫刻された凸リベットラインは第2次大戦の攻撃機の印象を醸し出している。
絵画に例えるとクロードモネやルノワールの印象派絵画のようだ。

 

 これに対し、最近のプラモデルは3DCAD図面をそのまま3Dプリンターに出力したようで一見 精密ではある。しかし凹彫りパネルラインだけで、凸リベットや外板の重なりなどは再現されておらず テクスチャー感に欠け、実機の印象を再現できていないものが多くなってきている。(3DCADとなってもその図面を書くのは人ゆえ、明らかにフォルムが崩れていることも多い。)
 表面テクスチャーの不足を塗装で補うため、模型誌では「本物そっくりに見えるペイント術」など塗装テクニック特集が組まれたりもしている。それはそれでありがたいのだが、それならば、表面彫刻が豊かだった当時のプラモデルを作ったらよいのではないか と思ったりもする。






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