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  F4U-4 コルセア (ハセガワ 1/48)

  by 加藤 寛之



 今回作ったキットの組立説明書に1989年2月印刷とあるから、少なくとも30年くらい前のキットになる。このキットが発売されたころに製品化されたハセガワの48大戦機キットは、良い意味で伝統的なキット観で造られていた。
 つまり、エッチングとかメタル、レジンといった多様な材質とは無縁のプラ成形で、細密化でなく全体の印象を重視し、パーツの一体化と組みやすさを大切にしている。そして、ここぞというところにはいかにも飛行機らしい造形でさらっとこなす。今日のキットに比べればパーツ毎の合いに多少の工作は必要だが、それも大変というほどではない。



 コックピットは、計器盤を入れて6点。当時はこれでOKだったのだろうし、おかげでとても楽。追加工作はしたい人がすればよい。私はシートベルトさえも塗装で済ませている。
エンジンは前方からの1枚部品で、これに前方部品を接着するだけの超カンタン構造。胴体との位置決めが確実で、これは合理的設計。カウルフラップが胴体と一体成型なので後ろから中を覗き込める構造でないので、これで差し支えない。これらを胴体へ組み込んで胴体左右を接着するまで、特に時間がかかる工作はない。私は、胴体を合わせるときにカウリング前端も同時に接着して、歪みを生じないようにしてみた。 
 主翼は下面1+左右の各上面という構造。付根にパーツを1枚入れるだけで、すぐに接着できる。下面側の胴体部分がガッチリとした構造なので、上反角がグラつかないのがいい。主翼後縁は上面パーツと一体なので、後縁スッキリ。翼端部分で僅かな段差が生じるので、内面にプラ板を接着して高さを合わせたくらいだ。
 胴体と主翼との接着には、主翼上面側で僅かな隙間が生じた。瞬間接着剤を流し込んで、強度を確保しつつ埋めた。



 水平尾翼はしっかりと取り付けられるので特に書くことはないが、その厚みがイイカンジだ。スケールよりも厚いのかもしれないが、重厚な造形センスに魅かれる。垂直尾翼も同様で、実に迫力がある。同様に見事な仕事は、タイヤ。山の再現がクッキリしていて痛そうだ。ホイールも鋭い造形になっていて、これも見栄えがする。
 主脚柱は、ホイールの間隔が広すぎると思ったのでツメる工作をしたが、脚柱に付く脚カバーの接着の際にツメが原因で干渉してしまった。これは脚カバーの位置を僅かに動かしてごまかした。脚カバー類の接着は模型的構造だが、印象はよい。尾輪は、先にカバーを取り付けてから、ポンと差し込構造。尾輪は便利で丈夫だ。
 プロベラは1パーツ。捻りと薄さが素晴らしい。感動モノだ。しばしば私の記事で「プロペラを軽く削って」と書いているが、どこをどのように削るのか理解できない方は、どうぞこのキットを購入して調べてください。
 なにしろカンタンで頑丈、どんどん組めるので、あまり書くことがない。プラモデルは、丈夫でラクラクがなによりだ。



 さて、塗装。私は塗装が嫌いなので、こういう1色は助かる。私のコルセア好きの一要因に、この一色塗りがあることは間違いない。今回はキットの成形色が灰色だったので、パネルラインの凸線表現をいかした塗装にしてみた。
 とりあえず指定色っぽい紺色で塗る。乾いたら、2000番のサンドペーパーで凸線部分を軽く擦って色を少し剥がす。これで紺色の中にパネルラインや羽布部分のリブの峰が白っぽい線となって見えてくる。 
コツは、1本1本狙って擦ることと、均一にしないこと。ウッカリ周囲の色まではがしたら、ちょこっと筆で塗っておけば目立たない。これでデカールを貼り、最後に半光沢の缶スプレーをプ~っと吹きかける。
 塗装の工夫といえば、全体が紺色で暗いので、いろいろな角に銀をごく薄く塗って輪郭線にしてある。こうすると、黒っぽさが引き立つ。残念ながら、掲載写真では銀色の縁取りは全くわからない。



 無事、1月1日に完成。
スケールモデルというよりも、これで一つの造形物であるような個性と主張がある再現だと思う。
「コルセアをこう表現してみました」という感じだ。こういうキットが今も入手できることが嬉しい。


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